#7 アードベッグ・ガリレオ 11
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
「まあ落ち着け、万が一、落下してきた場合に備えて自衛隊が地対空ミサイルで迎撃できるよう市ヶ谷駐屯基地で構えていてくれてるそうだ」
そうか、この事態を国が知らないわけでも放っておくわけでもない。考えてみればそうだ。
「なんだ、じゃなんとかなるんじゃないのか」
「しかしこちらが自爆コード入力を諦めたと相手方に打診して初めて国会で首相を交えたお偉さん達の間で発射すべきか否かの会議が始まり」
「ん?」
「結論が出るのに約3時間はかかるそうだ」
「やっぱり間に合わないじゃねえかあああ」
我が国らしいといえばらしいが今回ばかりはもうすでに今迎撃の許可ぐらいはおろしていて欲しかった。
「となるとやはり何がなんでも自爆コードを打ち込まないとってわけか……」
項垂れながら私が続けてそう問いかけると
「いや、蘇生が間に合えば竹田から聞き出せるはずなんだ、おい、AEDもう1個もってこい!2倍の電流をあいつに浴びせるんだ!」
永瀬はおそらく電話をかけながら近くの職員に指示したのだろう。
「うん、倍にしても多分意味ないから。竹田しんどいだけだから」
もはや音声だけでも向こうがカオスと化していることが理解できた。というかこちらもこんな電話をしてる場合ではない気がする。少しでも落下予測地点から逃げねばならないのではないか。
「ちょ、悪いが私もこうしてられないからな、電話切らしてもらうぞ逃げたいんだ」
切ろうとする私を永瀬は遮る。
「ま、待ってくれ。まだ言い切ってないことがあるんだ」
「なんだよ」
「実は自爆させるのに必要な8桁のコードなんだが、さっき唯一知るのは竹田と言ったよな」
「ああ、あいつだけなんだろ?」
「実はこうなるずっと前、あいつが言ってたんだ」
「なんて?」
「『コードは確かに自分しか知らないが、それはオレと永瀬、それともう一人にとって大切な数字なんだ』と」
「竹田とお前と……もう一人?」
「ああ、それがお前だって言ってたんだよ」
「私?」
随分と時間がかかってしまったがようやくここで永瀬がこの緊急事態に私に電話をしてきた理由が読めた。
次回へ続く




