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アメリア様は天真爛漫

侍女のノックで目が覚める。

「食事をお待ちしました。授業は10時からとなりますので

宜しくお願いします。」

「承知しました。授業の部屋を存じません時間前に案内をお願いします。」

「はい勿論です。」侍女は部屋を後にする。

早速食事に手を付ける。

先ずスープかな、ズズ…美味い!

こんなものを毎日食べてるのかー、羨ましい!

食事を完食し、椅子に座ったまま時間が来るのを待った。

コンコンコン!そろそろ授業のお時間ですが

用意は宜しいですか?

「案内をお願いします。」そう言うと私は部屋を出た

侍女の案内で教室と言ってもただ部屋に到着した。

30分ほど待っただろうかアメリア様は教室に入ってきた。

「よろしくー。」そう言うと私の前に立つ。

「アメリア様時間は厳守です。アリシアさんに謝罪はないのですか?」

侍女はアメリアを窘める。

「はーい反省してまーす。まことにごめんなさーい。」

私の事を完全になめ切っているようだ。

「それではアメリア様、鍵開けと罠解除どちらから始められますか?」

私は聞いた。

「どっち先がいいの?」

「そうですね、どちらでもいいとは思いますが…

私は鍵開けから始めました。同時並行の方がコスパは良いと思います。

そうなると…実際現場で実践するのがいいとは思いますが

アメリア様は外出可能ですか?」

「聞いてみないとわからないかなぁ…父上は反対しそう。

でも私が譲らなければ許可出してくれると思うわ。」

王も苦労が絶えなさそうだ。

「ベアトリス!早速父上に伝えて頂戴。」アメリアは言うと

「承知しました。」ベアトリスという侍女は部屋から忙しそうに出て行った。

「ねぇアリシアは冒険者なんでしょう?何か話聞かせてよー。」

アメリアは目を輝かせて言う。

「分かりましたベアトリスさんが戻るまで、お話しをしましょう。」

ライカンスロープの話をしている途中

コンコンコン!「騎士ゼノンです。おじゃましても宜しいでしょうか?」

「話の途中だからダメ!」アメリア様は言う。

「これは困りましたね…外出の件で参ったのですが。」

「えっ!じゃあいいよ。」アメリア様は現金であらせられる。

ガチャ!「失礼致します。」

「あっ!」声を上げたのは私

玉座の間で試験のジャッジをした、もう片方の騎士だゼノンというのか。

「アリシア殿、先日はどうも、姫様の事何卒宜しくお願い致します。」

「いえいえ、身に余る光栄、精一杯お力になれるよう努めます。」

私が言うと間髪入れずにアメリア様が言う。

「ゼノン、外出の件は?」

「はい、王に奏上致しましたところ許可が出ました。

ただしアリシアさんの帯同が条件です。

アリシアさんは御前試合であのガルヴァンから一本取られた実力者です。

一緒ならば安心して送り出せると申しておりました。」

「えっ!!本当に?!あのガルヴァンから?!」

姫様は打って変わって私へ尊敬の眼差しを向ける。

「いえ、あれは偶々ですから。」苦笑いしながら私は言う。

チート使ったからね。

「いや!ガルヴァンから偶々でも絶対勝てないよ!先生は強いんですね!」

ん?名前呼びから先生に変わったぞ。

姫様手のひらクルってなってませんか?

「そして一応、回復役で優秀な神官もつけますので

ダンジョン等で学業を実践して頂いても問題ないと思います。」

ゼノンは言う。

「えーと…私と神官様と姫様の3人での現地実習という事でしょうか?」

「はい、そうなりますね。」ゼノンは言う。

「いくら何でもそれは危険ではありませんか?

姫様に万が一の事があってはならないと思うのですが…」

「そこはアメリアさんが付いていれば安心ですから

本気のガルヴァンから一本取れる実力の方ですし

他の騎士を護衛につけても、かえって足手纏いになるだけでしょう。

私も王も貴方には信頼を置いています。」

それは買いかぶりすぎですよゼノンさん。

「それにダンジョン内で騎士団や神官がぞろぞろ

ついて行ったらどうなると思います?」

うん、それは確かに問題かな。

「分かりました隠密に重きを置くという事ですね。承知しました。」

私の返答に

「理解が早くて助かります、それでは姫様の勉学への尽力お願いしますね。」

「しかと承りました。」私は返事をした。

「それではアメリア姫様、気が進まないとは思いますが

質素な冒険者らしい格好に扮して頂けますか?

お忍びですから目立つと宜しくありません。」私が言うと

「分かりました先生!侍女に質素な冒険者服を用意させ

すぐに着替えてきます!」

パタパタと侍女の詰め所へ駆けて行った。

「ゼノン様、私を立てて頂き感謝します。

これで姫様とのコミュニケーションも捗る事でしょう。」

「いえいえ、本当の事を言ったまでですよ。

それよりも、家庭教師が終わったら団に仕官しませんか?

