俺の従妹の初恋はヘタレなあいつ
ロバート・ユーテリアのお話です。
誰?と思った方は「物語の舞台1」をご覧ください。
昨日まで降り続いた雪は止み、冬の朝特有のキーンと澄んだ空気が辺りを包む。
俺は両親に連れられて王城にやってきた。兄さん達は学院から帰って来なかった。自分達で別に参加するのかな。
今日は王城で3回目の慰霊祭が行われる。離宮の惨劇から昨日で丸3年になり、王族の喪も今日明けたみたいだ。
慰霊祭の後、大人達は会議があると言って子供達は広間に集められた。よくよく見ると、ここに居るのは伯爵家以上の者らしい。どうせ王子達の婚約者でもこの中から決めるのだろう。男である俺には関係ない。
「ロバートお従兄様、あの方はどなたですか?」
「誰だい?」
「あそこにいらっしゃる橙色の髪の方です」
「あぁ、あの方はフロント侯爵家のアレックス君だね」
「アレックス様・・・」
「サリア、どうしたの?」
「私、一目惚れをしてしまったみたいです///」
「えっ!?」
お前は王子の婚約者候補だぞ!?って言葉を飲み込んだ俺を誰か褒めてほしい。サリアよ、よりにもよってあいつなのか・・・。
俺の実家であるユーテリア侯爵家は多数の宰相を輩出しており、フロント侯爵家は騎士団長を多数輩出している。文のユーテリアに対して武のフロント。
そして、ユーテリア家とフロント家は仲が悪い事で有名だ。ユーテリア家が是と言えば、フロント家は否と言うくらいだそうだ。かなーり昔に色々とやり合っていた頃を未だに引き摺っているらしい。
・・・全部外商からの受け売りだけど。
今代においては両家が宰相と騎士団長の職に付いている。両家を同時に徴用している国王陛下はすごいと思う。政務が滞っていないかが心配。
俺とホメット伯爵家のサリアは従兄妹同士。サリアの母親が俺の父親の妹で、兄妹の仲が良いからしょっちゅう交流している。最早サリアは実の妹と言っても過言では無いくらいに。
そんなサリアの初恋がよりにもよってアレックス・フロントなんて・・・。応援して良いのか、悪いのか。
俺は従妹の初恋を応援しても良いんだよな?
――――――――――
父さんは慰霊祭の残務処理のため、連日夜が遅い。一週間経った頃、漸く捕まえる事が出来た。
夕食後、リビングでブランデーをチビチビやってる父さんに話し掛ける。
「父さん、サリアがアレックス・フロントに恋をしたみたいなんだ。俺はサリアを応援してやりたいんだけど、良いかな?」
「構わんよ。ロビーは相手がフロント家だから遠慮しているんだろう?」
「うん」
「なぁに、あの意味の無いいがみ合いも私達が終わらせるさ。お前達は何も気にしなくて良い」
父さんは酒で少し赤くなった顔をニッコリさせて、俺の頭をくしゃっと撫でた。
後日、父さんの側近のローゼンにユーテリア家とフロント家の確執について聞いてみた。すると、英雄ショーン・マリナードの話を聞かされた。
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大昔、アスタロイドは大きな戦争に巻き込まれていた。西側の国と北側の国の戦争が飛び火した形で。まだ小国の多かった島国群だったここは代理戦争の地と化したのだ。
その中でも大きな領土を有していたアスタロイドは西側に着く。しかし、いつの間にか周囲は北側に着いた国で固められていた。
連日の様に攻められる我が国。戦争は膠着状態に陥る。
当時のアスタロイドに魔術師団は無く、兵と言えば水兵が中心の騎士団だった。敵と直接対峙している騎士団と、間接的にしか戦の内容を把握していない文官の間で齟齬がだんだんと大きくなる。軍服派と制服派。2派は互いに責任を押しつけ合いながらも事態は収拾出来ない。
国王は、事態の打開を図るべく一人の男に望みを掛ける。その男こそ、英雄ショーン・マリナード。彼は凄腕の魔術師で、無詠唱の大魔術を行使できた。
ショーンのお陰でアスタロイドは次々と戦に勝ち、島国を一つの国家としてまとめ上げた。
その功績を称え、彼は陞爵され、新たに結成した魔術師団の初代団長とした。
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その戦争の騎士団の指揮を執っていたのがフロント家で、王国の宰相の地位に居たのがユーテリア家だった。
その後も、互いの娘が王子を取り合ったり、息子が令嬢を奪い合ったりした結果、今の状態になったらしい。
