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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第五章 砂漠と帝国の刺客編

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第217話 砂漠でキースを思い出すクリムゾン

「キースと俺たちは暫く一緒に過ごした。今思い返してみれば俺が妹について話した時、どこか懐かしむような顔をしていたな」

「くっ、そして、そうやって油断させて兄さんを殺したのか!」

 

 話の途中でリスリーが叫んだ。とても悔しそうだけど、それは違う。


「クリムゾンはそんな卑怯な真似はしないよ。誇り高いパピルサグ族の長なんだ」

「だまれ! 信じられるかこんな蠍か人かもわからないような亜人!」

「随分な言い草だな。お前は妹でもキースとは随分と違うようだ」

「何だと!」

「最初こそ驚いていたが、話してみればキースはわかりあえる男だった。だからこそ助ける気になった。そしてだからこそ……死んだことが残念だった」

「何だその言いぐさは! お前たちが殺しておいて!」

「違う。キースはワズイルという人間が殺したんだ」

「ワズイル将軍がだって!?」


 声を割り込ませたのはアンラキだった。同じ帝国騎士だからワズイルのこともよく知っているのかもね……


「それは、本当なのか?」

「本人から直接聞いたことだ」

「そんな話、信じられるか! 大体なぜ、なぜ将軍が同じ帝国騎士の兄を殺すというの!」


 リスリーは興奮状態にある。まともに話を聞けるような状態ではないし、何よりこのままだとイシスが――仕方ないか魔法で……


「私はそんな戯言を聞くつもりはない! いいから今すぐシュデル殿下を――」

「いい加減にするのだな」

「あ――」


 そしてリスリーが叫んだその時だった。影がリスリーの側まで一瞬にして近づき、かと思えば電撃が迸りリスリーが気を失って倒れた。


「全くライは女に手を出す主義ではないのだがな」

「フェル!」


 そうフェルだ。フェルが雷の如く速さで近づいて電撃でリスリーの意識を奪ったんだ。


「ありがとうフェル。ところで……」

「ご安心を姫。傷つけてはおりませぬ。気絶させただけ故」


 イシスの前で片膝をつきフェルが答えた。確かにみたところこれといった外傷は見られない。


「小娘壱号は無事であったか。さて、後はお主らの処遇をどうするかよのう」


 フィーがアンラキとケモナルを交互に見やりながら考える仕草を見せる。


「よもやこのような状況でもまだ、ただのトレジャーハンターだ、などと言うつもりではないであろうな?」


 ジャハルがアンラキに険しい視線を向けた。するとアンラキが降参とばかりに両手を上げて答える。


「流石にそこまで面の皮は厚くないつもりさ。この状況でごまかせるわけもない」

「……いいのかアンラキ?」

「仕方がない。ケモナルも無駄な抵抗は止めておくんだねぇ。この状況で下手なことしても損なだけさ」

「ふむ、随分とあっさり引き下がるのであるな?」


 アインが聞いて怪訝な顔を見せてるね。警戒は解いていない。


「どんなことでも引き際って物があるのさぁ。ギャンブルでも一緒だ。これを見極めずに意地になって前のめりになりすぎると失敗して後悔しか残らない」


 アンラキは、それにと繋ぎ、僕を見てきた。


「これまでの話で総合して考えると、ここは大人しくしておいた方が酷い目に遭わずに済む。貴方は元帝国の皇子様だが、どうやら考え方は帝国に染まっていないようだからねぇ」

「当然ですの。お兄様は寧ろ国の考えに否定的でしたの。私もですのよ!」

「それも愛かしら?」

『今は愛関係ねぇだろう』

「ンゴッ!」


 アンラキの発言にモルジアが反応して答えた。確かに僕はあの帝国の考え方は好きではなかった。


 だから手荒な真似はしたくないけど、アンラキはこの状況でも落ち着いているし話はわかりそうな人だよ。


「大人しくしていてくれればホルスは決して貴方達に危害を加えるような真似は致しません」

「ふん。そこに転がっている愚かな小娘は気に入らんがのう」


 フィーが腕を組み、倒れているリスリーを見下ろした。


「フィー落ち着いて。ね?」

「勿論妾は王がそういうのであればこれ以上手出しするつもりはないぞよ。ただし、まだ懲りずになにかしてくるつもりであれば話は別だがのう」


 これはフィーの本心だと思う。だからこそリスリーの誤解は解いて上げたいところなんだけど……


「彼女のことは、勘弁してやって欲しい。随分と兄を慕っていたようでねぇ。私も危惧していたことだけど復讐心が強すぎたようなのさぁ」

「ふむ。しかしそれは大きな間違いだぞ。さっきもいったがこやつの兄に手を掛けたのはここに捕えられているワズイルだ」

「……本当なのか?」

「俺が嘘をついているとでも?」

「……アンラキはどう思う?」


 クリムゾンの答えを聞いてケモナルがアンラキの判断を仰いだね。


「嘘を言っているようには思えないねぇ。その意味もないし、ま、最初は驚いたが、よく考えてみればワズイルなら有り得る話さ」


 苦笑してアンラキが答える。


「とにかく、お前たちが帝国兵だとわかった以上、このままというわけにはいかないだろう」


 腕を組みジャハルが言う。


「そうだね。それは仕方ないと思うねぇ。私達もある程度覚悟は出来ている」

「その、さっきも言ったけど手荒な真似をするつもりはないからそこは安心して欲しい」


 念の為そこは再度伝えておく。抵抗されるならまた話は変わってくるけど、聞いている限りそんなつもりもなさそうだし。


「ありがとう。リスリーを助けてもらった恩もあるから、こっちも出来るだけのことはするさ。そして、捕まっておきながらこんなことを言うのも何だけど、一つ頼まれごとを聞いてもらってもいいかな?」


 アンラキがそう持ちかけてきたけど、頼まれごと……一体何だろうか?

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[一言] リスリー……もしダメだったら、そのときは……。
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