屋上
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「……はぁ。」
きはだとひいろ2人きりの部室で、ひいろは凹んでいた。
「あからさまに落ち込んでるねぇ。」
「ああ……。」
「……。」
「……。」
・・・・・・。
「ここは『どうしたの?』とか聞く流れじゃあないのか?」
「ひいろちゃんまでめんどくさくなったらこの世のお終いですぜ?」
「そうだな、すまない。」
「…………で?何かあったのぉ?」
「きはだは優しいな。」
「当たり前のことを言うでない。」
「実はきはだの方がめんどくさい性格してたりしないか……?」
「勘のいいガキは嫌いだよぉ?」
「なら今日は馬鹿になって甘えるとしようか。」
いい雰囲気をぶち壊すように、ひいろは机に突っ伏した。
「?」
「なんで屋上使えない学校ばっかりなんだよぉぉぉ……!!!」
「……はい?」
「聞いてくれよきはだぁ……、」
「聞き流してもいい?」
「いい。……昨日新作を投稿したんだ。屋上でサボる先輩後輩シチュで。」
「当たり前のように官能小説を垂れ流しよる。」
「当初の目的通りだろう。」
「真面目に不真面目なヤツめ……。」
「フッ。よく言われるよ♪」
「誰にぃ?」
「きはだ以外にいるのか?」
「……あさぎちゃんとか。」
「おっと、そうだったな。」
ひいろは頬杖をつこうとしたが、何かを思い出したようにハッと姿勢を直した。
「そうだ!屋上シチュの話だった。」
「チッ。」
「屋上シチュの作品を投稿したら、届いたコメントが……『うちの屋上入れません』ばっかりだったんだよ……!」
「池図女学院も入れないねぇ。」
「なんて世知辛い世の中なんだ……。」
「でもまあ、屋上行けたらサボるよねえ?」
「そういうシチュエーションだからな。」
「だからじゃない?」
「なっ……、先人が屋上でサボりすぎたから、今ワタシ達が屋上を享受できないって言いたいのか……!?」
「そうだねぇ。ほら、白ちゃんの高校生時代とか、屋上でサボってそうじゃない?」
「くっ、容易に想像できる……!」
「あーかい部の部室だって白ちゃんのサボり場所だしねぇ。」
「池図女学院の屋上が普通に入れたら、今のあーかい部は無かったかもしれないのか……。」
「ガーリックフライ……いや、バター……ええっとぉ、
「バタフライエフェクトな。」
「そうそう、それそれぇ♪」
「なんだよガーリックフライってw」
「にんにくは元気出るでしょ〜?」
「食べないと意味ないだろう。でもありがとう……♪」
「それはそうと、うちの屋上ってどうなってるんだろうねぇ?」
「気になるな……。」
「まぁ気にしても真相は闇のな
「ちょっと鍵借りてくる。」
「え、」
ひいろはどこかへと出ていってしまった。
「借りてくるって、生徒が簡単に借りられたら入れなくはなってないよねぇ……。」
あーかい部室のパソコンをいじりながら待っていると、数分も経たないうちにひいろが大きい鍵を持って戻ってきた。
「屋上いくぞきはだ。」
「うそぉ……。」
2人は屋上へと校舎の階段を登っていった。
「よし。ご開帳だッ!」
ひいろは鍵を差し込み、閉ざされたドアを豪快に開け放った。
「おお……普通だね。」
「普通だな。」
周りは転落防止用の金網で囲まれ、大きいパラボラアンテナが1つ聳え立っていた。
「さて、と。始めるか。」
「始めるぅ?」
「掃除だが?」
ひいろはいつの間にやら持って来ていたデッキブラシの1つをきはだに差し出した。
「条件付きかぁ……。」
「いや、これはワタシから言い出したことだが?」
2人はぼちぼちブラシがけを始めた。
「え、じゃあ無条件で鍵借りられたのぉ?」
「まあな。ワタシ日頃の行いんだ。……誰かさんとは違って、な?」
「さすが生徒会でもないのにお仕事手伝ってる良い子のひいろ様、したたかだねぇ……。」
「したたかというか、喜んでもらいたいだけだよ。」
「ケッ。」
「そう言うきはだだって、掃除してるじゃないか。……良い子の素質あるんじゃないか?」
「きはだちゃんは普通の子でいいのさ。悪目立ちせずのらりくらりと……ね。」
「……そうか♪」
「あ、こら!そこ笑うな!?」
その日、池図女学院の屋上は人知れずピッカピカになった……。
あーかい部!(4)
ひいろ:投稿完了だ!
白ちゃん:今日は何してたの?
きはだ:掃除
あさぎ:備品でも壊した?
ひいろ:奉仕活動だな
白ちゃん:え、2人とも屋上入ったの!?
きはだ:まあね
ひいろ:ああ
白ちゃん:ずるい!?私まだ入ったことないのに!
きはだ:ならブラシがけやってみる〜?
白ちゃん:ジャアイイデスゥー↓
あさぎ:現金だなぁ
ひいろ:見たところで普通の屋上なんだけどな
きはだ:働き損だよぉ……
あさぎ:一般生徒に屋上マウント取れるじゃん
きはだ:あ〜ら白ちゃん、まだ屋上に登ったことないのぉ?……登らせてあげよっか(小声)
ひいろ:えっっ
白ちゃん:屈辱的だから1回入っておこうかしら
ひいろ:屋上の鍵はお教頭先生が持ってるぞ
白ちゃん:ジャアイイデスゥー↓
あさぎ:白ちゃん教頭先生恐れすぎwww
白ちゃん:上司だもの
ひいろ:優しいんだけどなぁ……
白ちゃん:そりゃ生徒には優しいわよ
きはだ:鍵もすぐ貸してくれたもんねぇ
あさぎ:その割にはどこの部活も屋上使ってないけど……
きはだ:日頃の行いなんだって〜
白ちゃん:くっ……、
あさぎ:生徒に張り合わないでください




