表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/204

第八十六話 奇襲と奇術師と奇妙な戦法

第八十六話! 強敵登場!!

「掛かったァ!」


 ダリオと名乗る少年の巧みな話術……僕が引っかかっただけじゃないと信じたい……に騙され握手をした瞬間、ダリオはその笑みを獰猛なものへ豹変させ、投げる動作もなく僕の体は空中へと投げ飛ばされた!


(これは……固有スキルか! 反応しきれなかった!)


 僕はさっきから『思考加速』を使っていたから予備動作さえあれば反応できた……恐らく投げに特化した固有スキルなのだろう……って、結構勢いあるぞこれ!?


(『受け身』『鋼の肉体』!)


 とりあえず落ち着いて着地……


「今だみんな! かかれぇ!!」


「「「寄越せぇぇぇ!!」」」


 扉の中からさらに3人!? こいつら協力してるのか!


「『氷柱飛ばし(アイスニードル)』!」「『魔法操作(マジックジャック)』……」

「『魔法複製』、終わりだ」


 いきなり出てきた3人の巧みなコンビネーションから放たれる、50を超える量の弾幕。それをこの狭い空間で避けられるか……?


(……無理だ! ()()()()!!)


「スキル複合発動! 『衝撃』『索敵』『魔力操作』……『魔法破壊(スペルバースト)』!!」


 魔法は魔力で打ち消す!! 周りの氷柱弾幕を全て打ち消して……


「『衝撃波』っ!!」


 複合発動で『衝撃波』を発動し、目の前の3人を吹き飛ばす……その瞬間。目の前の3人が急に空中に生成されたマントに包まれ消えた!


「3人だと思った? ボクがまだ残ってるよ!」


 背後から中性的な高い声が聞こえてくる……って背後を取られてるのはまずい!


「『空中歩行』『電光石火』……『雷鳴』!!」


 空中で『電光石火』を発動させ、僕は戦闘には狭い廊下の中を駆け巡る。僕が高速で移り行く視界で捉えたその声の主は、スーツに蝶ネクタイ、そしてシルクハットと目元を隠す仮面をつけた白い髪の少女だった……なんか、魔術師みたいだな……って!


「なかなかに速いなぁ……ならこれはどうかな? 『奇術師の二択(トリックオアトリック)


 今度は分身した!? これじゃ、どっちを攻撃して良いか分からない……!


「俺たちのことも忘れるなよ! もう一回いくぞ!」

「「おう!」」


「掛かった獲物は逃さない! 喰らえ、必殺……『全力投球』!!」


 連携の取れた5人同時攻撃が飛んでくる……! 一つ一つ確実に潰さないと。まずは今飛んできている岩を消す!


(土魔法【ロック】からの……)


「『投擲』! からの『衝撃』!」


「何っ……ぐはっ!」


 飛んできた石に向けて、【ロック】で生成した大きめの石を投げつけて打ち消す! さらにその時に起きた衝撃を『衝撃』で強化してダリオを吹き飛ばし、とりあえず1人!


「君たちも寝てて! 『魔力爆発(マジックバースト)』!」


「ライア! 援護を……」


「嘘!? まだクールタイムが……」


「うわっ!」「ぐえっ!」「ゲホッ!」


 さらに弾幕三人衆も『衝撃波』と『索敵』の複合技『魔力爆発』で気絶させて、残りは1人! ただ、その1人が結構厄介そうなんだけど……目の前の奇抜な格好の少女を見ながらどう対処したものか考えていると……


「ダリオたち、やられちゃったね……君、もしかして相当強い?」


 急に戦闘態勢を解き、まるで旧知の友人に喋りかけるかのように目の前の少女は気さくな感じで話しかけてきた。一体何が目的だ……?


「そんなこと言う割には余裕なんですね……」


 気を抜いてはいけない。相手の固有スキルが分からないからどう警戒したものか分からないが……少なくとも、あの子は分身や瞬間移動をすることができる能力を持っている。常に『索敵』を使い続けておこう。


「まあ、一応こういう状況も慣れてるしね……君、名前は?」


「あまり情報は喋りたくないんです。あなたの能力もわかりませんし」


 少し気にしすぎかもしれないが、『名前を言う』ことが発動条件の固有スキルかもしれないしな……


「あはは、確かにそうだね……じゃあ、ボクが先に自己紹介をさせてもらうよ。エンターテイメントの基本だからね」


 エンターテイメント? 試験中にこの子は何を言ってるんだ……? そう理解できずに固まっている僕を差し置いて、目の前の奇抜な格好の少女は名乗りをあげる。


「ボクの名前はライア! 世にも不思議な奇術(トリック)……見せてあげるよ!」


 そう言って彼女……ライアさんが腕を大きく横に広げる動作を直後。その袖から大量のトランプが飛び出してきて……


「さあ、ショーの開幕だよ! 『シャッフルレイン』!」


 廊下に散りばめられた大量のカード。その一つ一つに微量の魔力が込められていることがわかるが、特に何も起きない。不発かな……?


「まだまだ始まったばっかりだよ! 『奇術師の選択トリックアンドトリック・スペード』!」


 そうライアさんが唱えた瞬間、周りに散らばっている不発だと思っていたトランプたちが僕に向かって飛んできた!


「うわっ!? 火魔法【ファイアウォール】!」


 僕は咄嗟にファイアウォールを詠唱し、飛んできたトランプを燃やし尽くす。しかし、それだけではまだ終わらなかった……


「『奇術師の二択(トリックオアトリック)』! 気を抜いてたら騙しちゃうよ?」


 魔法を詠唱した隙にまた2人に分身され、さらにその片割れに背後を取られてしまった! いままでとは違うトリッキーな戦法を使ってくる……やり辛いな。でも、こっちの準備も整った所だ!


「こっちも負けられないので! 『不可視の奇襲(ブラインドタッチ)』!」


 僕の新必殺、『不可視の奇襲(ブラインドタッチ)』。『索敵』で広げた魔力を『魔力操作』で素早く動かし、それを相手に当てる瞬間に『衝撃』を発動させて見えない攻撃を行う、スキル複合技だ。これさえ完成すれば、一定の範囲内は僕のテリトリーと化す!


「きゃっ! って、ボクの分身がやられちゃった……とりあえず逃げる! 『イリュージョンマント』!」


 分身を倒したので一気に畳みかけようとしたが、その瞬間にライアさんがマントを翻し、自身の体を僕から見えないようにする。


 僕はそこを重点的に攻撃したが、当たった手応えはなかった。その時には既に『不可視の奇襲(ブラインドタッチ)』が届かない範囲まで、瞬間移動してしまっていたのだ。さっきの仲間を逃した時の技なのだろう、これじゃ仕切り直しだ……


 トリッキーな戦法に予想外な方法の攻撃、まだ散らばって残っているトランプの奇襲にも警戒しなきゃいけないし攻撃しようとしてもすぐに逃げられる。一体、この人をどうやって倒そうか……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
https://ncode.syosetu.com/n6670gw/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