野外実習を覚えているか?
僕はギョッとして立ちすくんでしまった。
なぜスカディ先生が呪文を収納したことを知っているのだろうか?
いや、違う。
スカディ先生は“呪文を弾いた”と言った。
僕が半分ぐらい収納している事は知らないのだ。
だけど、“弾いた”と言うのは誰から聞いた事なのだろうか?
兎も角、他の人に広まらないようにしなくては。
「協会長、いや、スカディ先生、“弾いた”ことは内密に・・・」
「ああ、判っている。
この事を知っているのはアルバート氏の他は陛下や国の重鎮ぐらいだ。」
僕はスカディ先生の答えに動揺を隠せなかった。
「アルバートさんまで!その上、国王陛下も!!」
スカディ先生は首を傾げた。
「ん?ニコラ、
君が魔導皇帝の呪文を弾いた事を教えてくれたのはアルバート氏だよ?」
「ええ?そんな素振りは一つも・・・
だけど何故、判ったのだろう?」
「まぁ掛けたまえ、ニコラ。
魔物が王都を囲んだ日を覚えているか?
その時君はアルバート氏に“僕にしかできない”と言っただろう。
君がどこかへ出かけた後、王都も周りにいた魔物達が消え去った。
元々、何かを“弾き返す”ことはアルバート氏も知っていた事だ。
それらを組み合わせると何が行われたのかは十分推理できる。」
スカディ先生に勧められるまま椅子に座る。
僕のその時の行動を思い出してみた。
こうして時間が立って考えてみると自分の行動に頭を抱えた。
自分がばれる様に行動していたという事だ。
話が広まっていないのはアルバートさん達が広めなかったという事だ。
あれ?でも魔法の講義や訓練を受けない事にどう繋がるのだろう?
「弾き返した魔法の数は一発じゃないだろう。
それこそ何百発、ひょっとしたら千発かもしれない。」
(すみません先生。流星五十万発です・・・)
「それだけの数の呪文を弾き返したのなら、
何らかの呪文スキルを習得していてもおかしくは無いと考えたのだ。
実際、数多くの呪文スキルを習得していたが・・・。」
「え?呪文スキル?
持っているかは調べた事はありませんよ?」
「シュマレフの野外実習を覚えているか?」
「もちろん憶えていますよ。
ゼフィールやマロリオン、シオリ、キョウカ、カエデと初めて会った実習ですよね。」
「では、その時、一緒にいた人物については?」
「確かキュアさん。 ・・・・・ あ!?
スカディ先生、キュアさんが宮廷魔導士って本当ですか?」
スカディ先生はにこりと笑い。
「正確には元宮廷魔導士だ。
あの時はお前たちの能力を調べる目的であの場所に居たのだ。」
シュマレフの野外実習は訓練所に入る前に行った実地訓練だ。
スカディ先生のよると既にあの時、僕の呪文能力は知られていたらしい。
「でも先生、僕は呪文を使えないのですよ?
「うーん。私は専門外だから詳しいことは判らない。
キュアなら協会の魔道研究所にいるぞ。
聞いてみたらどうだ?」
「魔道研究所?」
僕が聞き覚えの無い場所だ。
「君らが王国を留守にしている時に作り上げた。
遺跡などで出る魔道具の研究機関だ。
キュアはそこの所長をしている。」




