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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第七章 砂漠の褐色の種族編

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第288話 砂漠で助けた相手の正体は?

「あのデザートロック何か気になる。ちょっと見てくる!」

「ス~!」

「あ、お兄様そんなお一人で!」


 モルジアの叫ぶ声が聞こえてきたけど申し訳ないけど一人で砂の波に乗って移動した。


 何か緊急事態な気がしてならなかったからだ。勿論気の所為ならそれに越したことはないんだけどね。


「見えてきた。あれは、人が襲われている!」

「ス~!?」


 僕の首にしがみついているスーも驚いていた。しかもデザートロックの羽ばたきで竜巻まで発生している。嫌な予感があたってしまったようだ。


「砂魔法・砂砦!」


 僕が砂魔法を行使すると襲われている人を囲むような砂の箱が出来上がった。砂の城よりもコンパクトな守りを構築できるのがこの魔法だ。


 竜巻が砦を飲み込むけど、僕もあれから成長している。そう簡単に崩れはしない。


「砂魔法・砂瀑布(さばくふ)!」


 そして僕は人を襲っていたデザートロックに向けて更に魔法を続けた。大量の砂がデザートロックの頭上から滝のように降り注ぎその巨体が砂漠に沈む。


「よし行こう!」

「ス~!」


 そのまま僕は作成した砦の近くまで向かった。デザートロックは砂に埋もれて息絶えていた。悪いけど君の素材はしっかり有効活用させてもらうし肉は美味しく調理するからね。


 さてと危険も去ったし襲われていた人を囲っていた砂の砦も解除した。サラサラと砦がただの砂に戻っていき、中にはローブを来た人の姿。肌が褐色だね。そして線が細い。もしかして女の子?


「ど、どうなってるんだ? 私は助かったのか?」


 その子は戸惑ってる様子だった。とりあえず声をかけようかな。


「あの。大丈夫ですか?」

「え? な! に、人間か! くっ!」


 僕を見てローブ姿の子が驚きの声を上げた。声が高めで雰囲気的にやっぱり女の子かな?


 何か苦しげに膝をついてしまっている。怪我をしているのかもしれない。


「大丈夫? ちょっとだけ待っていて。もう少しで仲間がくるよ」


 魔法で先に来てしまったけど皆もこっちに向かってくれてると思う。距離はそこまで離れていないから間もなく合流出来ると思うんだ。


「な、仲間だと! さては貴様私を連れ帰り奴隷にするつもりだな!」

「えッ!? ないよそんなこと!」

「ス~!」


 彼女からそんなことを言われて驚いた。スーもだね。でも最近忘れがちだけどここは危険な砂漠で僕みたいな人間がいること自体本来は珍しいんだったね。


 そう考えたら彼女もどうしてこんな砂漠に一人でと思わなくもないけど、警戒されてもおかしくないのかなぁ。


「むっ? 待て! その肩に乗ってるのは――」

「あ、うん。砂の精霊のスーと言うんだ。僕の大事な友だちだよ」

「ス~♪」


 僕がそう彼女に説明するとスーが嬉しそうに頬ずりしてきた。はは、何だかくすぐったいね。


「砂の精霊だと! 馬鹿な、人に精霊がなついているというのか? まして砂の精霊など我らの種族でも見ることが叶わなかった存在だぞ――」


 種族? というともしかして彼女この砂漠で暮らす何らかの種族なんだろうか?


「お兄様!」

「ホルス!」

「ンゴンゴッ~……」

「陛下ご無事でしたか」


 僕が一人考えているとイシス、モルジア、スイムの三人が追いついてきた。イシスを乗せたラクがちょっと疲れてそうだよ。急がされちゃったかな?


「急にいっちゃうんだからびっくりしたんだよ」

「ごめんごめん」

「ンゴ~」


 イシスにちょっと叱られた。事情も話さず来ちゃったからね。


「あの、それでイシス。実はこの子が怪我してるみたいなんだ」


 僕は皆に今の状況を説明した。


「そうなのですね。大丈夫ですか?」

「よ、よるな人間の助けなどいらん!」

「ふむ。その口ぶりだと貴方は違うのですか?」


 イシスが心配そうに近づくけど彼女は手を払って治療を拒否してしまう。そしてスイムはその子の発言が気になったようだ。


「当然だ! 誇り高きダークエルフの私を人間などと一緒にするな!」


 そして彼女がフードを捲ると――褐色の肌で耳の尖った可愛らしい女の子の顔が顕になった。


 それにしてもダークエルフ――エルフなら聞いたことあるけどダークエルフは初めて知ったよ。


「よくわからないけど貴方お兄様に助けて貰ったのでしょ? それならお礼ぐらい言ったら如何ですの。それともダークエルフというのはそういった礼儀すら軽んじる種族ですの?」


 モルジアがキツイ口調で彼女に言った。


「う! そ、それは、本当にありがたいと思っている。感謝している」


 すると殊勝にお礼を述べられた。きっと根は素直ないい子なんだろうね。


「むむっ、待て待て! お前手足に枷をされてるではないか! やはりそうなのだな! そうやって奴隷を増やして欲望のはけ口にしているのだろう!」

「えぇ!」


 モルジアの枷を見てどうやら誤解されてしまったようだ。つい僕も声が出ちゃったよ。


「失礼なことを言わないで欲しいですの! そもそも私のお兄様です! それはまぁお兄様の奴隷なら、わ、悪い気はしませんが……」

「ちょ、モルジア何言ってるの!?」

『やれやれ。大体俺だって好きで一緒にいるわけじゃねぇんだぜ』

「きょ、兄妹? いや、ていうか、何故枷が喋ってるのだーーーーーー!」


 あ、そっちに驚くのね――

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