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地下5階

「ミカ助かったよ。」

「あそこの兵士達はああやって小銭稼ぎしているのは有名な話。あんなところでずっと待機してるんだ、ああいう利点がないと我慢できないからね。ルールに従うだけが正しいとは限らないし、実際ルールを決めている連中がどれだけ守ってるかも怪しい。」


(そういう、したたかな立ち回りも必要だったって事か・・・)


彼女の事は基本好きにはなれないが、見習うべきところもあると感じた。


「じゃあ、余った金返してくれ。」

「覚えてたかぁ・・・。」


言わないと金を返さないつもりだったようで、ペロッと舌を出した。

やはりイラっとする、好きにはなれない。


「減ったのは1000Gか・・・思ったよりは安いな。」

「あいつらも馬鹿じゃない、変に欲をかいて揉めたくないんでしょ。」


長い階段を降りて、地下5階への扉を開ける。

周囲の様子を確認するが他の階層と雰囲気は変わらない・・・が、何か重苦しい。

仲間達もそれ感じたようで、さっきまで軽口を叩いていたミカも押し黙っていた。


とにかく打ち合わせ通り俺とアルテナが前列、カナタとミカが後列で陣形を組む。

地下5階は1階と変わらず小部屋が多くあり、地下6階への道も一本道だ。

ただ、敵の強さは比べ物にならない。


主な敵はゴブリンなどの亜人の上位種とワーウルフなどの獣人だ。

数は多いが基本肉弾戦を中心とするので、攻撃さえ耐えられれば魔法で一掃する事も難しくはない。

ただ、たまに亜人の魔術系や神官系がいるので要注意だ。


(とはいえ、まずは俺達前列が敵の攻撃を耐えられるかどうかだな。)


俺達が騎士か戦士などなら守備力も期待できるが、守りの苦手な武人と神官だ。

ゲームではそれでも守るだけなら問題なかったので信じるしかない。


「じゃあ、近くの小部屋から攻めていくぞ。」

俺は扉に手をかけて、そのまま押し入る。


「ギギャ!」

部屋には多数のゴブリンがいた。

ただのゴブリンじゃない、全員筋肉質で鎧と武器を装備したゴブリンウォーリアだ。

ゴブリンは雑魚と言われているが、ここまでになると並みのレベルでは太刀打ちできない。

だが全員戦士系で、しかも油断していたのか背中を向けていた。

先制攻撃のチャンスだが、俺とアルテナは敵の前に盾で立ちふさがるだけで攻撃はしない。

未熟な俺達が調子にのって攻撃しても返り討ちに合うだけだからだ。

彼らはすぐにこちらの存在に気付き、迎撃のための準備を整える。


「カナタ!早く魔術を!」


俺の言葉が通じたのか、カナタはすぐさま魔術を発動させる。

彼の手が俺達前列の隙間から出てきて、ゴブリン達に攻撃魔術が放たれる。


「業火の炎よ吹き荒れろ・・・フレイムストーム《炎嵐》!」


炎系最上級魔術がゴブリン共を焼き尽くす!

「ギギャアアアアアアア!」


彼らの断末魔の声と共に焼けた匂いが鼻をつく。

生物が生きているまま焼かれる光景など一生見る事はないとは思っていたが、まさに地獄絵図であった。

しかし、見届けなければいけない。

立ちあがって攻撃してくるかもしれないのだから。


しばらくすると、炎はその勢いとはありえないほど瞬時に消えうせ、炭化した物質が転がった。

しかし、物質と化した者達は全員綺麗さっぱり消えた。

死亡した・・・いや倒したようだ。


「ウェ・・・。」

しかし匂いは残っており、それだけで吐きそうだ。

仲間達は平気らしく周囲を警戒している。


(これからずっと続けるんだ。なれないと。)


「宝箱だ、ラッキー!」

ミカが後ろから飛び出てさっそく宝箱の罠解除にはいる。

盗賊の七つ道具の力なのかわからないが、簡単に罠を解除して嬉しがっていた。

しかし俺はそんな気分にはなれなかった。


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