このままでは駄目だと、ここ数代の当主は歩み寄ろうとするもなかなか糸口が見つけられない。業を煮やした今代の国王陛下がいい加減にしろと言って、期限を設けてしまったらしい。その期限とは、アイリス殿下が立太子するまで。
今アイリス殿下は8歳。20歳で立太子の予定だから、残すはあと12年か。
――――――――――
来月、俺は10歳の誕生日を迎える。父さんにあるお願いをした。
「父さん。俺の10歳のパーティーに、サリアとアレックス君を会わせる事は出来ないかな」
「そうだな・・・。よし、招待してみよう。これがお互い歩み寄るきっかけになるかもしれないしな」
招待状を出した結果、アレックス君は彼の父上であるマシュー様と来てくれる事になった。
俺はサリアにその事を隠した。当日知った方が運命的だろうと。ちょっとしたいたずら心で。
――――――――――
俺の誕生日がやってきた。兄さん達の時は夜会だったけど、今回はサリア達が来るから昼宴会にしてもらった。
夜会だったら僕達も参加出来たのに!ってアンディ兄さんに言われたけど、今回はしょうがないって事で。
俺には5歳離れた双子の兄がいる。長男のフレデリック兄さんと次男のアンドリュー兄さん。俺はユーテリア家の三男だ。
俺が会場に入ると父さんの挨拶が行われる。
挨拶が終わり歓談が始まると、早速サリアが俺の所にやってきた。今日は爽やかな黄色のサマードレスで来たんだな。俺は挨拶もそこそこに抗議を受ける。
「ロバートお従兄様!どうして前もって教えて頂けなかったんですか!!」
「え?」
「アレックス様がいらっしゃるなんて聞いてません!!」
「あ、すっかり忘れてた。ごめんごめん」
「もう!・・・それで、その、後ほどご紹介していただけるのですよね?」
サリアは俯いて、もじもじし始めた。うん!今日もかわいい!!
俺は後で紹介するとサリアに約束し、父さんと共に客人へ挨拶に回った。
アレックス君の父上のマシュー様はとても立派な体躯の持ち主だ。まるで熊みたい。
「ルーク!まさか貴様から招待を受けるとは思わなかったわい!」ガハハハ
「俺だって、マシューがまさか了承すると思わなかったさ!」アハハハ
父さんも俺って言う事あるんだ。って、あれ?なんか、仲良し?おかしいな・・・。
挨拶回りが済むと、俺とサリア、アレックス君は三人で遊んだ。遊んだと言っても、せいぜい話しながらカードゲームをするくらい。
アレックス君は若干サリアを持て余していた。彼の姉上が勝ち気でお転婆な方らしく、こんな可愛らしい令嬢にどう接して良いのか判らないと言われた。なるほど。それでもサリアを可愛いと思ってるあたり、脈はあるんじゃないかな。
俺はアレックス君の帰り際にしっかり次回の約束を取り付けて、パーティーはお開きとなった。
父さんが事の顛末を国王陛下に報告すると、子供の方が大人じゃないか。と小言を言われたらしい。ローゼンがそっと教えてくれた。
――――――――――
今日もアレックスはウチに遊びに来た。嫡男のはずだが、こいつは暇なのだろうか。まぁ、フロント家の街屋敷はウチの5軒隣だから簡単に来れるよな・・・。ちなみに、サリアの住む街屋敷は王城を挟んで反対側に有るから、来るのに結構な労力と時間が掛かる。
「ロビー兄さん!」
俺の事をこう呼ぶのはアレックスだけだ。まだ直接対面してから3ヶ月も経っていないのに、いつの間にか懐かれていた。彼は兄が欲しかったらしく、俺も弟が欲しかったから嫌じゃない・・・むしろウレシイ?ちなみに彼は結構な甘えたがりだ。
最近はサリアよりもウチにいる率が高い気がする。サリアにはこの前、俺ばかりがアレックスと会ってズルいって言われたし。どうするかな。
「--・・ってば!ロビー兄さんってば!」
「あ、ごめん、考え事してた。なんだっけ?」
「もう!この前魔力検査を受けたんだけど、貴族の中では普通だったんだよ。持ってるのも一般的な火と風だし。ロビー兄さんはどうだったの?」
「俺は風と土で、魔力量はそこそこ多めってところかな」
「すごいね!それって、風土の逆属性って言うんでしょ?」
「あぁ、でも、兄さん達に比べれば全然」
「フレデリック様とアンドリュー様は一人一つだからロビー兄さんの方がすごいよね?」
「でもな・・・」
兄さん達はそれぞれ「空」と「地」の属性を持っている。それぞれが風と土の上位互換の属性だ。
