#5 ジョニーウォーカー ゴールドラベルリザーブ 1
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
いつものバーにいつものバーテンダー。時間的にはまだサラリーマンが汗水垂らして営業周りに追われ、デイトレーダーたちは血眼で一秒ごとに変動する株価に翻弄される頃。
そんな忙しないはずの水曜日。
ここは平和で静かな時間。
今日の一杯はジョニーウォーカー ゴールドラベルリザーブ。ジョニーウォーカーと言えばレッドやブラックが有名だがこのゴールドはまた一味違う。まさに黄金と呼ぶに相応しい輝きが呑む者の心躍らせ胸を打つのだ。
これをちびちびと口にする私の至福の時間が
「先生!事件ですよ大変ですよ見てくださいよ!」
「はい終了おおおおお!私の至福の時間がただいま終了いたしましたっと。はいおしまいです終了おおおおお!」
勢いよく扉を開け意気揚々と事件を持ち込むザ・疫病神河口君のご来店である。
ジョニー……行かないでくれ俺のジョニー…。
「先生、諦めたらそこで試合終了ですよ」
不慣れな手つきで完全な球体とは言い難い氷を一点見つめで削りながらバーテンダーの本山さんはなだめに来る。
「うん、本山さんそういう次元じゃないのよ。彼がきた時点でこっちは試合終了だから。君の球体氷チャレンジとはまた違うんだよ」
「あっ」
その瞬間彼女の手元の氷は最後の一撃が仇となり大小三つの氷になる。カウンターの向こう側はクラッシュアイスを大量にこぼしたかのような足場が形成されていた。
「先生見てくださいよ見てくださいよ」
ウキウキ顔の河口君は許可していないのに真横に座る。
「河口君、なんでそんなに嬉しそうなの不謹慎だよ事件なのに」
「先生事件と言っても良い事件なんですよ」
そう言いながら彼はカバンから一冊の本を出してきた。
「ロー…ロー…なんだいこれ?」
読み慣れない単語と見慣れない花が表紙の本だった。
次回に続く




