セカンドミッションⅡ
ボクは今、S県の桜市にいる。当然の事ながらターゲットの須藤 薫が居を構える地だ。
S県に来てから、既に三日が経っていて、須藤は未だに姿を現す気配が無い。
運営側の情報に依れば、須藤は日中家に籠もったまま、外出をする事も殆ど無いと言う事だった。でも、ボクは根気良くヤツの住むアパートを見張り続けた。
そして、今日も朝早くからヤツのアパートが見下ろせる雑居ビルに上がり、双眼鏡を使い、アパートを監視していた。
その時だった。遂にヤツが姿を現した。
恐らくだけど、少しめかし込んだ格好をしているから、依頼者の所にでも行こうと言う算段なのだろう。ボクはこれ見よがしに須藤に向けて念を送った。ここで手加減を間違える訳にはいかない。ボクは、深呼吸をしながら、ゆっくりと念を送り続けた。
須藤は突然、胸を押さえて苦しみ出し、その場に膝から崩れ落ちた。ボクは一旦、念を送るのを止め、双眼鏡からヤツの様子を伺っていた。
やがて、須藤はふら付きながらも立ち上がり、前に向けて歩を進め始めた。
"まだだな。もう少しヤツの命を吸い取る必要がある"ボクはゆっくりと加減しながら、再び念を送った。すると、今度は完全にその場に倒れ込み、動かなくなった。ボクは直ぐにでもヤツの側に駆け付け、様子を伺いたい所だったけど、ターゲットへの接触はご法度になっているから、暫くは須藤を監視し続けた。
須藤は動かなくなったとは言っても、身体を小刻みに痙攣させているから、死んではいない事は確認出来た。やがて、通行人が須藤の存在を確認し、彼を揺する様に寄り添うと、携帯電話を取り出し、何やら会話を始めた。
ボクは直ぐに雑居ビルを駆け降り、大通りまで出た。暫くして、救急車のサイレンが聞こえて来た。ボクはタクシーを捕まえ、「少し待って貰えますか?」と運転手に告げ、暫くして、思惑通り救急車が大通りに出て来ると、タクシーにそれを追わせた。
やがて救急車は、桜市の市民病院に辿り着き、ボクは病院の待合いスペースでその後の動向を探った。
一時間ほど経っただろうか?須藤はストレッチャーに乗せられ姿を現した。ボクは何気に跡を付け、運び込まれた病室の前で医療関係者の会話を盗み聞いた。
「この患者はどう見ても若いのに、まるで老衰の様になってるな。私も長年、医者をやってるが、こんな症状は初めてだ」
「この患者さんは、もうそんなに永く無いんですか?」
「私も何とも言えないが、治療を施した所で、老衰状態となれば、そう永くは生きられないだろうね。病気でも無いんだから、永く見積もっても五年がいい所だろう」
ボクはこの会話を聞き、心の中でガッツポーズをした。任務としては百点満点…イヤ!百二十点を上げても良いだろう。
ボクは充実した心持ちを抱えて病院を後にした。