彼らは今、王立学院に通っている。双子だからだろうか。実践形式の練習での連携が大変素晴らしいと大絶賛されているって聞いた。
それに比べて俺は・・・。はぁ。まぁ、まだ魔術を習っていないからなんとも言えないけど。
ちなみに、10年位前には「炎」と「氷」のとんでもない人達が学院にいたらしい。
――――――――――
年末、冬休みに入った兄さん達が帰ってきた。
俺は玄関まで出迎えに行く。俺が出迎えないと、なんでか兄さん達は拗ねる。その上機嫌が直るまでかなりめんどくさい。
「フレディ兄さん、アンディ兄さん、お帰りなさい」
「ロビー!ただいまー!!」
「ただいま。ロビー、少し背が伸びたか?」
「どうだろ?ちょっとは伸びたかな?」
ちなみに、兄さん達は15歳だから既に成人していたりする。
それにしても、帰ってくる度に頭をぐしゃぐしゃに撫でるのは止めて欲しい。まだ10歳なのに今から将来の心配をしないといけないなんて!!文句言っても止めてくれないから、されるがままだけどさ。
二人は双子なだけありそっくりで、家族や屋敷の人以外ではなかなか見分けがつかない。髪色、瞳の色、体格、仕草までがほぼ一緒じゃ仕方がないと思う。ちなみに、俺も瞳の色は同じ。父さん譲りの青みがかった緑色だ。
よく二人はリビングでうたた寝をしてるけど、その時は俺でも全く見分けがつかない。ベッドで熟睡してれば、寝相が悪いのがアンディ兄さんだってすぐ判るけどね。
フレディ兄さんは、ほんのりツリ目で、しゃべるとぶっきら棒だけど凄く優しい。笑うと目がスッと細くなる。
アンディ兄さんは、すこーしタレ目で、しゃべると陽気で面倒見が良い。笑うと目尻がいつもより下がる。
「そうだ、アレックスは年越しパーティーに呼んだのか?」
「あいつは実家が忙しいから来れないって」
「なぁんだ。折角サリアが一日中一緒に居るのに勿体ないね」
あれ?今、オモチャが来なくて残念って聞こえた気が・・・。いや、まさかな。アハハハ。
アレックスとサリアの事は兄さん達にも相談してる。結構ノリノリで意見を出してくれるから助かってるんだけど、ちょっと悪ノリしてる時もある。
兄さん達も甘えん坊の弟が増えたみたいで嬉しいらしい。
――――――――――
サリアが10歳になった。
パーティーには従兄の俺は当たり前のことだが、アレックスも招待されていた。
俺とアレックスは挨拶回りの済んだサリアの元へ行く。
「サリア、お誕生おめでとう。ほら、アレックス」
「うん。サリア、10歳おめでとう。はいっ!」
「わぁ~!ありがとうございます!!」
アレックスはお祝いとしてチューリップの花束を持ってきた。チューリップはサリアが好きな花だ。もちろん、それを教えたのは俺だったりする。
あぁ!二人の微笑ましいやり取りに、ニヤニヤが止まらない!!
最近、アレックスはサリアと会うと顔が真っ赤になったり、挙動不審になったりと、明らかに異性として意識している。
ククッ。この前なんて、本当に可笑しかった。
~~回想(今から約一月前の出来事)~~
「ロバートお従兄様はサリアの事が好きですか?」
「それは当たり前じゃないか。急にどうしたんだい?」
「サリア、お願いがありますの!」
「言ってごらん」
「あのですね、アレックス様を誕生日パーティーに招待したいのです!でも、どうすれば良いのか分からなくて・・・」
「分かったよ。ウチの父さんに相談してみよう」
~~~~~~
「ちょっと待て、何故俺達の会話を聞いている?あの日はウチに来てないよな?」
「メイドの人にリビングに二人が居るって聞いたから。でも、サリアはロビー兄さんに何か相談してたみたいだったから部屋に入らないで帰ったんだ」
「そうだったのか」
「――あのね、ロビー兄さんはサリアの事が、その、す、き、なの?」
アレックスが俯きながら聞いてくる。あれ?そう言うこと?
「何?俺がサリアの事を好きかって?当たり前じゃないか。あんなに可愛い従妹だぞ?」
「いもうと?」
「うん。従妹として好きだ。って、何か勘違いしたんじゃないよな?」
「そ、そんなこと無いよー!」
「ふーん。そうだ、あの時のサリアは完全にお強請りモードだったからな?サリアが自分の事を名前で言う時はお強請りの証だから。覚えておいて損は無いよ」
「へぇ、そうなんだ」
アレックスは俺が当たり前じゃないかって言った辺りで逃げ帰ったらしい。どうせだったら最後まで聴いていれば良かったのに。このヘタレめ。でもこれ、完全に惚れてるな?
