No.1活動記録:期待の新星、その名はダンジョン探索部
行き当たりばったりで書いておりますので、途中で更新スピードが落ちるかもしれませんが、毎日一話ずつ更新していきたいと思います。
No.1活動記録:期待の新星、その名はダンジョン探索部
今から約三十年前。世界各国に突如として出現した、巨大で不気味な『門』。
今ではすっかり「次元門」なんて呼ばれて人々に慣れ親しまれたものになっているけれど、出現当時は世界中がもの凄いパニックになっていたんだとお父さんが教えてくれた。
それからすぐに各国の調査隊が派遣され、門の向こう側で確認されたもの――それこそが、現在『ダンジョン』と呼ばれている未知の異界空間だった。
そこは地球の常識や物理法則が一切通用しない……まあぶっちゃけて言うと、ゲームみたいに「スキル」や「魔法」が存在するファンタジーな世界。
もちろんそれだけじゃない。ダンジョンの内部には未知の資源が文字通り山ほど眠っていた。新たな利権の塊を見つけた各国のお偉いさん達は、こぞってこの「次元門」を確保することに血眼になって力を入れた。
「……スイちゃん、その話、まだ続きそう?」
「サクラ、もうちょっとだから待ちなさいよ。ええっと、どこまで読んだっけ?」
私はハンディカメラの録画ボタンを押したまま、事前にまとめてきたノートから視線を上げて幼馴染を睨みつける。
「『お偉いさん達が力を入れた』ってところまでですよ、スイちゃん」
「ヒマリサンキュー! こほん、ええっと……」
カメラのフレームの隅で教えてくれたもう一人の友人に感謝しつつ、私は再びノートに視線を落として解説を再開した。
各国が力を入れて「次元門」の確保に乗り出したものの、公的な調査隊だけでは圧倒的に人手が足りなくなった。そこで政府は一般市民からも広く「次元門」への立ち入りを許可し、国を挙げての資源確保に臨んだ。
結果、そこに「待ってました!」とばかりに民間企業の大群が参入。一気に成り上がった有象無象の企業連中が、ダンジョンの使用権や資源の確保といった利権を政府からもぎ取っていった。
「あ、これ、見たことない綺麗な花ですねー」
「ホント!? ヒマリちゃん。サクラがちょっと端末で調べてみるね!」
「ちょっとあんたら!! こっちが必死に活動記録の動画撮ってんのになに勝手に盛り上がってんのよ!?」
激しく手ブレする画面の向こうで、二人はダンジョンに生えたただの雑草をスマホでパシャパシャと撮影していた。真面目に歴史を語っていた私の立場がない。
「だって、暇ですからね。今やダンジョンの低階層なんて調べ尽くされて、ちょっとスリルがあるだけのテーマパークみたいなものですし」
「そうそう。上の階層に行くならともかく、この安全な『一階層』で危険なんてあってないような、ふぎゅ!?」
「えっ、あああ! サクラちゃん大丈夫ですか!?」
「ふえぇえええ……なんにもないところで派手に転んだよぉお……」
サクラは文字通り、突起物すら存在しない平坦な地面で綺麗に五体投地を決めていた。なんで何もないところでそんな漫画みたいに転べるのよあんたは……。
ま、まあ、ともかく!
今では一般人でも、簡単な講習を受けて登録さえすれば誰でも立ち入ることが許されている「次元門」。
そこで富や名声を求めて探索する人たちのことを、世間は敬意を込めてこう呼ぶ。
『ダンジョントラベラー』、と。
そして! 私たちはそんなダンジョンを日々まったりと探索し、誰も見つけていない未知を発見する期待の新星!
それが私たち、私立姫森高校――『ダンジョン探索部』なのだ!
「ええっ、私たちそんな壮大な目的ありましたっけ?」
「スイちゃんが勝手に言ってるだけだよ。ほら配信とかでバズりそうだからって」
「ああ、なるほど」
「ちょっと、録画中だって言ってるでしょ! 人がカッコ良く決めてるんだから決めさせてくれない!?」




