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収納力ゼロ、僕の空間収納で物は収納できません。  作者: 士口 十介
獣人の国

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では君たちに、暗黒大陸探索の任務を与える。

シオリが情報を仕入れて三日後、僕たちはスカディ先生、いやスカディ協会長マスターに呼び出された。

スカディ協会長マスターは冒険者協会の二階にある部屋で僕たちを待っていた。


部屋は面談する為のテーブルとソファーが置かれ、テーブルの上には何冊かの資料が置かれていた。

僕はその資料を見つめる。


「この資料……これは紙ですか?確か教会の福音書か冒険者訓練所の教科書にしか使われていなかったと思いましたが?」


「今まではな。紙の製法は教会の秘匿技術だったが、20年前に我が国の聖アスタロト教会が総本山から独立した時に公開された。それがようやく大量生産出来るようになったのだよ。」


オロール王国は25年前の革命以降、平民にもギフトの授与が解放される。

だが、その行為はアスタロト教会の総本山である“リ・マーナ”聖国に横槍を入れさせた。


“ギフトは教会が認めた者だけに与えるべきであり、平民に与えるべきものでは無い。”


この場合の“教会が認めた者“と言うのは各国の有力貴族連中である。

教会はこの貴族連中から多額の寄付を貰っていた。

その貴族連中が自国に“平民へのギフト授与”に恐れをなしたのだ。

中にはオロール王国から亡命した貴族もいたとの事。

その連中が“平民へのギフト授与”を認めさせないよう教会に働きかけた。


“平民へのギフト授与”はオロール王国の主となる政策であったため、これを拒否。

結果、オロール王国国王ならびに宰相以下平民に至るまで破門とされた。


オロール王国は総本山とは別の聖アスタロト教会を設立。

その際、アスタロト教会によって秘匿されていた技術、“製紙”、“印刷”、“酒造”など様々な技術が公開された。

その内の“製紙”の大量生産がようやく可能になったという事だった。


「やり方は判っても大量生産は別だからね。」



スカディ協会長は集まった僕たちパーティのメンバーを見回す。


「いいだろう。この半月、各人スキルの訓練を行っていた様で何よりだ。では、冊子を取り中身を確認したまえ。」


各々、テーブルの上の冊子を取り中身を確認する。

冊子には暗黒大陸入口である獣人の国“セリアン”についての情報や探索の規模、メンバーの人数が書かれていた。


「協会長、この冊子によると探索のメンバーは最大50人となっていますが?」


「ああ、君たち以外の2パーティ、外交官1名と王国騎士団からも何人か探索に加わる。王国騎士団は“セリアン”への駐屯の役目だ。」


王国騎士団の派遣と聞いて僕は疑問符を浮かべた。


「セリアンへの駐屯?」


「それがセリアン通過の条件だからだよ。セリアンを通過できなければ暗黒大陸探索は極めて難しいからね。」


冒険者3パーティと言えば、1パーティ8人として24人。

騎士団は25人が上限だったはず。

それに外交官1名ならば全部で50名。


それだけで旅が出来るはずはないので実質100名近くになると予想される。


隊商キャラバンだね。これは。」


僕の言葉にゼフィールは同意する。


「確かにその通りだ。だけどこのルート、アッシュランドまでは前回通った道に近いから問題は少ないと思うけど、その後の道は不明だね。」



ゼフィールの言う通り、冊子の計画によると隊商は内戦の影響の少ない南側を通りアッシュランドへ進む。

その後、海岸線沿いにセリアンを目指すことになっていた。


残念ながら最近まで魔導帝国内の情報が一切入ってこなかった。

その為、セリアンに向かう道中、何があるのかの情報はない。


「アッシュランドで情報の入手が必要になりますわね。それを考慮して行程を決める必要がありますわ。」


ジュリアの言葉に一同は頷く。


「よし、注目。」


スカディ協会長は手を叩いて注目を促した。


「では君たちに、暗黒大陸探索の任務を与える。これは協会長命令だ。拒否した場合、冒険者資格の一時停止もある。」


「協会長、誰も拒否しませんよ。」


「ミハイル。これは一応聞くべきことなのだよ。では、暗黒大陸探索の任務に参加する者は一週間後、この協会第一会議室へ集合するように。では解散!」



スカディ協会長の話の内容からすると、暗黒大陸探索の用意は一週間以内に行わなければならない。

冊子によれば移動手段、各パーティの食料や飲料の手配も行わなければならない様だ。

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