#アードベッグ・ガリレオ 14
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
「私……実は……」
「月浦君?急にどうしたんだ今大事な」
「私……竹田主任とそういう関係でした!」
永瀬の言葉を遮るように女性はそう大声で言い放った。
「いちゃったああああああああ!愛人いちゃったし名乗り出ちゃったああああああああ」
思わず電話に向かって突っ込んでしまう私。
「つ……月浦君……まさか……君が……そんな……」
思わぬカミングアウトにざわついていた周囲が静まり返る。
「私……ずっと隠してきたけどそうだったんです。生前主任が『俺のロケットを打ち上げられるのは君だけだよ』って。だから」
「ド下ネタじゃねえか、おい竹田ああああ起きろ竹田あああああああああ!おい誰か
AEDあと2つ持ってこい!電流……4倍だあああああ!」
「止めてさしあげて!永瀬!」
咄嗟に止めたものの流石に動揺する永瀬の気持ちもわからなくはない。まだ真横で息絶えてるであろう竹田に向かって永瀬は吼えていた。
「だからきっと私の生年月日か主任と密会していた日のどれかが自爆コードだと思うんです貸してください!」
「おい月浦君待ちなさいつきうぐはああ」
永瀬はどうやら自爆コードを入力する端末からどかされてしまったようで高速でカタカタとキーボードを打つ音が遠く聞こえてきた。
しかし予想通り全てエラーだったようで
「そんな……主任……あんなに枕元で私にアカペラのフライミートゥザ・ムーンを歌ってくれたのに……」
「どうでもいいがその手帳のカレンダーにびっしり書いてある『T♡』が全部あいつとの密会の日だったとしたら全部終わった後で話があるからきなさい月浦君……」
半ば呆れ気味の落ちたトーンで永瀬が彼女に語りかける。
ていうか無駄に愛人とかのくだりが発生したせいで余計に残りのページが、いや落下までの時間が迫ってきていた。どうする?ひょっとしてこの回が本当に最終回なのか?さっきまで宇宙探偵ホームズのことで盛り上がってたのに一寸先は闇とはまさにこのこ……
「ん……待てよ……」
そういえばと思い私は携帯電話の通話をハンズフリーに切り替えてネットであることを調べ始めた。
「何かわかったのか?」
永瀬の質問から1分もかからなかったと思う。
「永瀬!今からいう数字を打ち込んでみてくれないか?」
私がその数字を言うと永瀬は
「それなんの数字なんだ?」
「いいから!説明はあとだ!」
遠くの方から誰かの声がする。
「大気圏再突入まであと48秒!」
「急げ早く!」
急かす私に永瀬は
「くそっ!」
キーを叩く音が乱暴だが確かに打っている音を聞いた。
「いっけええええええええええええええ!」
その瞬間、バーから見えた空に浮かんでいた雲の隙間から確かに一筋の大きな光が降り注いでいるように見えた。
次回へ続く




