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#1 対邪神システム(プロローグ)

 俺が『早目野パブロフ』と名乗り、異世界で活躍していたころだ。邪神どもに数多の呪いを刻み込まれた。子供服・婦人服しか着られないなど、異世界でくらった微妙な呪いに、今も迷惑している。身長が3メートルにまで伸びたのも呪いが原因だろう。


 体重が0・3トンのわがままボディーへと進化したのも邪神のせいだ。

 はい。ウソです。

 肥満の原因は、ポテチでマヨネーズをサンドした、オリジナル・スイーツの食いすぎで太りました。そんな話を、てへぺろで話した際、女子にドン引かれたのは言うまでもない。


 いつだったか……。

 ベビー服を着て“もう爆発するぅ!”と絶叫しながらトイレを探している最中だった。

 機動隊と爆発物処理班に囲まれ、一滴漏らした。


 はい。またウソをつきました……。

 膀胱(ぼうこう)が号泣したので、「おぎゃあ!」と言ってごまかした。

 俺に向けられた大人たちの冷たい視線は、いまでも忘れられない。


 20代前半の俺が女児用の服を着て街を闊歩(かっぽ)しようものなら、間違いなく職質をうける。そのくせ、あらゆる店で女子割が発動してしまうのは、なんか切ない。


 他にも、どうき・息切れ・痛風、1センチの段差につまずくという怪現象が俺の肢体を襲うのだ。


 女子力を爆上げしてミニスカートの似合う青年になろうと考えたが、大事なことを思い出した。異世界に忘れてきた“聖剣とパンツ”を取り戻すことだ。


 剣を持つところとパンツのゴムのあたりに、ひらがなで本名を書いてしまっている。“忘れ物”の奪還は急務だ。


 熟慮の結果、邪神たちをホフって解呪(かいじゅ)してもらうことに落着した。だが、ヤツらは異世界にいる。


 クトゥルフとの激闘のさなか、俺は現世に戻された。それきり、異世界に行けなくなったのだ。


 俺が行けないのなら、ヤツらに来てもらおう。

 そう考えた自称天才プログラマーの俺は、異世界・異次元から旧支配者(邪神)を引きずり出す“対邪神システム”を作っていた。


 システムの名は『ダイダロス』。


 ダイダロスはシステム(プログラム)の総称である。

 邪神の召喚・バトルフィールド創造・各種管理アプリなどの独立したシステムで構成される。


 ダイダロスの機能のひとつに、現世で邪神などとバトルができるエミュレーターがある。

 その名も『ストレンジ・バトル・エミュレーター(SBE)』。

 殴られたら痛い。ヘタをすると死ぬ。

 リスキーだが、SBEで非現実的なバトルが楽しめるはずだ。


 ダイダロスの構築にはノーデンスの手を借りた。

 彼のおかげで、邪神の召喚儀式は不要・召喚後の副作用がないなど、わりと安全なシステムになっている。


 自分用に開発していたが、いずれ一般公開して法外な利用料を取ろうと目論んでいる。


 一攫千金を狙っている俺は、難航していたSBEの開発を急いでいた。

 徹夜がつづき、PCのキーボード付近に小人のようなものが見えだしたときは、どうしようかと思った。


 が、本日めでたくSBEを実装した試作版ダイダロスの完成を迎えた。

 問題がなければ、正式にリリースしようと考えている。

 うまく動いてくれるといいのだが……。


 さっそく、召喚システムが邪神らしき者のお取り寄せに成功したらしい。

 居場所は特定できていないが、なんとかなるだろう。


 さて、アホなメンバーを召集して邪神をイジリに行くとしますか。


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