第126話 砂漠の戦後処理
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結局、ワズイルは僕が魔法で生み出した砂の巨人を見て、戦線から離脱、つまり逃げ出した。
本隊も一緒に逃げてしまったけど、その数は二十ぐらいかなと思う。
僕にとって軍を相手にした戦いは初めての経験となったけど、皆が頑張ってくれたからこちら側にはそこまで大きな被害は出なかった。
傷にしても重傷者はなく精々かすり傷を受けた程度の負傷者が数名といったところだ。
「このぐらいの勝ちで良かったのかな?」
「う、うむぅ。これで勝ち過ぎでないとはとても言えないのだが、しかし相手に恐怖を与えることには成功したと思われる。それは将軍の逃げようからしても明らかであろう」
「うん! お兄様の魔法に恐れをなして逃げるワズイルの姿はスカッとしましたの!」
『ケケッ、随分と嬉しそうだな』
モルジアはよっぽど腹に据えていたのだろうね。無理やり結婚させられそうになった相手だもんね。溜飲が下がる思いだったのかも。
「ただ、冷静に考えてみるとそもそもこの死の砂漠では途中で死ぬ可能性の方が高い気がするのだがな」
顎に手を添え、スイムが言った。砂漠の魔物は凶暴だし、そう考えると確かに……
「ま、そんなことを考えても仕方ないだろうさ。大体向こうから勝手に仕掛けてきたんだ。のたれ死のうが魔物に喰われようが自業自得だ」
ライゴウが話に加わってきた。帝国軍に関しては、ザマァ見ろと言った感情らしい。
「帝国軍が戦争では負け無しと聞いていたからな。そう考えたらボスは大したもんだぜ」
あぁ~そう言われてみると帝国はそういうところを自慢にしていた国だったね。もっともだからこそ恨んでいる相手も多いのだろうけど。
「ところでにゃん。この後どうするにゃん?」
「この後?」
「これはいうなれば戦争にゃん。戦いは終わったけどにゃん。戦後処理が必要にゃん。生き残った相手の兵の扱いも考えないといけないにゃん?」
「あ……」
ペルシアの言うとおりだ。戦いで勝利したのはいいけど……
僕は改めて戦が終わった砂漠をみやった。当然だけど、僕たちは無傷でも敵兵は別だ。
「……放っておくわけにはいかないよね。手分けして無事な兵士は傷の状態を見て、回復魔法が必要そうなら、イシスもうしわけないのだけど……」
「うん! 勿論けが人の治療は任せて」
こうして僕たちは帝国の兵士たちの状況を掴むことに奔走した。
そこでわかったのは結構な数の死者が出たことだ……
「悲しいけど、これが戦争なんだよね……」
砂漠に倒れる遺体の数々に胸が痛む思いだ。
「死んだ兵とて覚悟してのことであろう。それに向こうからの侵略行為。命に対して全く無自覚であれとは言わぬが、気にしすぎていてはこの先持ちませんぞ」
スイムは僕の表情から気持ちを汲み取ってくれたみたいだ。流石ギルドマスターに選ばれるだけあって考え方がしっかりしている。
「死体は全て燃やすことも可能であるぞ」
フィーがそう言ってくれた。死者が出た以上、処理も考えないといけない。
燃やす……それも一つの手なんだろうけど、結局僕は砂に埋める砂葬を選んだ。確かに敵ではあったけど、せめてもの弔いと思ってのことだ。
更にわかったのは離脱者、つまり逃げ出した兵も結構いたということだ。ただ、この死の砂漠でむやみに逃げても……そこは考えるのは止めておこう。
流石に逃げ出した兵を助けるために動くというわけにもいかない。自己責任で何とかして貰う他ないね。
さて、大事なのはここからだ。当然だけど兵達には生き残った人もいる。中にはイシスの魔法で治療を受けたことで感銘を受けた兵もいたようだね。
後、途中で降伏してきた兵もいる。ただ当然僕たちに対して恨みの籠もった目を向けて来る兵もいたわけだけど。
とにかく彼らは一旦捕虜扱いにして城の地下に作成した牢屋に入れることになった。
当然だけどあの獣人の奴隷もだ。ただ、これには少しの迷いもあった。そこで同じ獣人の皆にも意見を聞いてみたのだけど。
「何も迷う必要はないわ。確かに種族は一緒かもだけど、それとこれとは別よ」
「凶悪な犯罪者なら僕たちも怖いですからね……」
「人間にも善人がいて悪人がいるように、獣人にもいるってことっす! あの首輪の情報を見るにかなりの凶悪犯っすから絶対に出しては駄目っす!」
「獣人の罪人? そんなことよりも俺の筋肉を見て欲しいぜ! どうだい王様! この美しいマッ――」
というわけで、一人例外はいたけど、皆意見は一緒で同じ獣人だからといって犯罪者に情けを掛ける必要はないということだった。
冷静に考えたらそれもそうか。種族が違っても中にはいい人もいれば悪い人もいる。当然のことだった。
「ふむ、ならば必要ない者や反抗心の強い者は妾が燃やしておこうかのう」
「いやいや怖いよフィー! 捕虜の命は大事にだよ!」
「ス~ナ~……」
「ふむ、王がそういうのであれば仕方あるまい」
フィーが納得してくれた。良かった確認を取ってくれて。
「でも、どうするにゃん? 捕虜として残しておくならそれ相応にコストが掛かるにゃん」
う~ん、確かに捕虜には食事も必要になる。というかそれが殆どかな。ただ現状砂漠でありながらオアシスを中心に結構潤ってきている。まだ国で暮らす人が少ないというのもあるけど、畑で採れた物も含めて余剰分があるからね。もっともだからといって無尽蔵ってわけにもいかないけど。
「ずっとこのままというわけにもいきませんものね」
「身代金でも要求したらどうだ? 戦争ではよくあるぜ?」
ライゴウが助言してくれた。でも、身代金……別にそこに罪悪感があるというわけじゃない。ただ一応は元祖国だ。帝国のやり方はそれなりにはわかる。
「ふん。身代金など要求しても無駄だぞ。帝国は徹底した実力主義の世界だ。自国に利のない要求には応じはしないさ。精々次に繋げるために大義名分として利用する程度だろう。それにしても我らの命など毛ほども思っていないだろうさ」
一人の騎士がそう吐露した。う~ん、やっぱりそうだよね。僕もそんな気はしていた。
だったら仕方ないかな。このまま何もさせないってわけにもいかないし。
「わかりました。ただ今も言った通り無駄に命を奪うつもりはありません。かと言って何もせずただ施すわけにもいかないので――皆さんには働いてもらいます」
「「「「「「「「「「はっ?」」」」」」」」」」
労働は必要!
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