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死に神と死に神

目を覚ますと、目の前には一面真っ白な世界が飛び込んで来た。顔にはどうやら酸素マスクを付けられているみたいで、腕には点滴が繋がれている。どうやら病室のベッドの上らしい。身体を動かそうかと試みたけど、全身に力が入らない。

やがて、看護師が病室を訪れ、ボクが目を覚ました事に気付いた。

「神野さん、神野 力さん、分かりますか?」返事をしようにも、声すら出ない。ボクはかろうじて首を縦に振った。それを見た看護師さんは、一旦病室を出ると、暫くして山井先生を引き連れて再びやって来た。

山井先生はボクの目にペンライトを当てたり手首を掴んで脈を取ったりしている。そして、繋がれている何かの機械に目をやると「ヤバイなぁ、これじゃ持たないぞ」と言っているのが聞こえた。

そうか…ボクは死ぬのか?何故なんだ?ボクの計算上では、ボクには10年位の寿命が残る筈だったのに…憲文君は…助かったんだろうか?

「まさか、憲文君が意識を取り戻したその横で、神野さんが倒れてて、神野さんの癌が再発して倒れてるなんて…」看護師さんが悲しみを含んだ声で喋っている。

「あぁ、まるで神野さんが憲文君に命を与えたみたいにね…」山井先生も慈悲深さが伝わって来る物言いで話している。

そうですよ、ボクが憲文君に命を与えたんですよ。きっとそうさ。そうじゃ無きゃ死んでも死に切れないよなぁ…

「先生!バイタル落ちてます」

「イカン、電気ショックを用意!君は開胸セットを!心臓マッサージを!早く」

薄れて行く意識の中、死に神と化したボクの元に本物の死に神が迎えにやって来た。


              ~The End~

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