――――――――――
8月になり、夏期休暇に入った兄さん達が家に帰ってきた。
恒例の頭撫で撫でタイムを耐え、リビングで着替えを済ませる兄さん達を待つ。すると、兄さんより先にアレックスが来た。
「ロビー兄さん、こんにちは!」
「こんにちは。今日は兄さん達が居るよ」
「そうなの?じゃあ帰った方が良い?」
「いや、あっ」
既に捕らわれたか。主に頭を。
「やぁ、アレックス。久し振りだね!元気だった?」
「あ、アンドリュー様、お久し振りです」
「相変わらずちっこいな。また10歳になってないんだっけか」
「フレデリック様もお久し振りです。今度の10月で10歳になりますよ。ってか、いつまで人の頭を撫でてるんですか!」
「いいじゃん別に~」
「ただのスキンシップだ」
アレックスは俺に助けを求めて来るけど、すまん。そのうち飽きるから耐えろ。
「そうだ!そろそろ僕達の事も兄さんって呼んで欲しいな」
「そうだな。俺の事はフレディ兄さんで良いぞ」
「僕の事はアンディ兄さんって呼んでね!それと、敬語は要らないよ!」
そのあと散々兄さん達にオモチャにされて、夕方に帰る頃には魂が抜けそうになっていた。
兄さん達は実に良い仕事をしてくれた。アレックスに気づかれない様に質問をして、いろいろな情報をゲットしていく。なんと、アレックスは俺の誕生日パーティーでサリアを見た時に一目惚れをしたらしい。
すでに両思いじゃないか。教えないけど。
一目惚れの事を言ってしまった瞬間のアレックスはちょっと可哀想だった。
――――――――――
来月、俺は王立学院に入学する。
サリアとアレックスの仲は全然進展していない。・・・ガックリ。
「アレックス、俺は来月から学院に行くからな?自分で何とかしないとサリアと会えなくなるぞ?」
「ロビー兄さんが居ないと会えないよ!二人でなんて無理無理」
「そんなこと言ってると、サリアに忘れられ去られるからな」
「でも、誘って断られたら立ち直れない」
「大丈夫だって。何日か候補日を挙げれば都合はつくだろ」
「でもー」
「だったら、手紙はどうなんだ?二人で会うのが無理でも手紙くらいなら出せるだろ?」
「うーん」
「手紙が無理なら、花でも贈っておけよ」
はぁ、こいつ大丈夫だろうか・・・。
――――――――――
俺は王立学院に入学した。兄さん達と被らなくて本当に良かったと思う。優秀な人と常に比べられるのは、かなり辛いから。
「ねぇ、君がフレディ先輩とアンディ先輩の弟?」
俺は急に声を掛けられて驚いた。
「その御二方がユーテリアであれば、私が弟です」
「ふーん。そうなんだ」
誰だこいつは。スカーフの色からすると、2年か?
俺の訝しげな視線に気付いたのか、彼は慌てて自己紹介を始めた。
「あ、僕はカーター・ジェラルド。去年からここに通ってるんだけど身体が弱くて休み過ぎて留年したからまた1年生。君はロバート君だよね?これからよろしく」
彼は一息に捲し立て、握手の為に手を差し出してきた。俺もその手を取りつつ自己紹介をする。
「ロバート・ユーテリアです。こちらこそ、よろしくお願いします」
カーターはとても親しみやすく、すぐに打ち解けた。彼は身体が弱く、体術などの体力を使う授業は全て見学をしている。当然成績には反映されない為、座学は頑張らないとねと言っていた。
去年は前期の大半を休んでしまって、後期の授業に着いていけなくなり、やむを得ず留年という措置が採られたそうだ。
カーターはジェラルドの姓の通り、学院長の孫だ。ただ、父親が次男と言うこともあり、ジェラルド侯爵家の分家らしい。しかも、一人っ子だそうだ。その身分でこの容姿なら世の御令嬢方が放って置かなそうだが、身体の事もあり特に決まった相手は居ないらしい。
王立学院にはクラブ活動がある。魔術や馬術、剣術、体術などなど。
カーターは馬術クラブだそうだ。病弱なくせによくやるって言ったら、ほとんど幽霊部員だって笑ってた。
兄さん達が居た魔術クラブ以外なら何でもいい俺は、一番無難な剣術クラブに入った。
――――――――――
夏休みになった。この国は夏がかなり暑く、8月は一月丸々休暇になる。
アレックスは俺が屋敷に帰ってきたと知ると、毎日の様に遊びにくる。俺に会う為とは言っているが、本当はサリアに会いたいんだろうな。
「ったく、いつまでヘタレているつもりなんだ?来年にはお前達も学院に入るんだろ?サリアを知らない誰かに取られても知らないぞ」
「うっ、それは嫌だ」
「だったら、俺の夏休みが終わってからでも良いから二人で会えって。結局、俺が学院に入ってからのこの4ヶ月は会ってないんだろ?」
「・・・」
