生き残り
寺院の前には人だかりが出来ていた。
とても入れない雰囲気だ。
「ちっ、野次馬連中が・・・。」
人の壁をなんとかかき分けて近づこうとしても、全く前に進まない。
(これではどうにもならないな。)
その時、俺の裾を誰かが引っ張ってきた。
「アルテナ?」
どうもアルテナは一緒についてきていたらしい。
「・・・こっちきて・・・」
アルテナは俺をどこかへ連れて行こうと手を引っ張る。
彼女の必死な態度を見て、何かあると判断した俺は言われるままについて行った。
「おい、どこに行くんだ?」
背中越しにバナザードの声が聞こえたが、足を止める事はなかった。
そのまま進んで行くと、建物が見えてきた。
2階建てでそれなりに大きく、装飾が一切ない灰色の建物だ。
周りを柵のようなもので仕切られていて、簡単に入れそうにない。
「ここに何があるんだ?」
「あれ、見て・・・」
彼女が指さした場所には門があり、そこに見覚えのある人物が立っていた。
遠くからでもわかるその姿・・・戦乙女アリアだ。
鎧ではなく質素な布の服を着用しているが、その存在感が消える事はない。
「アルさん、お久しぶりです・・・バナザードさんはどうしましたか?」
「バナザード?どういう事ですか?」
どうも食い違いがあったようだ。
「アルテナ、私はバナザードさんを連れてきてと言いましたが?」
「バナザード・・・って誰?」
アリアさんは手を顔にあて、表情を曇らせた。
「バナザードさんを呼んできましょうか?」
「いえ・・・あなたでもいいです。ついてきてくれますか?」
彼女が門の向こうで待機している女神官に合図を送ると、門が開き俺達に注意しつつも迎い入れてくれた。
「手早くお願いします。」
「わかりました。」
そのまま俺達はアリアについていき、建物の中に入った。
「ここは、神官の女子寮です。私とアルテナはここで過ごしていました。」
「女子寮・・・男である俺が入っていいんですか?」
「許可をもらっているので問題ありません。もちろん男が入る事が禁止などのルールもありません。」
彼女は玄関から一直線に階段へ進み、2階の扉の一つをノックして話しかける。
「アリアです。入っていいですか?」
「ああ・・・はい、どうぞ。」
彼女は返事を聞いて中に入る。
俺も続いて入ると、ベッドに上半身だけ起こしている女性がいるのが見えた。
「マリーシャさん、体調はどうですか?」
「ああ問題ないよ、あんた達神官のおかげでね。ありがとう。」
(マリーシャ・・・騎士ブレイブのパーティの魔術師マリーシャか?そう言えば酒場で会ったマリーシャはこんな姿だった気がするな。)
「実はあなたに合わせたい人がいるのですが・・・。」
アリアは俺に目で合図を送る。
「マリーシャさん、お久しぶりです。」
「ん・・・たしか、アルだっけ?」
「俺の事を覚えていたんですか?」
「ああ、たしかブレイブがバナザードのパーティに推薦していたね。こう見えても記憶力はいいの。」
「申し訳ありません、バナザードさんをお連れする予定でしたが・・・。」
「別にいいよ。アル・・・あんたからバナザードに伝えて欲しい。」
「伝える?何の話ですか?」
「私達パーティと不老不死の魔導士との戦いを。」




