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鬼ごっこ(新作エピソード)

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。


……ではなく、学校の近くの公園。




「お、奇遇だね。」


「デジャヴだねぇ。」




偶然出会したあさぎときはだは、せっかくなので近くにあった公園で日陰のベンチに並んで腰を下ろして雑談に興じていた。




「お〜……見てみてあさぎちゃん、」


「ん?」




きはだが指差した先を目で追うと、数人の小さな子供たちが滑り台の周りに集まって遊んでいた。




「わらべどもだねぇ〜。」


「今日の気分は平安時代?」


「ん〜、なんとなく。」


「あっそ。……あやしがりてよりてみる?」


「う〜ん……ひかるたけなむあらざるや。」


「……じゃあ、このまま静観ってことで。」




2人の目には遠目にはしゃぐ小さな子供たちが木漏れ日に照らされていっそう眩しく見えた。




「……老けたもんだねぇ。」


「良いじゃん、行って来なよたけとりの。


「……おきなじゃないやい。」


「……いつからだっけなあ、あんなふうにはしゃがなくなったの。」


「半世紀くらい先じゃない?」


「私まだクソガキなの……?」


「うむ、ボーイズビーアンビシャス。」


「あんびしゃするかあ……。」


「……英語に下二段活用捩じ込んでて草。」


「魔改造は日本人の特権だから。」


「あのわらべどもも将来はあんぱんとかラーメン作るようになっちゃうのかねぇ。」


「ホカホカの白米に生卵ぶっかける蛮族の末裔だし。……シュークリーム生わさび捩じ込むようになったりして。」


「う〜ん、くれいじーじゃぱん。」


「わびもさびもゆめのあとだね。」


「わさびはぶちこんでるけどねぇ。」


「「HAHAHAHAHA!」」




「なに……してるんだ?」




聞き慣れた声に2人が振り向くと、背後に鼈甲色のサングラスをかけたひいろの姿があった。




「ひいろちゃんも来ちゃったんだぁ。」


「ただ何をするでもなく駄弁ってたとこだよ。」


「はあ……見慣れた不審者がいると思って来てみれば……。休みの日まで部活みたいなことしてるのか……。」


「「まあね。」」


「……とんだ暇人どもだな。」




ひいろはベンチの後ろから背もたれに腰だけ寄りかかった。




「お、ひいろも駄弁ってく?」


「せっかくだからな。」


「サングラス掛けさせて〜?」


「……壊すなよ?」


「わ〜い♪」




きはだはひいろからサングラスを借りて掛けた。




「どう?」


「……世界がセピア色。」


「そりゃそうだ。」


「……あ、じゃああの子供たちは?」


「子供……?」




あさぎは滑り台に集っている子供たちを指差した。




「七色に輝いてるねぇ。」


「親の七光り?」


「……うそうそ、でもまだ眩しいねぇ。」


「サングラス掛けてるのに、か?」


「じゃあひいろちゃんは直視できるのかい?……あの、感光しちまったフィルムみたいに将来ペッカペカな子供たちの笑顔をよお……ッ!?」


「普通にできるが。」


「「なんだと(ぉ)……ッ!?」」


「直視できないのは、何か後ろ暗いことがあるからじゃあないのか?」


「くぅ……、後ろ向いてる癖に……!」


「3人がけのベンチに3人座ったらキツいだろう。」


「たぶん子供用だもんね、これ。」


「フッ……、どうやらきはだちゃんみたいな大人はお呼びじゃないらしいねぇ。」


「「え……?」」


「なんだ貴様らきはだちゃんがおチビだからってお子さま扱いか、ぉおん!?


「お、ちょうどいいじゃないか。子供たちは鬼ごっこをするみたいだぞ?」




滑り台に集っていた子供たちが元気な声で鬼決めのじゃんけんを唱和していた。




「あの中に入って行けと……?」


「いけるいける。」


「鬼か。」


「鬼なら向こうにいるじゃないか。」


「きはだちゃんにはさらに2人、鬼が見えるねぇ……。」


「グラサン掛けてるから?」


「ああ、そうだいつまでも掛けてないで返してくれ。」




ひいろはきはだからサングラスを取り上げた。




「ぎゃぁぁあ……!?眩しい!?」


「子供たちの未来が?」


「微笑ましいものだな。」




ひいろは慣れた手つきでサングラスを着用した。




「お〜、やっぱ似合ってるじゃん。」


「だろう?」


「あ、そこ謙遜しないんだ。」


「あまりに似合うせいでさっきも職質されたからな……ハハ。」


「それもう掛けないほうが良いんじゃない……。」


「プレゼントされたものを無碍にできないだろう。」


「律儀だねぇ……。」


「お?どうした鬼ごっこはもう終わりか?」


「参加しとらんわっ!」


「ひいろ行ってくれば?」


「やめてくれ通報されてしまう。」


「…………笑った方が良い?」


「いっそのこと笑ってくれ。」


「……。」


「……。」


「……。」




・・・・・・。




「「「HAHAHAHAHA……」」」








あーかい部!(4)




きはだ:せっかくなので投稿してしまおう


白ちゃん:学校来てたの?


あさぎ:なんか近くの公園にみんないたんですよ


ひいろ:あさぎときはだが遠巻きに子供たちを眺めてB級映画みたいな笑い方してたぞ


白ちゃん:不審者じゃない


あさぎ:言われてるよひいろ


きはだ:や〜い職質皆勤賞〜


白ちゃん:またサングラス掛けて出かけたの?


ひいろ:別にいいだろう、プレゼントされた物なんだから


白ちゃん:あらやだ良い子


きはだ:でも職質されちゃうんだよね……


あさぎ:いっそのことこの辺のお巡りさん制覇しちゃえば?


ひいろ:その手があったか……!


白ちゃん:やめとけ


ひいろ:いや、ここは逆に考えるんだ


きはだ:(職質)されちゃってもいいさ……と


白ちゃん:あれ?まってまさかグラサン姿で子供たちに絡んでないでしょうね?


あさぎ:遠巻きに眺めてニヤニヤしてただけです


白ちゃん:やめろやめろ


ひいろ:すまない、サングラスは外せそうにない

ひいろ:子供たちの笑顔が眩しくてな


白ちゃん:誰が上手いこと言えと

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