帰還
俺達はカナタのパーティと合流して、迷宮からの帰還を果たしていた。
さっそく入口で運び出した死体の確認作業に入る。
「アリアさん、これで全員ですか?」
「ええ、6人とも確認しましたが、間違いなく私の後輩たちです。皆様、ありがとうございました。」
アリアは俺達一人一人に硬く握手をしながら礼を述べた。
「いえいえ、冒険者同士は助け合いですから。また何かあった時はこのバナザードを頼ってください。何でもしますから。」
バナザードはデレデレだ。
しかし無精ひげを生やした男の〔何でもする〕ほど心躍らないセリフはない。
「メリアドールさんとカナタさんもありがとうございます。それと・・・。」
「ああ、礼はいいよ、助け合いだからさ。ただ・・・死体運びの賃金は貰うからね。」
「勿論です。ありがとうございます。」
(死体運びの賃金?ゲームではそんな事はなかったが・・・。)
ゲームで全滅するとその場に死体は放置される。
そのため、新しいキャラを作り育てて、その場まで回収しに行かなければいけない。
つまりゲームではキャラは、プレイヤーが動かすだけの意志のない駒にすぎない。
しかし本当に生きて意志があるなら、何か利益がないと人は動かないのが当たり前である。
(いくら善だとはいえ生活がかかっているから、ボランティアはないか。)
「だから寺院まで運ぶのはやらせてもらうよ。」
「お願いします。」
アリアも一緒についてくようだが、その前にバナザードに駆け寄ってきて小袋を渡して来た。
「バナザードさん、これはお礼です。今日はありがとうございました。」
「約束の報酬いえいえ、報酬を貰うんですからお礼などいいですよ。それよりも・・・その・・・。」
「何でしょうか?」
バナザードはモジモジしている。
告白でもするのだろうか?
「次ももしよかったら・・・。」
「もちろんです。またパーティ組みましょう。」
彼女はそう言うと、くるりと踵を返して死体の運搬作業に戻った。
その塩対応に少しへこむバナザード。
もしかして、バナザードの好意に気付いているのかもしれない。
それなら、彼女には脈はなさそうだ、残念!
「報酬分けて、分けて!」
「私はもう休みたいから、早く分け前くれますか?」
「ちっ、あいかわらず浅ましい連中だぜ。」
さすが悪パーティ、傷心のバナザードに対して容赦がない。
「おい、アルお前の分け前だ。」
「ああ、ありがとう。」
「ありがとうじゃねえよ。ちゃんと分け前について聞いて来いよ。忘れるところだったじゃねえか。」
「いや、いつもお世話になっているし、今日も荷物持ちだったから、厚かましいかなと思って・・・。」
「はぁ?遠慮などクソの役にも立たないぞ。それどころか舐めてかかってくる連中もいる。」
(たしかに・・・会社でもあまり有能でないから、いつも負い目があったなあ。それで余計な仕事も断れなくて、押し付けられたりしたよなあ・・・。)
そう考えると、彼は思ったよりいい奴なのかもしれない。
「確かにその通り・・・貰います。」
「まあ・・・お前は他の奴より働いてないから当然少ないけどな。」
そこまでいい奴ではなかったようだ。