「はぁ。とりあえず明日は絶対来いよ。サリアが来るってから」
「うん。ありがとう!」
「ついでに、フレディ兄さんとアンディ兄さんも明日は休みで居るから」
「うげぇ!」
2年前の一件(質問攻めの上、一目惚れの暴露)から、アレックスは完全に兄さん達に苦手意識を持っている。でもサリアに会いたいから明日はちゃんと来ると思う。
俺の夏休みの間はさりげなく二人っきりにしたり、それとなくサリアの都合を聞き出したり、アレックスをちょこっと誘導したりした。
でも、やっぱり進展しないんだよな・・・。
――――――――――
9月の終わりに前期の期末試験があった。
一体何の偶然か。俺は学年一位の成績を修める事ができた。
「すごいなロバート!さすが宰相閣下の御令息!」
「止めてくれカーター。今回はただ運が良かっただけだから」
「うーん。この結果でその謙遜は嫌みにしかならないよ?良い結果だったんだから、もっとこう、胸を張ろうよ!」
そんな事を言われてもな。俺は全然まだまだ努力が足りないと思うんだけどな。
3月末に行われた後期試験でも学年一位だったが、何とも釈然としない気分になった。
「僕が喩え99点を取ろうとも、ロバートは100点を取る。それが君だよ」
カーターにこんな事を言われた。俺より優秀な奴なんて、その辺にゴロゴロ居るだろうに。
――――――――――
4月になると、サリアとアレックスが入学してきた。
今年の新入生の顔ぶれは凄まじい。
王子が2人、公爵家が2人、それに加えて各所権力者の息子や弟がちらほら、更に光属性が2人いるらしい。数年に一度、この様な学年があると聞いた。
俺、1学年上でホントに良かった・・・。
「ねぇロバート。君の従妹ちゃんとフロントの坊ちゃんが入ってきたんでしょ?」
「そうだよ。サリアとアレックスだ」
「二人とも滅茶苦茶ロバートに懐いてるって噂だよね」
「なんだそれ。まぁ、俺の事を兄の様に慕ってくれてるよ。会ってみる?」
この後カーターを二人に会わせると、色々言われた。
「このシスコン!いや、シスコンじゃないか」
「そもそも、アレックスに関しては何なんだ?」
「そっか、分かった。エセシスコンでエセブラコンなんだ」
「ロバート!それ、兄って言うかもう保護者だから!」
「二人に甘すぎない!?それでいいの!?」
「君って普段は堅物インテリだよね!?」
「僕の君に対するイメージが崩壊していく・・・」
それ以降、二人と話してる時などに残念な目で見られる様になった。解せぬ。
アレックスも剣術クラブに入った。
大丈夫。まだなんとか勝てる。でも、マシュー様の息子だからな。その内きっと勝てなくなるんだろうな。
いや、それより驚いたのはアイリス殿下の剣裁きだ。俺だって鈍らではないつもりだけど、すでに勝てる気がしない。センス有りすぎるだろ!!
・・・馬術にでも転向しようかな。
――――――――――
夏休みに入った。
相変わらず、アレックスはウチに入り浸っている。
「ロビー兄さん。解けたから見て」
アレックスの課題を見てやるのも日課になりつつある。
「アレックスは家に居なくて良いのか?」
「夕飯までに帰ればへーき」
「そっか。なぁ、サリアの事なんだけど、お前はどうするつもりだ?」
「どうするって、その、お付き合いしたいとは、思ってる」
「じゃあ、自分が何をするべきか解ってるよな?」
「あー、うん。サリアに気持ちを伝える」
「がんばれ」
俺はポンッとアレックスの頭を叩いた。
大丈夫だから。当たってこい!
――――――――――
9月になった。
今日から魔術の授業が始まる。先生は兄さん達も習った人だった。
初めは俺の事に多大なる期待を寄せていたみたいだが、段々と他の生徒と変わり無い事が判るとあからさまに落胆していた。
勝手に期待したくせに、落胆するなよ。俺だって落ち込んでるんだよ。
まぁ、成績自体はそんなに悪くはなかった。
――――――――――
体育祭を来週に控え、俺は体術の授業でやらかした。受け身に失敗して左腕を骨折してしまったのだ。全治3ヶ月だそうだ。治癒の魔術は骨折程度では掛けて貰えないので、治るのを地道に待つしかない。
当然クラブは不参加、体育祭はもちろん体育系の授業は全部見学。利き手の右じゃなかっただけマシか。
放課後は時間を潰そうとすると意外と長かった。この一週間で中庭のテラスか、カフェテリアで読書をするのが定番となりつつある。
体育祭。カーターは今年も見学だ。仲間がいて良かった。
俺は密かにサリアやアレックスの応援をする。色が違うから、あくまで密かにだ。
サリアは玉入れか。一生懸命入れようとしていて可愛いなぁ。あぁ!惜しい!!頑張れ!!よし、入った!
