第四十四話 君、しゃべれたの?
第四十四話です!今度はまさかのキャラが登場…!
『称号系スキル』を手に入れる……ということで僕はいつも通り、ダンジョン『アークトゥルス』に潜り、分身とともに20〜25階層でバトルコングを狩っていた。
「ウホォォ!!」
木をも砕くバトルコングの拳が僕にものすごい勢いで振り下ろされる。しかし、僕はそれを避けずに…
「スキル複合発動『鋼の肉体』『受け流し』『反撃』…『インスタント・カウンター』!」
「ウボォォォ!!!」
その攻撃の威力を使って、バトルコングを真上に向けて殴り飛ばす!!ただでも威力の高い一撃だ、さらに威力の上がる反撃を喰らったバトルコングの体は宙を舞い、地面についた時には絶命していた。
この1時間で僕が倒したのは20体…分身と合わせて1000体倒すには、あと4時間ほどかかるといったところかな…?と、そんなことを思っていると、頭の中にいつもの声が響く。
『獲得条件を達成…スキル『バトルコングの覇気』を獲得しました』
早くない!?もう千体倒しちゃったの…って、そうか。『武芸百般』で、倒す数も少なくて良くなってるのか。これもあくまでノーマルスキルだからな。
…ということは、この階層で大体1時間で称号系スキルが一個手に入る…ってことは、ゴブリンとかならもっと早く手に入れられるのでは…!
そう思い、僕は一旦『帰還の宝珠』でダンジョンから出て、1〜5階層でゴブリンを狩り始めた。
30分後。
『獲得条件を達成…スキル『ゴブリンの覇気』を獲得しました』
バトルコングより倒すのに時間がかからなかったため、30分ほどで『ゴブリンの覇気』を手に入れることができた。
1〜5階層にはゴブリンなどの限定されたモンスターしかいないが、6階層以降はそこのフロアの環境に合ったさまざまなモンスターが出てくる。
このペースなら、『アークトゥルス』に出てくる全モンスターの称号系スキル獲得も、王都に行くまでの2週間で出来るかもしれない…そう、少しの期待を胸に抱きながら僕は6階層に向かうのだった…
6階層〜10階層。ここは広い草原のエリアとなっており、フロアの端には見えない壁のようなものが存在する。
生息しているモンスターは、ウィンドウルフやチャージゴートなどの動きの速いモンスターたち。こいつらは群れで動く習性がある。そこで…
「スキル複合発動『衝撃』『粉砕』…『スマッシュインパクト』!!」
僕は真下の地面に向けて、『スマッシュインパクト』を放つ!この技は、『粉砕』により地面に与える衝撃を増やし、それをさらに『衝撃』で増幅させて攻撃力を与えることで強力な範囲攻撃ができるようになっているのだ。
「「「「ウルォォォン!!」」」」
その威力により地面は一気に抉り取られ、僕は反動で真上に吹き飛び、周囲の十匹ほどのウルフ達は全員ダメージを受けて絶命した。
この技、もっといろんなスキルを積めば広域の殲滅も夢じゃないかもしれない…そんなことを考えながらウルフ達を殲滅していると、15分ほどでスキルを獲得した。
『獲得条件を達成…スキル『ウィンドウルフの覇気』を獲得しました』
『対象者が該当スキルを所持していません…スキル『俊足』を獲得しました』
「へ?今なんて?」
なんだって?スキル『俊足』?今獲得したのか…!?僕は驚きすぎて、ただのシステム音に対して聞き返してしまう。何してるんだ僕は…こんなのただ1人で喋ってはヤバい人じゃな…
『対象者が該当スキルを所持していません…スキル『俊足』を獲得しました』
…ん?返された?いやいやまさか。ただの幻聴だろう…でももう一回念のため…
「もう一回言って?」
『対象者が該当スキルを所持していません…スキル『俊足』を獲得しました…しつこいですよ』
言った!今この人(?)しつこいって言った!確実に返してきてるよ!
「えぇ…会話できるの?」
『あっ… 対象者が該当スキルを所持していません…スキル『俊足』を獲得しました』
いやいやいやいや!誤魔化そうとしてる!?あっ…て言ってるからもう無理だよ!
「もう遅いから!!!」
『はぁ…なんで会話できちゃいましたかねぇ…聞かなかったことにしてくれません?というか忘れてくれません?』
諦めたぁぁぁあ!隠す気ないよこれ!
「いやいやいや!無理だよ!?むしろ強く記憶に刻まれたよ!」
そう言うと、システム音さん(仮)が不穏な言葉を呟く。
『そうですか…では私が直々に…』
「待って!『直々に』って何する気なの!?まだ死にたくないよ僕!」
そこを濁されると恐怖でしかないよ!せめてはっきり言ってくれ!
『安心してください、少し後遺症は出るかもしれませんが』
「今ので安心できる要素が消し飛んだよ!隠してよ!」
本当に何をする気だよ僕に!そもそもまだこの状況が飲み込めてないのに!
『あぁ…そうなんですか。まあ簡単に説明しますと、あなたの固有スキル『武芸百般』と派生スキル『意思を継ぐ者』が妙なシナジーを起こし、なぜか私とあなたの意思疎通が可能となっただけです』
もう色々と突っ込ませて!?まず…
『頭の中に直接語りかけてるんですよ?心を読むくらいなら容易いことです』
ぐっ。
『それに、ちゃんとスキルの効果くらい確認して下さいよ。『意思を継ぐ者』は、毎回リセットされるはずの分身の意思を、記憶とともに引き継ぐスキルですよ』
ぐはっ。
『多分、そのスキル本来の力…スキル自身に干渉して意思を共有させる力が強化され、私とあなたの意思疎通を可能にしたものと思われます』
ぐはぁぁ!突っ込もうと思ってたこと…
『なぜ心が読めるのか』
『そもそも聞いたことないスキルがあるんだけど』
『シナジーってどゆこと?』
が全部先回りして言われた!システム音さん(仮)恐るべし!
『あの…そのシステム音さん(仮)って呼び方やめてくれません?』
「あっ…ごめんなさい。なんて呼べば…」
『そうですね…。ルキアとでもお呼びください』
「分かりました…ルキアさん」
こうして、僕とルキアさんは謎の邂逅を果たしたのであった。
システム音……なんかSっぽくて好きです(ヤバい人)
追記:名前を間違えていたので変更しました。すみません。 リオ→ルキア




