↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第1話 ユノ
9/92

9.スミス



 ・前回のあらすじです。

 『ユノがカルブリヌスを使うのを怖がる』





 ・・・・・・




 日当(ひあ)たりの悪い細道(ほそみち)に職人街(しょくにんがい)はあった。


 煉瓦造(れんがづく)りの家並みにはさまれて、一軒(いっけん)だけ、木造(きづくり)の家屋(かおく)がある。

 『スミス・ドヴェルグ』。

 そんな看板のかかった武具店(ぶぐてん)に、ユノとセレンは入っていった。


「いらっしゃい」

 低い挨拶(あいさつ)が鳴(な)った。

 白髪(しらが)の伸びた老人が、カウンターに座(すわ)っている。背は低い。

 ユノはペコリと老店主に頭(あたま)を下げた。


 皮をなめしてつくった防具が、店のスタンドに展示(てんじ)されている。

 壁(かべ)には剣や槍が掛かっていた。

 セレンが武器(ぶき)をながめる。

 取って、ユノに渡す。


「初心者(しょしんしゃ)向け……かどうかは分かりませんが、オーソドックスなのはブロード・ソードですね」

「おっ、も……」


 ――がくんっ。

 ユノは上体を落(お)とした。

 刃(ブレイド)の部分が床(ゆか)につく。

 城(しろ)で引いたき抜いた剣は、羽(はね)のように軽かったのに。


「お兄さん、新人の冒険者(ぼうけんしゃ)?」

 カウンターで、老店主(ろうてんしゅ)が目をすぼめる。

「アールヴをお伴にするってなあ……あんた、よっぽど仲間にめぐまれてないんだなぁ」

「ご心配(しんぱい)なく。ここでの用事をすませたら、私は郷(さと)へ帰(かえ)るので」

「えっ!? ついて来てくれないんですかっ?」

 ユノはセレンに取りすがった。


「仕事(しごと)がありますので。面倒を看(み)るのはここまでです」

「お兄さん」

 店主(てんしゅ)が立ちあがる。

 座っていた時よりも、背は小さくなっていた。

「妖精(ようせい)ってのは基本、人間嫌いなのさ」


 男は鉱山(こうざん)の妖精――〈ドワーフ〉だった。

 剣立(けんた)ての壺(つぼ)から、ドワーフの男は短めのものを、一振(ひとふ)り出(だ)す。それはセール中(ちゅう)の商品だった。


「このへんの魔物(まもの)相手なら、こいつで充分(じゅうぶん)だな」

 ブロード・ソードよりも刀身のみじかい武器(ぶき)――ショート・ソードと呼ばれる剣(けん)である。

 ドワーフは、それをユノに渡(わた)した。

 おそるおそる、ユノは両手で剣の柄(つか)を握(にぎ)り締める。


「あ、これなら……扱(あつか)えそうかな」

「それじゃあ、お買いあげということで」

 無骨(ぶこつ)な手が上(うえ)を向(む)く。

 セレンがユノに、巾着袋(きんちゃくぶくろ)を寄越す。


「陛下(へいか)より今朝たまわった資金です。あなたの衣装も、これで購入(こうにゅう)しました」

(ちゃっかりしてるなあ……)

 ユノはお金を受(う)け取(と)った。

 銀貨(ぎんか)と銅貨(どうか)が、袋にはたっぷりと入(はい)っていた。

「ボクは王様に会いに行かなくてもよかったんですか?」

「声はかけたのですが、うなされていましたので。こちらで勝手に、済(す)ませておきました」


 ユノは苦笑(にがわら)いをした。

 ドワーフに代金(だいきん)を払う。








 読(よ)んでいただき、ありがとうございました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。