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不老不死の魔導士

勢い込んで入った部屋には何もなかった。

何も存在していない広い空間があるだけだった。


「なんだここは?不老不死の魔導士の部屋ではないのか?」


私達はただただ困惑した。

とにかく警戒しながら周りを見回して様子を確認する。


「やあ、騎士ブレイブ。」

「!」


どこからか突然声が聞こえてきた。

私達が聞こえてきた場所に目を向けると、今まで何もなかった空間に突如、黒いローブをまとった何者かが現れた。


(先ほどまで誰もいなかったはずだ。転移魔法のようなものなのか?)


「貴様が不老不死の魔導士か?!」

「久しぶりだね、騎士ブレイブ。」

「久しぶり?貴様とは初対面だが?」

「ああ・・・君の中ではそうだったね。」


(何を言っているんだ?しかし、なんだ・・・この感じ。)


「おい、相手にするな・・・でゴザル。」

「下手に会話するとあっちの思うつぼよ。」

「相手に時間を与えるのは良い事とは思えませんねえ。」

「神の裁きを与えるのです。」

「いつでもブチかませるよ。」


準備万端の仲間達に対して私は静かに話しかける。


「ああ、わかっている・・・が、彼には聞きたい事がある。皆、攻撃するのは待ってくれないか?」


その言葉に仲間達は少し驚いた表情を見せたが、何かを感じたのか矛を収めてくれた。

私も武器を収めて魔導士を真っすぐに見据えて話しかける。


「私達に攻撃する意思はない。不老不死の魔導士よ、君に聞きたい事がある。」

「聞きたい事か・・・いいだろう。私もただ戦うだけに飽きてきたからね。」


彼に攻撃の意志は感じられない。

話し合いに応じるようだ。


「まずは・・・この迷宮を作ったのは君なのかい?」

「ふむ・・・そうでもあるし・・・違うとも言える。」

「それはどういう事だ?」

「そのままの意味だ。それ以上は答えられない。」


これ以上は答える気はないようだ。


「では、君は不老不死なのか?」

「不老ではないし、不死でもないが・・・永遠ではある。」

「どういう意味だ?」


彼は顔を隠していたフードをめくりあげた。

すると、皺くちゃの顔が現れた。

年老いた男の顔だ。


「どうだい?不老ではないだろう?」

「ああ、そのようだな。しかし不死ではないが永遠とはどういう意味だ?」

「その意味は君が考えたまえ。」


(謎かけか?いや・・・惑わそうとしている?少なくとも不老不死でないのなら、伝わっているこの迷宮の目的自体違うのか?)


「君の言っている事はわからないし、考える必要もない。それよりも・・・この迷宮で何をしようとしている?真の目的はなんだ?」

「何でも人に聞くのは良くないな。自分で考える事をしないと進歩はないよ。」

「聞かれても答えられない・・・実は本当は不老不死の魔導士でもなんでもない、下っ端なのか?」

「煽ってくるとは、冷静じゃないか。前あった時とは違うようだ。」

「前?そう言えば久しぶりと言っていたな?どういう事だ。」

「ヤレヤレ、また質問か?もう面倒だから終わりだよ。」


そう言うと彼の周りに、多数の魔物達が突如現れた。

一瞬人間かと思ったが、全員血走った目で顔色が悪い・・・バンパイア達だ。

出てきたバンパイアは鎧やローブを着用していたりと様々だったが、一人だけ貴族のような豪華な服をまとっている者がいる。


「バンパイアロード!冒険者達を眷属にしたのか・・・。」

「人手不足でね。やる気のある無謀な冒険者は、君達にとっては最大の敵だな。」

「ああ、厄介だな。」


騎士ブレイブのパーティと不老不死の魔導士の軍団が睨みあう。


「では・・・そろそろ始めるか。」


彼は皺くちゃの老人とは思えない透き通った声で、戦闘開始の合図をした。


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