結果はどうだ?残念。3番手か。
アレックスはリレーか!お!前を抜いて1位で渡した!うわっ!次の子転んでるじゃん。3位でパス。アンカーはアイリス殿下!?おー!速い!!2着でフィニッシュか。あそこで転ばなければなー。
あの子派手に転んだけど大丈夫かな?あ、アレックスが救護テントに連れていったか。
――――――――――
11月、学院は色めき立つ。
12月の星降祭に向けて男子生徒はパートナーにプロポーズ紛いの事をする。
特に相手も居ない俺は、蚊帳の外から何度も遭遇するそんな場面に生ぬるい視線を送っていた。
そんなある日の放課後、いつもの様に中庭のテラスで本を読む俺の元にサリアが嬉しそうにやってきた。
「ロバートお従兄様!」
「やぁ、サリア。どうしたんだ?」
「私、アレックス様と恋人になりました!」
「ほんとに!?おめでとう!」
やっと、ヘタレなあいつが告白したのか!いったい何年掛かってるんだよ!初対面からほぼ4年か?いやいや、最初から両想いなのに長すぎだから!
「ありがとうございます!来月の星降祭はアレックス様と参加出来そうです!」
「それは良かったね」
「はい!では!」
サリアはそれだけ報告すると、パタパタと去って行った。
はぁ、妹を彼氏に取られた兄ってこんな気持ちなのかな?それにしても、さっきのサリアは可愛かったなぁ。一瞬仔犬が尻尾を振ってる様に見えたよ。
――――――――――
今日は星降祭。
侯爵家とは言え三男の俺には、御令嬢達が群がってくる。助けを求めようとカーターを見るも、彼も俺と同じ有り様だ。
ただ、去年と違う点はと言えば、リオナード殿下も星付きで。彼が会場入りすると、俺達の近くにいた御令嬢の半分程がそちらに行った事だろう。
修行の様な時間がこれから始まる。カーターと違い、俺は丈夫なのでダンスは断れない。骨折もほぼ完治しているし。いや、まぁ、心に決めた人が居るわけじゃないから良いんだけど。それにしても、延々と踊り続ける体力は無い訳で。遠目にサリアとアレックスを確認した後、数人と踊ると講堂から逃げ出した。
講堂を出ると、外は雪が降っていた。どうりで寒い筈だ。俺はクロークで手に入れたコートを羽織ると、何となく中庭に向かう。
中庭まで来ると、楽団の音も楽しそうなの声も聞こえなくなった。ただ静かに雪が降っているだけだ。
俺はいつもの席に座って、ボーッと積もる雪を眺めている。
「こんな所にいたら風邪をひきますよ?」
ハッとして後ろを振り返ると、そこには天使がいた。
「すいません、驚かせてしまいました」
「いや、気に掛けてくれてありがとう」
「ハンナ!早く手伝って!!」
テラスの奥から大人の男性の声が聞こえてきた。
「はーい!
早く暖かい講堂に戻った方が良いですよ、ロバート先輩」
「え?」
「うふふ。では、失礼いたします」
そう言って、行ってしまった。彼女のハンナという名前なのか。俺の事を先輩って、この学院の生徒なのか?でも、今日ドレスを着ない生徒が居るのだろうか。
俺はさっきの天使について考えながら、講堂へ戻った。
――――――――――
7月の終わりの今日、俺は15歳の式典に参加する。
この国では15歳で成人の為、式典が行われる。と言っても、侯爵以下の子供は皆それぞれの学院でまとめて開かれるのだけど。
俺は6月に15歳になった生徒と共に講堂へ向かった。会場にはその生徒の家族も招かれている。
式典が終わると、俺は両親の元へ向かった。
「父さん、母さん、本日は忙しい中の御参加、ありがとうございます」
「ロビー、大きくなったわね」
「ロバート、成人おめでとう」
話好きな母さんと一頻り喋った後、父さんにちょっと良いかと談話室へ連れて行かれた。
「ロバート、お前もそろそろ自分の為に生きても良いんだぞ」
「自分の為?」
「そうだ。子供の頃はずっと兄の為に、ここ最近はユーテリア家の為に時間を費やして来たんだ。お前は自分の為に時間を使った事はあるか?」
「――わかりません」
「まぁ、ゆっくり考えてみなさい」
これで話は終わりと、父さんはドアへ向かう。
「そうだ、サリアとアレックス君だがな、今度婚約するそうだ。お前のお陰だな」
見送りに立った俺の頭をポンッと叩いて、父さんは帰って行った。
――――――――――
10月の今日、アレックスの14歳の誕生日に合わせてサリアと婚約を結んだ。
本当はサリアの誕生日にしたかったらしいんだけど、アレックスが4月までは待てなかったそうだ。
クスッ。もう半年も待てないか。
実はサリアは最近男子に人気が出ているそうなのだ。去年告白しておいて良かったな。とからかってやると、本当にそう思います。と返してきた。まぁ、それぞれが一目惚れと知ったら、もっと早く告白していれば!!と思うのだろうな。いつそれが分かるのか。楽しみだな!
