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収納力ゼロ、僕の空間収納で物は収納できません。  作者: 士口 十介
魔導帝国の興亡

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戦闘配置!

僕は急いで雨避けに使っている銀の盾を解除し、マデリンの攻撃に備える。

多少雨が掛かるが仕方がない事だ。

マデリンは魔術師であるため備えが必要であり、

どの様な魔術を使い攻撃するのか見極めなくては銀の盾の展開が遅くなる。

前もって展開するほどの時間をくれるとは思えない。


「全員馬車から降りて戦闘配置!

ニコラ、シオリ、ミハイルは前を

ゼフィール、キョウカは後、

マロリオン、カエデはみんなに補助魔法を頼む。

ロムスさん馬車に入って防御姿勢を取って下さい。」


「いや、私も前で戦わせてもらうよ。

マデリン子爵は聞き捨てならない事を言っていたしね。」


ロムスさんは構えを取るとその手の中に細剣レイピアが現れた。

その刀身は薄く青白く輝き鍔の部分には精緻で美しい模様が施されている。

ロムスさんはその細剣レイピアを軽く振ると切っ先の残像が空中で輝く。

その残像はやがて複雑な模様を構成する。


「ちっ、魔法陣か!」


「ふ、遅いですよ。

猛り狂え!水精!我が敵を穿て!

水精豪槍アクアランス!!」


大人の太ももほどある水の槍が何本もマデリン子爵に殺到する。


ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!


激しくまき散らされた水飛沫が霧状になり視界を遮る。


「・・・」


何本もの水の槍がマデリン子爵当たった。

あの威力なら倒せたはずだ。

しかし、ロムスさんは構えを解こうとしていない。


「むひょひょひょひょひょ。

流石に周りに水が多いとすごい威力になりますね。

私も少しダメージを負いましたよ。」



気持ちの悪い笑い声と共に霧が晴れ、傷一つないマデリンが姿を現す。

いや、頬のあたりにちょっぴり傷がついている様だ。


「おいおい、あれだけの魔法を受けて無傷かよ。

何処かの誰かさん並みだな。」


ミハイルはロムスさんの呪文を防いだマデリンの姿を見て拳を構え直す。

低く構えたその姿はさながら獲物を狙う虎の様でもある。


「魔法を防げるが、俺の拳ならどうかな!!」


その瞬間爆発的な勢いでマデリンに接近する。

ミハイルはギフト“剛力”を使って地面を蹴った。

足は腕で使う場合の四倍ほど効果が高い。

その結果、爆発的な加速を生むのだ。


ミハイルは目にも止まらぬ速さでマデリンに接近し拳を突き出した。

当然、突き出した拳にもギフト“剛力”を使用している。

威力は通常の十六倍にも達し、“その拳で粉砕できない物は無い。”と言わしめる。


これがミハイル最大の攻撃“ディストラクションブロウ”だ。


その威力はオーガ程度なら一撃で倒し、ミノタウロスでさえ瀕死となる。

拳の衝撃波で対象の後ろの物さえ破壊する、まさに必殺の拳だった。


パ!、パ!、パ!、パ!、パ!、パ!、パ!、パ!、パ!、パ!、パ!


ミハイルが突き出した拳が何かに当たった瞬間、破砕音が聞こえる。


「なに!」


突き出されたミハイルの拳はマデリンの眼前で止まっていた。


「くひひひひ。

これが我がぁ呪文、防御呪文を十二枚ぃ展開する技、

人呼んで“十二単”!」


「げ!」


ドヤ顔で胸を張るマデリンを横目にシオリが気持ち悪そうな顔をした。

見てはいけない物を見る様な表情だ。


「十二なんとかに何か問題があるのか?」


「 ”十二単”言うのんは、宮廷の女官が着る服装なんどす。

それあの男着てる姿を想像してもうて。

うっ、気分悪なってきた。」


女官が着るというのはどの様な物なのだろうか?

宮廷と言うからドレスのような物?

うん、確かに。マデリンが着ているところを想像すると気持ちが悪いな。


「く、これだかぁら平民ふぜいは。

だぁーが、そちらの最大の攻撃ぃ、魔法もぉ物理もぉ防ーいだ。

・・・という事はだ。」


マデリンが大きく手を振ると降っていた雨が止む。


いや、今度は僕たちの周囲に障壁が展開したのだ。


その為、今まで降っていた雨が止んだかのように感じたのだ。


「お前ぇの周りには“十二単”によーる障壁ぃが張り巡らされていまース。

アナタがたはこの障壁ぃを破ることが出来なかった以上、勝ち目はありまセーン。」


「ふ、何を言うか。

この障壁を維持するのに莫大な精神力が掛かろうであろう。

ならば、その精神力が疲弊するまで待てばいい事だ。」


ロムスさんはマデリンに言い返した。


しかし、


「くふあふぁふぁ。

何もぉ問題ありまセェーん。

私のギフトは“分与”。

これで精神力の問題は無くなったぁのでェース。」


マデリンはギフトの力で部下から精神力を分与するようだ。


「しかしぃ。それでは時間が掛かりマース。

そこで、・・・。」


マデリンが再び手を振ると、障壁の範囲が徐々に縮まってきた。


「こうやって縮めてぇ馬車事一塊にしてあげまース。

最早脱出は出来ませェーンん、ん?」


勝ち誇るマデリンの目に黒い影が猛スピードで近づいて来るのが見えた。

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