3分
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
あさぎ、ひいろ、きはだはテーブルの中央に鎮座するカップ麺を囲み、緊張感を高めていた。
「……諸君。」
「あさぎちゃん。今日のお題は……、
「これ、なんだな……。」
「……。」
問いかける2人にあさぎは静かに頷いた。
「今日、話すのは……『カップ麺、待ち時間は何分?』……ッ!」
「「!!??」」
というわけで、本日はカップ麺回です。
「いや、何分も何も……『3分待て』と書いてあったら3分待つものじゃないのか?」
「「……。」」
「2人は違うのか?」
「フッ。違うも何も……ひいろ『ちゃん』はお利口さんなんだねえ。」
「何か言いたいことがあるなら言ったらどうだ?ちゃん呼びなんて、あさぎらしくない……。」
「……!」
あさぎは無言のまま右腕を真上に伸ばし、そのまま人差し指でまっすぐ『天』を指してみせた。
「「!?」」
「ま、まさか……!?」
「いや、そんな……早過ぎる!?」
動揺する2人を前に、あさぎは静かに、だが力強く言い放った。
「1分……1分あれば充分だ。」
「こ、こいつ正気か!?蓋には3分と書かれているのに、その3分の1だと……!?」
「そんなのバリカタどころじゃない……!ただの、ちょっと湿ったアツアツの乾麺だよぉ……!?」
「驚いてるね?」
「当たり前だろ!?3分で美味しく食べられるように試行錯誤したメーカーの企業努力を……貴様、踏み躙るつもりか……!」
「『踏み躙る』……?違うねぇ。」
あさぎはひいろの追及をあしらうと、やれやれと言った様子でゆっくり首を振った。
「私は『私が』美味しく食べられるよう、試行錯誤してきた。メーカーがお出しして来たものをより美味しくいただく為にね……!」
「!?」
「きはだ。さっきから黙っているけど……待ち時間は違えど、おおよそこの考えには賛同しているんじゃない?」
「…………。」
きはだは神妙な面持ちでゆっくりと首を縦に振った。
「流石だねあさぎちゃん。」
「そんな!?きはだまで……!?」
「うん。言われたまま、敷かれたレールの上を素直に走って『美味しかった』だなんて、それは思考放棄だよ……。」
「そうだそうだー。」
「だって、メーカーが試行錯誤してきたのはあくまでも『最大多数の最大幸福』にすぎないんだからねぇ……ひいろちゃん。」
「……。」
「何か言ったらどう?」
「…………フフ。」
追い詰められたかに思えたひいろは、俯いたまま笑いをこぼした。
「そうだよ……『最大多数の最大幸福』が資本主義の元祖なんだ!企業としては正解なんだ!正解の味をあじわって何が悪い!?」
「「はぁぁぁ……。」」
「なんだよ……。」
「ひいろは『みんなにとって美味しい味』で満足なの?」
「ああ、満足だね。」
「あと1分、余計に待ったらもっと美味しいかもしれないのに……。」
「あと30秒、早く食べたら新たな味覚と出会えるかもしれないのに……。」
「そ、そんなので揺らぐと思うなよ……!?」
「ひいろちゃんはさぁ……。どんな子が好き?って聞かれたら、『みんなが憧れるモデルさんみたいな人』って答えるのぉ?」
「そんなわけないだろう。人の好みなんて千差万別だし、ワタシはちょっとだらしなさがあるくらいの方が
「そんなの間違ってるよぉ。テレビや雑誌で見るモデルさんの方が良いでしょ〜?」
「だからそれは
「モデルさんは『みんなにとって魅力的』な人だよ?だからひいろにとってもきっと良いんだよ、1番なんだよ。」
「そんなわけ…………なるほど。2人が言おうとしていたのはそういうことか。」
「「うん。」」
「たしかにそうだな。世間一般の正解ではなくても、貧乳ムチムチ一重瞼剃り残し熟女[自主規制][自主規制] [自主規制] [自主規制]