――――――――――
今年も星降祭が始まる。
俺はそろそろ自分の身の振り方を考えなければならないらしい。
寄ってくる御令嬢の相手をしながらも、楽しそうにくるくる踊るサリアとアレックスを見ていた。
「本当は、サリア嬢の事が好きだったんじゃないの?」
ふと、カーターがそんな事を言ってきた。
「そんな事はないさ。ただ、幸せそうな二人が見られて良かったなって」
「ふーん」
俺はその後、去年会った天使は居ないかと会場を探してみた。でも、見つからなかった。あの子は本当に在学生なのだろうか。
――――――――――
最近アレックスの様子がおかしい。
あんなにサリアにべったりだったのに、クレアという女生徒と居ることが多いそうだ。
どういう事なんだ?
2月も終わりそうな頃、俺の元にアレックスが来た。
「ロビー兄さん。俺、もう駄目かもしれない。記憶がぐちゃぐちゃで、サリアを困らせてしまうんだ。その内、自分が無くなってしまいそうで怖い」
俺はなんとも言えなかった。
その後、アレックスはサリアと一緒に居ることがなくなり、サリアは段々と元気を無くしていった。
俺は春休みに入る前、アレックスに詰め寄った。
「おい、アレックス。サリアはどうした」
「サリア?そんな人は知りません」
「恋人なのに知りませんじゃないだろ!」
「人違いでは無いですか?私の恋人はクレア唯一人です」
「はあ?お前、何を言ってるんだ?」
「では、失礼いたします」
アレックスは唖然とする俺をその場に残して、さっさと行ってしまった。
あれは誰だ?何が起こっている?
――――――――――
アレックスは新学期になっても、婚約者であるサリアに近付こうともしなかった。もうすぐサリアの15歳の誕生日なのに。
「アレックス・フロント!貴様、何か言うことは無いのか!」
俺は毎日の様にアレックスに詰め寄り、理由を聞き出そうとした。
「何度も言いますが、サリアなんて方は知りません。私の恋人はクレアだけです」
毎回同じように返してくる。
「おいお前、いい加減にしろよ!うっ・・・」
俺は誰かに殴られた。最後にみた光景は、無表情でその場に佇むアレックスの他に、歪んだ笑みを浮かべるクレアと・・・カーター?
そこで俺は意識を失った。
――――――――――
俺は目が覚めた。長く、嫌な夢を見ていた様な、、、
「ロビー!目が覚めたのね!」
「え?母さん?ここは、どこ?」
母さんは、上体を起こした俺の背にクッションを入れながら答えてくれた。
「ここは病院よ。大丈夫?痛い所は無い?」
「病院・・・はっ!そうだ、アレックスは?あいつはどこに!?」
「どうしたの?まさか、何も覚えてないの!?」
「確か、アレックスになんでサリアを放っておくのかと詰め寄って、、、そう、後ろから殴られたんだ。たぶんカーターに。そこに確かクレアも居たような」
「ちょっと待って。すぐに旦那様を呼んでくるから」
母さんは慌てて父さんを呼びにいった。あれ?父さんは今日、仕事じゃないの?
暫く待つと、少しやつれた父さんが病室に入ってきた。
「ロバート、やっと目が覚めたか」
「はい。父さん、私はどこかおかしいんですか?母さんが凄く慌ててたみたいですが」
「そうだな。今日の日付は分かるか?お前が意識を失っていたのは丸二日だ」
「あれから丸二日だとしたら、今日は4月18日です」
「はぁ。やっぱりそうか。ロバート、よく聞きなさい。今日は3月17日だ。お前の意識はほぼ1年眠っていたんだ」
「・・・全く記憶がありません。今まで私は何をしていたのでしょうか」
「それがな―――」
父さんはこの1年で俺がしでかした事を話してくれた。俺はクレアに操られてた?意識を失った状態で闇の魔術に掛かると、その間の記憶が全てなくなる?意味が解らない。
「まぁ、記憶が無くて良かったとは思う。端から見てて結構残念な感じだったそうだからな。で、学院はどうする?4年からやり直すか?」
「そうですね。この1年の勉強内容が全く記憶に残って居ないので、出来ればまた4年からやり直したいです」
留年にはなってしまうが、無理に進級してもたぶん同級生には追い付けないだろう。それぐらいに1年は長い。
「そうか。ではその様に手配をしておこう。さぁ、今日はもう休みなさい。明日は朝から検査があるからな」
「はい。おやすみなさい」
俺は耐えていた眠気に一気に襲われた。
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俺は念のため数日入院した後、帰宅した。暫くは絶対安静ってことで、布団から出られない生活だ。
帰宅するとすぐに兄さん達が部屋へ雪崩れ込んでくる。メイドが廊下を走らないでくださいって言うのが聞こえたけど、お構い無しだったみたい。
「ロビー、お帰り!」
「お帰り、元気になったか?」
俺は兄さん達に頭をぐしゃぐしゃに撫でられた。抗議をしても受け入れられないのは分かってるからされるがまま待つ。・・・長い。今日はまだまだ続くらしい。
「そうだ、ロビーは文官になって父さんを継いでよ」
「ついでにユーテリア家の当主もよろしくな」
「・・・は?」
この人達、何言ってるんだ?
