10.二人
・前回のあらすじです。
『ユノがショート・ソードを装備する』
ゆっくりと日が沈んでいく。
城門前の広場に、二人はいた。
「今後の予定になりますが」
セレンが杖を振って、空中に、一冊のノートを出す。
(便利だなぁ)
ユノは霊樹の杖をながめた。
薬草や食料のつまった鞄を、肩にかけなおす。
この世界の貨幣単位は【メダリス】と言った。
アルトリウス王からの餞別は、千メダリス。
旅立ちの準備を整えると、それも二百メダリスにまで減った。
セレンはページをめくる。
地図と依頼書が、そこには挟まっていた。
ユノに差し出す。
「陛下より依頼が出ています。王都から西の町、【コルタ】の救援に向かってほしいと」
世界地図の中央に位置する、丸い大陸。その陸地の北東部に、王都の名前――【ペンドラゴン】が記されている。
街道沿いに【ドシロト平野】を進み、丘を登ったところに、【コルタの町】はある。
「あの、ボクひとりで……ですか?」
「心配なら、冒険者組合を頼るなり、自力で戦士をスカウトするなりしてください」
城下に鐘が鳴りわたる。
教会の鐘楼が打つ時報だった。
「そろそろ私も、主のところにもどらねばなりませんので。ここで失礼させていただきます」
「主って? セレンさんって、妖精族の一番上なんじゃあ?」
「ええ。ですから、神様の世話をしなければならないのです」
ぴしゃりとセレンは言った。
「でも、待ってくださいよ。ボク、そんな……ギルドとか、よく分からないし。それに、外に出たら、戦ったりもするんでしょ?」
「戦闘が不安なら、カルブリヌスをお返ししますが?」
ユノは首を横に振った。
それは直感的な拒絶だった。
ふっとセレンが笑う。
「では、ユノさま。ご健闘をお祈りしています」
妖精は杖を一振りして消えた。
ユノはひとりぼっちになる。
(やっぱりいいなぁ。あの杖……)
夕焼けの広場で、途方に暮れる。
※のちの展開に食いちがいの生じる文章を、削除しました。
・旧→『薬草や魔法の道具の詰まった鞄を(略)』
・改→『薬草や食料の詰まった鞄を(略)』
※貨幣の単位を、変更しました。
・旧→【メドル】
・改→【メダリス】




