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三国志だと思った?残念!  作者: 龍ヶ崎エタニティ
12/22

華琳、麗羽と車争いに興じる

ヒャッハー、長期休暇を利用した連日投稿だぜぇ。(二時過ぎで、テンションがおかしい


明日はもう一つの方の書こうと思ってるので、三日連続はないので悪しからず。

平安京──時の帝が治める尊き都、その枢軸とも言える朱雀大路で、近頃ではすっかり都の人間にお馴染みになった光景が展開されていた。


その主役は、土煙をあげて疾走する二台の牛車であった。たかが牛車の速度と思うなかれ、特製の香で意図的に作り出された興奮状態の上に、熱した鉄ゴテによる痛みでひた走らされている牛の速さは、豪奢な飾りが施された台車を引いてなお、馬にそれに匹敵するのだ。


むろん、この一駆けの後、牛は全身を痙攣させた後、死に絶えるわけだが、牛車の所有者のどちらにとっても、朝廷の登るたびに牛の一匹や二匹を使い潰すことなど何の痛手でもないのであった。


何せ、牛車の後ろに乗り込んでいる二人は、本来であれば静々としか通れぬ大内裏正門──朱雀門への道のりを何のとがめもなく牛車でいかせることが出来る権勢の持ち主なのだから。


今、都の人々に「藤原の車争い」と今様にも歌われ、どちらが勝つか庶民の賭けの対象にもなっている狂乱沙汰は、最後の見せ場を迎えていた。


ほぼ同時に朱雀門の正面にやってきた二台の車の御者は、これまたほぼ同時のタイミングで、炭によって温度を保っていた焼きごてを己が御していた牛に背中に押し当てた。


牛たちは背中に突如生じた新たな痛みに悲しげな泣き声を上げたが、御者たちは今そんなことに構っている暇はなかった。何せ、このまま牛車を朱雀門に突入させてしまえば、半狂半死の牛たちは間違いなく内裏の中で死に絶え、帝の住まう神聖な場所が、死穢にまみれることになるのだ。


御者たちは、牛が痛みでその足並みを乱した一瞬の隙をついて、その手綱を手の皮が破れるほどの力で引いた。牛車の車軸が軋みを上げ、四輪からなる車輪のうち外側の二つが地面から離れる。


そして、見事に朱雀門のまん前で左右に曲がってみせた二台の牛車から、ひらりと大小二つの人影が宙を舞った。


その影の内、大きい方は、自分が一瞬だけ早く地面についたことを確認すると、その豪華絢爛な金の巻髪を存分に震わせながら勝ち名乗りを上げた。


「今日はわたくしの勝ちみたいですわね、華琳さん」


そう言われた小さい方の影は、これまた相手の負けぬ美しい金の巻髪を少しばかり雑に払うと、自分の敗北をあっけなく認めた。


「そうみたいね、実頼姉さん」


華琳としては、争いの勝敗自体はどうでもいいのだ。この勝負は、何かといえば朝廷の仕事をサボりたがる彼女の姉──麗羽を内裏に登らせるためのものに過ぎないのだから。とは言え、こと勝負事で負けるというのは、華琳の性からすれば決して愉快なことではなかったのだが。


「まったく、二人のときくらい麗羽姉さまと昔にように呼んでくれてもいいでしょうに」


姉さんが自覚をもってくれたら、いくらでもそうしてあげるわよ。華琳は内心で苦々しくそう思った。

二人の母である忠平から麗羽が内々に藤原の氏の長者の証である朱器台盤を継承してから一年あまり、そのボンクラぶりを補佐として間近で見ていれば、昔抱いていた敬意など、跡形もなく消滅するというものであった。


二人は朱雀門をくぐると、白砂利がしきつめられた典雅な道を半ばまで歩いたところで、ぴたりと足を止めた。


「華琳さん」

「はいはい、こんなの「読」まなくても分かるわよ」


何も内裏の中で襲ってこなくてもいいでしょうに。華琳は正直、呆れ果てた思いだった。藤原家の今の権勢を思えば、刺客の一人や二人送られてくるのは無理はない。ただ、これは少々、化けの皮が剥がれ過ぎというものだった。


「藤原実頼と師輔だな。帝を誑かし、政を好きにする不届き者。ここで成敗してくれる」

「帝を思ってる人間が、内裏で人を殺そうとするはずないでしょうが」

「四、五、六人ですか。名家藤原の人間も随分と舐められたものですわね。いいでしょう、その報い、とくとその身で受けなさい」

「姉さん、間違っても、内裏に血なんて落とさないでよ」


華琳の言葉を聞いた麗羽は、あの何とも尺にさわる高笑いを開始した。この隙に刺客が攻めてきそうなものだが、ここまで異様だと、どうしても二の足を踏んでしまうものらしい。


存分に笑い終わった麗羽は、隣にいる愛妹を見下ろして一言。


「華琳さん、そういったときは言い方というものがあるんではなくて?」


その言葉に、華琳の顔はわずかに引き攣ったが、最終的には内裏を清めるために必要な諸々の支出と手間と時間に軍配が上がった。


「お願い、麗羽姉さま」


瞬間、金の光が白砂利の上に軌跡を描いた。


───

──


「そういえば、姉さん。平将門って覚えがある?昔、忠平母様のところに仕えていた娘なんだけど」


華琳は、足元に出血一つなく転がっている刺客たちの身元からの連想で、ふと思い出した話題を麗羽に振った。まだ彼女たちの元までは届いていなかったが、幾つかの訴状が関東から送られてきていることを、彼女の手の者が昨日の夜に宴の場で、そっと耳打ちしてきたばかりなのだ。


「まさかど、将門──ああ、あの娘ですわね。なかなか見所のある人物だと思いましたけど」


なるほど、つまり、馬鹿なのね。華琳は頭の中で平将門に対する案件の重要度を幾つか下げると、何だか少しばかり晴れ晴れとした気持ちで殿の方へと向かうのだった。





というわけで、都側のメイン、華琳さま、麗羽の人の登場の回でした。

本当はこの時点での朝廷の最高権力者は二人の親である忠平なんですが、二人で姉妹というカップリングをどうしてもやりたかったので、こっちの都合で楽隠居させました。

あと、車争いは言うまでもなく、チキンレースの類ではなく駐車する場所の良し悪しを云々するものなんですが、車争いってイニDみたいなの想像するよねって呟きを某所で読んで、大変ツボだったので勝手にアイディアを借用させて頂いた次第です。


次は純友の登場パートですね。おそらくご想像の通り、海賊なのであの人たちで、いちよう魏呉蜀のメインは三分立するという、そういう形。




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