「待ってひいろそれ以上は載せられない。」
「こいつぁ、あーかい部初の自主規制だぁ。」
「……すまない。とにかくフェチは人それぞれ、1番刺さるポイントは千差万別ということか……。」
「そうだよ。」
「わかった。ワタシも待ち時間をずらして、『ワタシにとって』最高の味覚を試行錯誤してみるとしよう。」
「それが良いよ。じゃあまずは1ぷ
「はいちょっと待った。」
「何で止めるのきはだ。」
「共闘するのはここまでだよ。なぜならきはだちゃんは……、」
きはだは両腕を高く上げ、両手の親指、人差し指、中指だけを伸ばしてバスケットボールのスリーポイントハンドサインを作ってみせた。
「『6分派』だからねぇ……!」
「「6分ッ!!??」」
「ろろろ、ろっぷん……って、そんなに待ったら食べ頃通り越してスープなしのもっちもちなホカホカ麺じゃん!?」
「驚いてるようだねぇ?」
「驚くも何も、麺が伸びきってしまったら元もこもないじゃないか……。」
「本物のラーメンなら、ね?」
「……!?」
「気づいちゃったみたいだねぇ?……そう、カップ麺は厳密にはラーメンとは異なる料理……。麺の性質だって似て非なるものなのだよ。」
「た、確かに……ラーメンに寄せて作られているが違う。そうか!?お店で出されるちゃんとしたラーメンは麺が伸びたら味が落ちてしまうが……!」
「そう。伸びたカップ麺は、ラーメンにはどう足掻いたって至れない味覚!ラーメンとの立派な差別化、むしろカップ麺最大のアイデンティティと言えるのだよ!」
「……きはだ猫舌だもんね。」
「そうなのか?」
「わ、悪いかこんちくしょお!?」
「いや、なんか仰々しく語ってたのが猫舌だからかぁ……って。」
「なっ!?……あ、おい笑うなそこぉっ!」
「ごめんごめんw……この前自販機のおしるこ買ったときも熱くて食べられないからって、親鳥みたいに小1時間お腹に抱えてたの思い出しちゃってwww」
「抱えてたなぁ……。」
「笑ってるあさぎちゃんだって、3分待てないせっかちさんなだけな癖に!」
「なっ!?」
「この間の調理実習、『弱火で5分』を『最大火力で30秒』に変換して消し炭にしたの知ってるんだぞぉ〜?」
「してたな。」
「それは今関係ないでしょ!?///」
「ちょっとちょっと、何事?」
白ちゃん入室。
「ああ、白ちゃん。カップ麺の待ち時間について話してたんだが、ヒートアップしてしまってな……。」
「カップ麺?」
「「白ちゃんは何分!?」」
「何……『分』?」
「おいおい待ってくれここにきて
「っていうか『待つ』の?」
「「「 」」」
カップ麺の待ち時間は人それぞれ。
あーかい部!(4)
あさぎ:投稿完了♪
白ちゃん:お疲れ様
きはだ:いやぁ今日は有意義な時間でしたなぁ
ひいろ:有意義か?
白ちゃん:カップ麺の待ち時間1つとってもみんな違うのね
あさぎ:お湯かけてノータイムでバリバリいく人からしたら新鮮ですよね
白ちゃん:あさぎちゃんはこっち側でしょう
あさぎ:一緒にしないでください
きはだ:女子力底辺層がなんか言ってらぁ
ひいろ:カップに入ったままの乾麺をフォークで砕く人なんて聞いたことないぞ……
白ちゃん:でも美味しかったでしょ?
きはだ:お口ずたぼろだよぉ
白ちゃん:鍛え方が足りないわね
ひいろ:なあ白ちゃん知ってるか?料理って食材を食べやすくするためにするんだぞ
白ちゃん:だからお湯かけるんじゃない
きはだ:もうダメだぁ
あさぎ:私も流石にここまでは終わってない
ひいろ:白ちゃん、強火と弱火の使い分けってどんなときにする?
白ちゃん:火力が出るならさっさと最大火力で火を通せばいいじゃない
きはだ:思考回路おんなじで草ァ!
あさぎ:そんな……嘘だ……
ひいろ:探究心があるのは立派なことだが、まずは基本に忠実にな




