#1 狩るものと狩られるもの
西暦2138年 東京。現在の東京は見る影も無く、街のほとんどは焼け野原となった。かろうじてあるのは廃墟となり、今にも崩れてもおかしくないビル群。
だが、そんな悲惨な東京にも人影はあった。
『銃器を構えた数多の人影』と『ただ立ち尽くしている1つの人影』が____
「撃てぇ!!!!!!」
先頭に立っていた1人の男の合図により、何百の鉛が波となり発砲対象を飲み込んだ。
たった1人にいくらなんでも過剰すぎる攻撃。
激しい砂埃と消炎に辺りは包まれ、撃たれた者は間違いなく蜂の巣だろう。
「撃ち方止めぇ!!!!!!」
銃撃は止まり、薄汚れた霧が晴れる。すると目の前に転がっているのは無数の穴が開いた人間だったもの。
____ではなかった。
あろうことか、撃たれていた者は穴どころか傷の1つ負っていなかった。そしてにやけ顔で、
「もう、終わりか?」
とひとことつぶやいた。
「ば、馬鹿な! 対能力者用の銃弾だぞ!?」
先頭で発砲の合図を出した男、そして発砲した者たちは焦りと驚きの色を隠せていなかった。合図がないのに再び撃ち始めた者すらいた。彼らが撃っている物は『能力者用の銃弾』つまり、発砲対象である彼はただの人間ではなかった。
「う、撃て!!!! 撃ち続けろ!!!!」
焦りながらも再発砲の合図を出し、再び鉛の波が押し寄せた。
だが____
「わりぃなぁ兄ちゃん。それが効くのはCランクまでだ。」
男が波に逆らい走ってきた。そして右腕が振るわれた。
その瞬間。風が吹いた。強い突風だった。そして……男が1人後ろのビルの壁に激突していた。
「くはっ……何が起きて……。」
壁に激突して生きていたのは最新の防護服のおかげか、そう思いながら目を開くと……目の前には血だまりが。そして人だったものが転がっていた。「今度こそ仕留めたか!」と一瞬安堵の表情を見せたが、異変に気付くのに時間はかからなかった。「転がっている者が身に着けているのは自分と同じ防護服ではないか?」と。
慌てて目線を上にやると……少し奥に自分と同じヘルメットを着用している頭が。
横には、自分と同じ様に壁に打ち付けられ息絶えたもの。
そう、部隊は壊滅していた。同時に自分があの後、気絶していたことに気づいた
「お、最初に吹き飛ばした兄ちゃん生きてるぞ?」
絶望と恐怖で男は気づいていなかった。自分が再び狩られる対象になったことに。
1歩、また1歩と血だまりと死体を踏みつけ蹴り上げ男が近寄ってきた。
口元に牙のような物を光らせながら。
男は自らの死を悟ったのか眼から光は消え、逃げも隠れもせずその場から動かなかった。
その姿はまるで狼に追い詰められたウサギのような。
そして男は__眼の前の獲物に文字通り牙を剝いた。
ドスンッ!!!




