ついに暗黒大陸への探索か!!
冒険者となった僕たちはパーティごとに家を一軒与えられた。
共同生活をすることでパーティの結束を高める為らしい。
家の居間にはテーブルを挟んでロングソファーが二つ置かれ、パーティメンバーの談笑の場となっていた。
ソファーにはミハイルがくつろぎ、暖炉の脇に立つマロリオンは何かの本を読んでいる。
僕はそのソファーにどっかり腰を落とす。
「発動具を無料で貰う為とは言え、ひどい目に遭った。とても疲れたよ。」
「へぇー。その様子じゃ、上手くスキルは習得できたみたいだな。」
「ああ、ミハイル。スキルじゃなく呪文な。初級各種だけでなく中級も幾つか、後複合呪文を覚えてきたぞ。ほれ、これがリストだ。」
そう言って僕はミハイルに呪文の覚書を見せた。
「ん?何々???これほとんど攻撃呪文じゃないか。」
「ああ、補助呪文はマロリオンがいるからね。それに精神の量が少ないから常時消費する必要がある索敵系は厳しいからね。」
「まぁ、そんなものか……。俺の方も投げスキルの他、関節技や飛び道具も覚えたぜ。」
覚書を返しながらミハイルは拳を突き出す。
僕はミハイルの拳に自分の拳を合わせた。
「もしもの時はよろしく頼むよ。」
「まかせとけ!」
ミハイルと拳を合わせた後、固く握手する。
その時、ドタバタと駆け、扉を騒々しく開け放つ者がいた。
「大ニュースや!!」
「何だ!キョウカ、騒々しいぞ。」
マロリオンは本を閉じるとキョウカをたしなめる。
当のキョウカは悪びれた様子もなく大声で話し始めた。
「そんなん言うとる場合ちゃうで!すっごい情報があるんやで!!」
「キョウカはいつもやかましいで。少し静かに出来ひんのか?」
キョウカの大声を聞きつけたのかシオリやカエデ、ゼフィール達もやって来た。
シオリの横ではカエデが同意する様に頷いている。
しかしキョウカはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「シオリか、よく聞いといた方がええで。あの暗黒大陸への探査命令が下りるんやて!」
キョウカの言葉にその場にいた全員が注目した。
「「「ついに暗黒大陸への探索か!!」」」
「まて!ミハイル。まだ我々にその探索の任が下りるとは限らないぞ。」
「だがマロリオン。私達なら帝国のアッシュランド伯爵とは面識がある。帝国内も問題なく通過できるだろう。」
ジュリアの言葉にミハイルやシオリは頷いた。
だが、ゼフィールは浮かない顔だ。
僕はその理由を訊ねてみる事にした。
「どうしたゼフィール。何か気になることがあるのか?」
「いや、ちょっとね。帝国が分裂した機会を狙ってセリアン王国が帝国からの分離独立を狙ったのはよく判る。そして独立を維持するためにオロール王国を頼った……という事だろう。」
「それで気になる事とは?」
「東の大国、カインの動向だよ。全く動きを見せないのが気にかかる。それに、セリアンが頼ったのはオロールだけではないはずだ。」
「最悪、その連中との間に諍いが起こる可能性があると?」
「少なくとも何らかの接触はあるだろうね。」




