やっぱり呪文が使えたのだね。
流星の呪文を使うために必要な呪文、
火系呪文の爆発、
風系呪文の拡散、
土系呪文の岩塊
この三つを使うことは出来なかった。
マロリオンの話ではギフトで使っても覚えることが可能と言っていた。
収納を取り出すだけでは使ったことにはならないのだろうか?
使えない理由を考えていると、後ろから見られているのを感じる。
外堀の底にいるのに?
むしろ外堀の底にいるからか?
いったい誰が?
後ろを振り向くと視線の主と目が合った。
視線が合ったことで、僕を見ていた人物が凍り付く。
当の人物から目を離さずゆっくりと階段を上る。
「ゼフィール、何時からそこに?」
「・・・ すみません、ごめんなさい。覗くつもりはなかったのです。」
ゼフィールはいきなり土下座をしてきた。
僕は土下座をするゼフィールを急いで起こす。
いや、そこまで謝ってもらうつもりはないから。
「爆発の訓練をしているなんて知らなくて・・・。」
「ははははは、ゼフィール君は何を言っているのかなぁ?
隠れて訓練ナンカシテイナイヨ。」
とりあえず僕はシラを切る事にする。
この事がジュリアの耳に入るともっと厄介なことになりそうな気がする。
ただでさえ、協会への報告を押し付けたのだから、良い事にはならないだろう。
やはり、ゼフィールには何も見なかったことにしてもらわなくてはならない。
「いや、でも、識別で
”爆発発動失敗”と出ていましたし・・。」
「いやいや、そもそも爆発は使っていない・・・ん?」
僕は少し考える。
ゼフィールは今、発動失敗と言った。
呪文が使えなければ
”呪文は使えない”とか
”何も識別できない”とか
”不思議な踊りを踊った”とか
になるのではないのか?
そもそも、成功する可能性があるから失敗がありえるわけで
成功の可能性が無い場合、“爆発発動失敗“とはならない。
「ゼフィール、ちょっと訓練に付き合ってくれ。」
といって、今度はセフィールを連れて外堀の底に降りた。
この場所なら他人に聞かれることはないだろう。
僕は先ほどの疑問をゼフィールに聞いてみることにする。
「ゼフィール、呪文が使えない人が呪文を使おうとした場合、識別ではどう見えるのだ?」
「呪文が使えない人?
状況にもよるけど、“不思議な踊り”とか“呪文のポーズ”とかかな。」
「じゃあ、僕が爆発とやった場合は?」
「“範囲拡大、威力最大、爆発・・・発動失敗”だったかな?」
「発動失敗だけでなく“範囲拡大、威力最大、”と言う言葉も付いていたのか。
でも“範囲拡大、威力最大”ってなんだろう?」
「確か呪文の範囲や威力を上げる効果だと思う。
詳しくはマロリオンが知っていると思うよ。
でもニコラ君はやっぱり呪文が使えたのだね。」
「やっぱり?」
ゼフィールはやっぱりと言った。
彼の通常知りえる情報で僕が呪文を使えると言うことは判らないはずだ。
僕だって少し前のマロリオンとの会話で使える可能性に気付いたばかりなのだ。
「ん?識別で見た時のスキルの項目に火系呪文とかあったからだけど?」
・・・・・
ゼフィールの識別と言うのは、かなり不味いものでは無いだろうか?




