告白
健介は柔らかな木洩れ日の中で目を覚ました。
明陽と過ごす時間が余りにも優しく、心地良すぎて昼休みの後、林の中で明陽と寝転がっていたら、いつの間にかそのまま眠ってしまっていたのだ。
「目が覚めた?」
目の前に明陽の顔が有った。
「明陽さん、ずっと起きてたんですか?」
健介はまだぼんやりとした頭で尋ねた。
「ううん、僕も今起きたところ」
「あ……授業……」
彼は5時限目の授業をサボったことを何となく思い出して呟いた。
「うん、6時限迄には戻らないとね」
明陽がそう言ったので、健介は急に現実に引き戻されて、明陽の腕の中に居ることに気付いた。
途端に顔が熱くなって、健介は慌てて起き上がった。
「すみません!僕……知らない内に腕枕なんか……」
「ううん、健介が気持良さそうに眠ってたから僕が勝手にしたんだよ」
明陽もゆっくり起き上がりながら言った。
「やっぱり起きてたんじゃないですか!!」
健介は少し非難を込めて言った。
「ふふっ、あんまり可愛い顔して寝てたから……ずっと見ていたかったんだ」
「うっ……んん……」
明陽の笑った顔が余りにも優しくて、健介は何も言えなくなってしまう。
にこやかに健介を見詰めていた明陽の顔が徐々に真剣な面持ちに変わっていった。
「健介……」
「はい」
明陽の様子に健介も自然と真顔になる。
「もう一度キスしてい?」
何時もは王子様のような明陽が今はとても艶めかしく見えて、健介は視線を釘付けにされたまま何も言えずに頷いていた。
明陽はゆっくり顔を近付け唇を重ねた。
今度は何度も優しく健介の唇を吸い、さっきのキスよりも長かった。
健介もそれに応じ、夢中で明陽の唇を吸った。
「はぁ……」
唇を離した後に健介は大きく息をした。
顔が火照り、息が荒くなっているのが自分でも分かる。
「健介」
「はい」
「順番逆になったけど、僕と付き合ってくれる?」
どうやら明陽は先にキスした事を言っているようだ。
「はい……よろしくお願いします」
健介は頬を染めて静かに答えた。
自分も明陽が好きなのだから断る理由など無かった。
「有難う。じゃあもう一つ、僕のお気に入りになって」
「え……あ……」
健介は躊躇っていた。
明陽のことは好きでも“お気に入り”にはやはり抵抗があるのだ。
「健介がそういうの嫌ってるのは分かってるけど、これは健介を守るためでもあるから」
明陽は健介と付き合うにしても、今のまま曖昧な形で接していては、何れ誰かが健介を傷つける事になるかもしれないと危惧していた。
「分かりました、そうします」
明陽の言葉を聞いて健介は腹を決めた。
付き合っているだけでは明陽の庇護に入り切れないのは分かっている、寧ろそれを知られれば周りから敵視され攻撃の対象になりかねない。
しかし“お気に入り”になれば特別な存在として周知されるのだ。
拒否すればきっと明陽に余計な心配を掛ける事になるだろう。
それならいっそ受け入れたほうがマシだ。
「良かった。じゃあ明日告知するよ?」
「はい」
穏やかな顔が満足気に頷いた。
「じゃあ戻ろうか、6時限目はちゃんと出ようね」
そう言って明陽がニッコリ笑った。
「はい」
健介も笑って答えると、明陽と肩を並べて校舎へ戻って行った。




