27.騎士
・前回のあらすじです。
『信者が魔族を倒しに行くと言い張る』
「隊長、オレは反対です」
凛とした声が信者の熱気を冷ました。
警護隊の副隊長をつとめる若い騎士である。
フルフェイスの兜をはずした顔は、短い金髪に鳶色の目。
歳は十八か十九の、正義感に厚い表情をした男だった。
「会議の場でも出ましたが……アルゴ殿たちは戦いの素人です。功徳に逸る気持ちは察しますが……オレたちも、せめて護衛としては同行すべきかと」
「つってもなあ、フレデリック……」
アドニスは太いうなじを揉んだ。
ぎょろりと、町長の小さな眼が剥く。
「罰当たりな無神論者には、聖戦に参加してほしくないものですな」
「だとよ」
アドニスは町長に親指を向けた。
フレデリックと呼ばれた副隊長は頭をかかえる。
しかし彼はすぐに気を取り直した。
左胸に吊ったドラゴンの徽章を示すように、姿勢を正す。
「オレは、ペンドラゴン王国に仕える騎士です。国民を守るのが務めです。どんな事情があれ、危険と分かっている場所に、一般人が踏み込むのを看過することはできません」
フレデリックは、高らかに告げた。
青年騎士の啖呵にユノはジーンとする。
「『仕えてる』つっても、こんな田舎に追いやられるような下っ端だけどな」
フレデリックと同様に騎士団から派遣されて来たアドニスは、乾いた笑いと共に独白した。