「だって僕達、座学はさっぱりやる気無しだったし。ロビーは小さい頃から勉強頑張ってたよね?」
「もうロビーなら歴史から貴族から領地管理に経営だって完璧だろ?それにあと2年もあれば足りない分は余裕だろ。適材適所ってやつだ」
「できそう?ロビーがやっても良いよって言ってくれたら、父さんには僕達が話すし」
「ロビーのやる気次第だ」
俺が小さい頃から勉強頑張ってたのなんで知ってるんだ?皆に、特に兄さん達には隠してたのに。
「ロビー、大丈夫か?」
「まだどこか痛むの!?」
「な、んで、、しっ、て、、、」
あれ?涙が止まらないや。
アンディ兄さんが慌てて俺を抱き締めて、フレディ兄さんは背中を撫でてくれた。
「なんでって、小さい頃から勉強頑張ってた事かな?隠せて無かったよ?そこがまた可愛かったけど」
「俺ら、ロビーが大好きだからな。それぐらい知ってて当たり前だ」
「僕達の魔力検査の後からだから、ロビーはまだ4歳になったばかりだったよね?普通に考えて凄い事だよ!図書室に籠ってるって聞いた時は、外にどうやって連れ出そうか考えるのが楽しかった!」
「俺らがプレッシャーになってたのは知ってたが、それがロビーのやる気に繋がるならって言わなかったんだ」
「しかも、頑張ってる理由が“僕達を支える為”だもんね」
「ほんとに。自分の好きな事もやらずにな。何かを欲しいって言った事も無いだろ」
本当に、俺は兄さん達が大好きだ。
「――すんっ。それで、兄さん達は俺に家督を譲って何がしたいの?」
「フロント家と仲良くするにはロビーが当主の方が何かと良いかと思ってね」
「ロビーがアレックスと会おうと思ったのは、陛下の御言葉を知っていたからだろ?」
「いや、俺はサリアの初恋を実らせる為に。でも、そっか。兄さん達も知ってたんだね。で、本当の目的は?」
「僕達は魔術を極めたいんだよ!」
「魔術の天才、リオナード殿下と一緒にな!」
俺は開いた口が塞がらない。兄さん達は自分のやりたい事をやり通す人だったな。忘れてた。
「泣いたカラスがもう笑った!」
「いや、これは苦笑いだと思うぞ」
アンディ兄さん、フレディ兄さんの言う通り苦笑いだよ。
俺は兄さん達に家督を継ぐと伝え、父さんとも話し合い、諸々の手続きを経て正式にユーテリア家の次期当主となった。
父さんも自由な兄さん達に苦笑いしていたとだけは言っておこう。
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そうだ。アレックスとカーターだけど、俺に謝りに来てくれた。
アレックスは何とか自我を保てている時に、俺に話しかけたそうだ。自分が無くなりそうとはそう言うことだったのかと今なら理解できる。
アレックスはちゃんとサリアと仲直りができた。サリアはこの1年、婚約者という立場だけを頼りにどうにか耐えていたらしい。彼女は俺にも相談できない状態で悩み続けていたそうだ。アレックスはサリアの15歳の誕生日を祝えなかった事が特に悔しいと言っていた。気づいたら成人しているんだもんな。やりきれないよな。
カーターは俺よりも長く入院していたらしい。元々身体の弱い彼に闇の魔術はかなり酷だっただろう。
カーターは俺を殴った事をずっと後悔していた。あの頃はまだ闇の魔術に少しだけ抵抗できていて、意識が残っていたらしい。ただ、身体の自由は完全に奪われていて、あの様な凶行に至ったそうだ。それは考えただけでゾッとする。ある意味、俺は意識も完全に奪われていて良かったのかもしれない。
4月からはカーターは俺と同じくまた4年から、アレックスは進級して4年になる。
アレックスは2年の最後の部分と3年の授業内容を早朝・放課後・休日で叩き込むらしい。一部は既に手を付けているそうだ。俺も無理の無い範囲で助けてやろうと思う。
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今日から俺はまた4年になった。
転入したクラスにはサリアとカーターが居る。学院の配慮か、父さんの差し金か。まぁ、正直言うと助かる。
「カーター、おはよう。またよろしく」
「こちらこそよろしく。はぁ、僕は本来ならもう卒業してる歳なのにね」
カーターはそう言って溜め息を吐く。まぁ、色々あったんだから仕方ないさ。
二人して物思いに更けっていると、サリアが話し掛けてきた。
「ロバートお従兄様、私の友人を紹介させて頂いてもよろしいですか?」
「あぁ、是非とも紹介してほしいな」
俺はこの後衝撃的な出会いを果たす。
それはまた別のお話。
END
最後までお読み頂きありがとうございます。
攻略対象を同時に出すのは大変でした。
今度こそ、あの人に再チャレンジしたいと思います。




