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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第六章 砂漠を狙う剥製王編

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第245話 代わりの報酬を求められるアングル

 アングルはゴマ盗賊団のアジトにやってきたが、前金で文句をつけられてしまった。アングルからしてみれば、ただアプステアから頼まれて来ただけでありなんとも理不尽な話ではあるがそんな理屈が通用する相手ではないだろう。


「全く、こんなもので俺をどうにか出来ると思ってたのか? 舐められたもんだぜ」


 周囲の盗賊達が一斉に得物を抜き、アングルを取り囲んだ。アングルは明らかに動揺している。


「ま、待て待て! 私はアプステア様に頼まれてここに来ているんだぞ! お前達だって散々あの方に世話になっているのだろう? その遣いの私に手を出したらどうなるかわかっているのか!」


 両手を広げ必死にセサミへ訴えるアプステア。聞いていたとおりならこのゴマ盗賊団はアプステアがいたからこそこれまでやってこれた筈だ。


 しかし、ここでアングルに手を出したらその後ろ盾とて失いかねない。


「俺たちが世話に? こりゃとんだお笑い草だ! アホかテメェは。世話になったんじゃねぇ俺達が世話してやってたようなもんなんだよ。これまでだって散々汚れ仕事を引き受けてやったんだ。表に出て困るのは寧ろあいつだろうさ」


 だがアングルの反論を笑い飛ばし、獰猛な笑みを浮かべながらセサミが言い放つ。盗賊の中でも特に異彩を放つ三人も似たような反応だった。


「ふん。斬り甲斐のなさそうな奴だが、見せしめに生首を送ってやるか」

「生かして殺す」

「あ~あ。ありゃもう死んだな」


 それぞれがアングルを嘲笑う。このままじゃ不味いとアングルの額に冷や汗が滲んだ。


「ちょっと、待て! お前らに大事なことを伝えてなかった!」

「あん? 大事なこと?」


 セサミが目を眇めアングルを睨む。次の言葉次第ですぐにで抹殺されそうだ。アングルの頬を冷や汗が伝う。


「さっき、金貨のことを言っていたが、その金貨を輸入する相手が、今回の目的であるバラムドーラ王国だ! 手紙にもあると思うが、報酬とは別に手に入れたものは好きにしていいのだ! それなら報酬として十分余りあるものだろう!」


 これはアプステアから許可された情報ではないが、流石にアングルも自分の命の方が大事である。


 とにかく相手に少しでも興味をもたせて自分の話を聞いてもらわなければ命がいくつあっても足りない。


「砂漠に金がねぇ。しかし、それが本当なら、アプステアの依頼なんてなくても、俺達だけで勝手に動いて奪っちまえばいいだけの話だ」

「いや待て、場所はどうする。国の場所は私なら分かる」


 話を聞いて、セサミかふむ、と顎を引く。


「それに、報酬の件なら、私が言えばもっとつり上げることも可能だ」

「いくらでもか?」

「で、できるだけの事はしよう」


 しめた、とアングルは考えとにかくこの場を切り抜けることを優先させようとした。保証はないがこの場さえやり過ごしてしまえば、後はどうとでもなる。


「それなら城を寄越せ。ちょうど拠点が欲しかったところだ」

「城だと?」


 それを聞いたアングルは、動揺し目を瞬かせた。


「金貨では駄目なのか?」

「金はどうせ奪う。城でいい。それと地位だ。俺達の拠点となる町が欲しい」

「ちょ、待て! 流石にそれは!」

「あん? どうしたできないのか?」


 セサミの顔つきが険しくなっていく。アングルにはもう出来ないという選択肢はなかった。


「わ、わかった。出来るだけのことはしよう」

「出来るだけじゃない。やれ」

「ぐっ、ぜ、善処する」

「やれ」

「――わかった」


 答えてからがっくりと項垂れた。当然こんなことを勝手に決めてよいわけがない。


「おい! 喜べテメェら。この仕事が片付いたら俺達盗賊の町が出来るってよ! 遂に俺も一国一城の主だ!」

「やったぜ頭!」

「俺達のセサミ親分ならきっとやってくれると信じていたぞ!」


 盗賊達が大盛りあがりを見せる。それを横目に頭を抱えるアングルだ。


「と、とにかく仕事は頼んだぞ。私は戻る」

「は、何いってんだ? 戻すわけねぇだろう」

「そうだぜ。大体場所はお前が知ってんだろうが」


 セサミが何を馬鹿なと言わんばかりに制し、ざんばら髪の男も文句を言った。あっという間にアングルは得物を構えた盗賊に囲まれてしまう。


「待て待て、場所はしっかり地図に記してやる。それに私はアプステア様に報告しないといけないし、他にも仕事がある」

「知ったことか。だいたいテメェはどうにも信用が出来ねぇ。一緒に連れて行く。俺達の仕事もしっかり確認してもらわねぇとな。成功したら何が何でも約束は守ってもらうぞ」

「そ、そんな――」


 狼狽するアングルだが、逃げる術はなかった。アングル自身そこまで腕っぷしも強くない。


「よし、今日は前祝いだ! そして明朝になったら出発するぞテメェら!」


 こうしてその日は酒の席に無理やり座らされ、ほぼ脅しに近いやりとりで酒も無理やり飲まされ、次の日地獄を見ることとなるアングルであった。


 一方その頃トヌーラ商会では。


「商会長。あの倉庫番長全く使えない上、黙って休んでますよ。全く!」

「仕方ないわね。給金は九割カットで代わりの者をすぐに向かわせるから」


 こうして商会での評価と給金も順調にさがり続けていくアングルなのであった――

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