第246話 変化する砂漠の王国
「坊主! 遂に出来たぞ! 理想の戦車が!」
ロキが随分と張り切ってやってきた。アリババ商会から仕入れた魔法火薬や他にも色々と手に入ったから一気に開発が進んだらしいね。
「どうだ! この戦車は!」
「わ~確かにこれは凄いね!」
試作品段階のは見ていたけど、完成版もより頑強そうになったね。肩に乗ってる大砲も更に大きくなってる気がする。
「ふむ、しかしこんなものより妾の方が強い自信があるぞえ」
フィーが隣に立って僕にぴったりとくっつきながら言ってきた。お、大きなのが腕に……
「フィー! くっつき過ぎだよ!」
「そうですの! お兄様に馴れ馴れしいですの!」
「なんぞ? 女の嫉妬はみっともないぞよ?」
「な、だったら私もですの!」
あう、何故かモルジアまで僕にひっついてきて、イシスは頬をぷくっと膨らませているよ。あ、でもそんなイシスも可愛いかも……
「うぉおおぉおお! おっぱいぃいぎぃいいええぇえええ!」
そしてロキが頭を抱えて身悶え苦しんでいた。変わらないねロキは。
「ンゴォ~……」
「愛があっても突っ込みきれないかしら」
「ス~……」
あぁラクやスー、それにアイまでやれやれと言った様子だ。相変わらずにね。
「お前ら何馬鹿なことやってんだ」
頭を掻きながらザックがやってきた。凄く呆れた目でこっちを見ている。
「たく、おいロキ。こっちも仕事残ってんだから早くきてくれよ」
「フンッ! ひとづかいの荒いやつだ。そうだ坊主。城にもしっかり大砲つけといてやるからな」
「いやいや! どうして!」
突然の提案に驚きだよ! 何で城に大砲! そういえば前もそんなこと言っていた気がするけど!
「いざってときに城に大砲があれば安心だろうが!」
「そんないざってことが起きるほうが問題であろう」
腕を組んでフィーがため息を吐く。確かにそうなんだけどね。
「大体おっさん。これから作る壁にも大砲つける予定だろうが」
「大砲は多くおっぱいは大きくそれが俺のポリシーだ」
「ろくでもないポリシーですの」
『ケケッ、相変わらずだなこのおっさんは』
呆れるモルジアとどことなく楽しそうなカセの声が聞こえる。
「あぁそうだ王さんよ。家も大分出来てきたから見てみてくれよ」
「あ、はい。ならこれから」
火竜建団の仕事は本当に早い。外に出て改めて見てみると職人たちがトンテンカンテンと一生懸命家を作ってくれていた。
柔らかい砂も改良を加えてしっかり基礎から施工してくたしね。。
色々と材料も揃ったからか、これまで砂だった地面も改良を加えて石畳の道路も作ってくれている。
職人が来てくれたおかげで国がどんどん見違えていくのがわかるよ。
「こっちには公衆浴場も作るからな」
「ほう、風呂が出来るのかそれは楽しみよのう」
「でもお湯はどうするのですか?」
ザックの話を聞いてフィーが興味深そうに頷いていたよ。そしてイシスからは質問が飛んだ。
「アリババ商会から湯沸かし用の魔導具が届いていたからな。それでお湯は問題なく出来る」
そんな魔導具もあるんだ……アリババ商会の魔導具はやっぱり凄いんだね。
「後はオアシスを利用して各家に水も引き込むからな。下水のルートも練ってるところだ。この手のはまだ規模が小さいうちにしっかり地均ししておいた方がいいからな」
人が増えれば当然それに合わせて工事をしていく必要があるけど、最初のうちに方向性を決めておけば後々拡張するときにも困らないってことらしい。
「この国はこれからどんどん大きくなると思いますからね。国としても認められましたしここで暮らしたいとやってくる者も増えてくれば一万人ぐらいはすぐに超えるかもしれません」
スイムがやってきて私見を述べた。人が増えていくか……その時のためにもこちらも色々と準備が必要かな。
「ま、だけどなそれにはまだ色々問題点は多いな。この国に移住したくても砂漠は危険が多すぎる。わざわざ冒険者を護衛にしてまで来るってのがどれぐらいいるかってのもあるし、そもそも並の冒険者じゃ砂漠超えは厳しいしな」
ザックが問題点を指摘してくれた。この辺りは国交を結ぶための問題点の一つでもある。今はアリババ商会とトヌーラ商会のおかげで取り引きは成り立っているけど、どちらの商会にしても危険な砂漠に対応できるだけの力があるからに過ぎないわけだし。
「王様~アリババ商会の馬車が一台来たぜ。猫の嬢ちゃんと人狼のルガールが一緒だ」
色々話していたら物見塔の上からサーチが教えてくれた。ちなみにこの塔も僕が作成したのを参考に新しい塔を作る予定になっている。前と違って町の形も変わっていくから塔の設置場所も変えないといけないし、どうせならということだ。
「にゃん! やっと仕事から解放されて戻ってこれたにゃん!」
ペルシアとルガールを出迎えると、嬉しそうにペルシアが答えてくれた。
「ペルシア様。逆です。エルドラに戻った後また仕事でここまで来てるのですから」
「硬いことはいいっ子なしにゃん」
ペルシアが腰に手を当てて言った。ルガールも弱り顔だ。
「しかしお主もまた来るとはのう。アリババは大丈夫なのかえ?」
フィーがルガールを見ながら言う。
「御主人様はペルシア様の方を心配されてまして。ですがその分私の代わりを務める護衛はしっかりしごいてきましたから」
「ぬふぉぉおおお! お前のようないい女にしごかれるなんて最高じゃないかぐべっ!」
どこからともなくやってきたロキだったけどルガールの蹴りを食らって吹っ飛んでいった。ついでに頭を押さえて藻掻いている。もう見慣れた光景だ。
「ペルシア、今日は最初から人化してるですの」
モルジアの指摘で気がついた。確かに今は人化状態だよ。
「にゃん。実は新しい魔導具を作らせたにゃん! この腕輪がそうにゃん!」
ペルシアが腕輪を見せてふふんっと得意になってるよ。
「その腕輪はどんな腕輪なのですか?」
「見るにゃん!」
イシスの質問に答えるようにペルシアが腕を掲げると光に包まれて姿が猫に、つまり元の姿に戻ったよ。
「ス~ナ~!」
これには肩に乗ってるスーも驚きたね。
「見ての通り薬を飲まなくても自由に人化出来るのがこの腕輪にゃん」
「素晴らしい早速ルガールにつけるべき!」
「うるさいですの!」
「グベシッ!」
今度はモルジアの魔法でロキがふっ飛ばされたよ。
でも、こんな腕輪まで作っちゃうなんてやっぱりアリババ商会は凄いね――