貴方の強さは王国の盾となるに相応しいものです。」

微笑んではいるが目が本気だ。

「私はしがないアサシンです、申し訳ありませんが

騎士様と肩を並べるなど到底思いもよりません。

ゼノン様のお気持ち有難く頂戴しておきます。」

「フフフ、私は振られてしまったようですね

気が変わったらいつでも待ちしていますよ。」

ゼノンさんが言い終わるや否や扉がバーン!と開く。

「先生準備完了です!」アメリア様は薄汚れたお召し物で登場した。

「それでは、神官をこちらに呼びますので、少々お待ちください。

失礼いたしました。」一礼し騎士ゼノンは部屋を後にした。

「それではアメリア様、万が一に備えて、この短剣をお持ちください。」

私は家宝の短剣を渡す

「勿論。アメリア様がそれを使用しなくてもよいように

私が全力でお守り致します。」

「はい!わかりました先生!よろしくお願いします!」

なんだろう、凄く聞き分けが良くなられた。

コンコンコン!ドアがノックされる

「宮廷神官ヒーラーのクラリサと申します。

アリシアさんと姫様はお見えでしょうか?」

「クラリサ開いてるわよ、入って。」アメリア様が言う

「それでは失礼します。ダンジョンへの同行

王命を受け参上いたしました、どうぞ宜しくお願い致します。」

「お世話になりますクラリサさん。」

「頼んだわよクラリサ。」

「早速ですが、この近辺にトラップがあって、宝箱のピッキングが出来る

手頃な初心者ダンジョンはありませんか?」私は聞く

「それなら初心者修練のダンジョンね!

東に一時間ほどの所にあります!」姫様が答える

「それでは早速出立しましょうか。」

部屋を出て私達は城門へ向かう

城を出るまで、通路ですれ違う騎士や兵士達は

私達を見ると一瞥して通り過ぎようとするが

「んっ!んんっ!!」と姫様は彼らの行く手に立ち塞がり

咳ばらいをしフードを脱ぐ

「ひ……姫……!? こ、これは……! 申し訳ございません、姫様!!」

慌てて直立し右拳を胸に当てて冷や汗をかきながら敬礼をする騎士や兵士達

「驚いたか? まあ良い、良きに計らうがよい。」

ドヤ顔で姫様はセリフを決め、こちらに戻ってくる。

騎士や兵士達はというと、姫様が見えなくなるまで

直立し右拳を胸に当てて敬礼を続けている。気の毒だ。

場外へ出るまでこれが繰り返し続いた。

当の騎士や兵士達は、たまったものではないだろう

でも私はそんな姫様を可愛らしく感じた。

街中に入ると賑やかな雑踏に露店が数多くみえる。

活気のある良い街だと思う。私は人が多いのは苦手だけれども。

さて、あまりお忍びはされた事が無いのか

姫様は凄い勢いでキョロキョロしている。

とても…不審者です。

私は姫様に耳打ちをする。

「姫様、あまりキョロキョロされますと挙動不審に思われます。

普通にしていただけますか?」

姫様は小声で耳打ちを返してくる

「分かりました先生。」

そう言うと落ち着いて歩かれている。

町中を抜け街道に出る。

「ふぅー。外は開放的でいいわね!

宮廷の庭とは違って質素だけれど

そこもまたいいわ!」

姫様は、そう言いながらくるくる回ったりスキップしたりしている。

この年齢の子って無邪気なんだよね、姫様も御多分に漏れずかな?

前世で姪っ子や甥っ子の面倒も見ていたけれど、こんな感じだったわ。

普段王宮に閉じ込められているからストレスが溜まっているのだろう。

と考えると姫様のワクワクが止まらないのも納得だ。

しかもこんな少人数で出歩く事なんて無かっただろう。

「姫様とても楽しそうですね、あのように、はしゃぐ姫様を見るのは

初めてかもしれません」クラリサさんは嬉しそうに私に語りかけてきた。

「それは何よりです。息抜きは大事ですからね。」私も微笑んで返答した。

命の洗濯ってやつだな。

一時間ほど経ち、私たちはダンジョンの前に着いた。

姫様は、はしゃぎ疲れぐったりとしている。

うん、こうなるとは思っていた。

「それではアメリア様も、お疲れのようですし

少し休みましょうか。」私が言うと

「そうですね、天上の御座にまします偉大なる神よ。貴方の御名を讃え

安らぎの恩寵を請い願う。ここに聖環を降ろし、癒しの奇跡をお示しください。

セイクリッド・サークル!」クラリサさんが詠唱すると地面に光りと共に

緑の陣が描き出される。

「さぁアメリア様こちらの魔法陣にお越しください。

この魔法は疲労回復を早める効果があります。ささ、どうぞ。」

姫様は魔法陣に入ると

「わぁ!少し体が軽くなった!凄いわねクラリサ!」

そう言うと魔法陣の上に座られた。

「ベッドに横になるより癒されてる感じがするわぁ」

お気に召されているようで何より。そう思っていると

「先生…私の為に時間を浪費してしまってすみませんでした。」

しょんぼりと姫様は言う。素直でかわいい。

「いいえ、アメリア様が楽しんでいるお姿に

私はとても和ませていただきました。

そんなに時間のロスというわけではありませんから。

お気になさらず。全快までお休みください。」笑顔で私が言うと

「先生は本当にお優しいですね。増々好きになってしまいました!」

頬を赤らめ姫様が言う。

まぁ何ともストレートなお言葉。

好意を寄せられた事は無いので反応に困るが、嫌な気はしない。

この子は相手を認める(尊敬する)とこんなにも

性格が柔らかくなるんだなぁ。

姫様相手に失礼かもしれないけれど、本当に良い子だ。

私達は疲労をとるため暫くそのまま魔法陣に待機していた。

姫様の疲れが回復したらダンジョンに突撃し実践指導だ。

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