ジークデン酒場
(ここが酒場か・・・ゲームではテキストだけだったが、現実だと凄く・・・ウルサイ!)
酒場に入ると、多くの冒険者で賑わっており、かなりの喧騒だ。
自分が育てた最強パーティを探そうとするが、ふと気づく。
昔のゲームなので、名前と能力のテキストだけのため姿は想像で補う仕様である。
つまり姿など存在しない。
(これではどうしようもないぞ。この喧噪のなか名前を呼んでも聞こえないだろうし・・・それに、ここで大声で叫んだら揉めそうだしな・・・。)
何かいい手はないか考えていると、酒場のテーブルの奥でふんぞり返っている髭面のいかついおっさんが目に入った。
見た感じ一番偉そうなので、店主で間違いないだろう。
俺はゴミゴミしている店内を縫うように、周りの音に負けないよう出来るだけ近づいて話しかけた。
「騎士ブレイブを知っているか?」
店主は髭面をなでながら、俺の目をまっすぐ見て答えた。
「あんた誰だ?」
「俺はアル、冒険者だ。」
「冒険者だと?なら身分証明書を見せろ。」
「身分証明書?」
(ゲームではそんなものはなかったはず・・・こいつハッタリを言っているな。)
「そんな物は存在しない。冒険者に必要なものは冒険をしたいという意志だけだ!」
(決まった・・・信じられないほど決まった・・・。)
「・・・あー、そう・・・じゃあここから出て行って冒険にいけ。」
(思ってた反応と違う!?)
「じょ・・・冗談だよ、冗談。えーとちょっと迷宮で死んで身分証明書なくしちゃって・・・それで・・・。」
「死んだ?」
それを聞いて店主は俺の顔をまじまじと見つめる。
「アル・・・アル!そうだアルだ!小汚い恰好してるからわからなかったが、お前アルじゃねえか!」
「え・・・はい、アルですよ。」
「なんだ、最近見てないから死んだかと思ってたぜ!」
「いや、死んでたよ。」
「死んでたらここにいないだろう、冗談が上手くなったな!」
そう言いながら、陽気に俺の肩を殴打してきた。
どうも彼は俺の事をよく知っているようだ。
確かにゲームではこの酒場で仲間の入れ替えをするから、知っていて当然ではある。
「ハッハッハ・・・そう言えば何の話だっけ?」
「えーっと・・・騎士ブレイブを知っているかって話だよ。」
「騎士ブレイブ?それならそこにいるぜ。」
彼が指さした先のテーブルに、白い鎧に身を包んだ男がいた。
その豪華な鎧とデカイ体躯は只者ではない雰囲気を漂わせていた。
(あの白い鎧はもしかして俺が装備させていた、騎士専用の最強の鎧セイントアーマー・・・なのか?)
一緒にテーブルを囲んでいる面々も只ならぬ雰囲気を出している。
間違いなく俺が作ったレベル50の最強パーティだ。
(よし、彼らに協力してもらえば簡単に強くなれる。)
俺は彼らに交渉すべく、急いで近づいた。




