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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
3章 三重「個性」
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39. 2ndライブ 前編

 駅前広場に戻り、昼食を食べて衣装に着替える。今回の衣装もまた山宮さんが用意してくれたものだけど、今回はわたしたちも意見を出し合ってデザインを決めた。自作出来るのが一番だけど、衣装の自作はハードルが高すぎる。なので、ちょっとしたアクセを各々作って身に着けることにした。


 今日はライブの後に熊野市で大きなイベントがあるため、駅前はそこそこ人が居るみたい。時間まで車の中に潜んでステージを眺めている。数時間程度で小さなステージが完成していて山宮さんたちプロの仕事の速さに驚きだ。もう楽器のチューニングも終わってステージ上に準備してある。天気は今日も快晴、もちろん暑い。


「ステージの前に陣取っている人が結構居るんだけどもしかして……」

「ライブ場所を特定した人たちみたいだね」


 30人くらいはいるかな。確信無いのに良くここまで来たなぁ、名古屋からでもかなり遠いのに。なんとなくだけど、ゆ~ちゃんが言っていた大量にファンがいる、の意味が分かってきた気がする。


「ああっ!」

「プラムどうしたの?」

「あ、あの中に伊勢神宮の神様が居ました!」

「え?どこどこ?」


 辺りを見回したけど見つからない。こっちが探そうとすると見えないんだよね。油断してるとふっと目に入ってくるのに。


「し、しかもあそこで見た人が勢ぞろいしていたような……」

「ええええっ!まさかそんなにたくさん来るなんて!」

「……御影朋?まるで少しだけなら来るかもしれないと分かっていたような口ぶりですわね」


 あ、バレた。


「えへへ、実は昨日こっそりパステルちゃんに伊勢神宮に転移させてもらって、ここでライブするから良かったら見に来てくださいって念じてきたんだ」

「「「ええー!」」」

「だってせっかくだから見てもらいたかったんだもん。いや~それがまさか勢ぞろいで来るなんて、こりゃあ更に気合入れないと、だね」


 おお、異世界組が呆然としてる。気付いたのがライブ中じゃなくて良かったのかも。危ない危ない。


「事前に教えてほしかったでござる~」

「ごめんごめん、まさか本当に来るとは思わなかったんだよ~」


 報連相はちゃんとやらないとね。失敗しちゃった。




 神様が見ていることに衝撃を受けた異世界組が落ち着いたころ、開演時間が近づいてきた。


「さあ、みんな行くよっ!」

「こらこらみ~ちゃん、その前にこれだって」

「おっと失礼」


 わたしが右手を出すと次々と右手が重ねられる。車の中だから正直窮屈だ。


「みんな楽しむ準備は出来てる?」


 当然とでも言いたげな顔、不安に揺れる顔、いつも通りな顔、ワクワクが止まらない顔。色々な顔があって、色々な想いがあって、そんなバラバラなわたしたちが同じ方向に向かって進もうとしていることが嬉しかった。


「今日も全力で楽しむぞー!」

「「「おー!」」」




「ご通行の皆様、ちょ~っとだけ時間をもらっても良いかな?」


 まずはマイクでちょっとした声かけからだ。


「これからここで…………………………『カラフル@すくらんぶる』がライブをします!」


 その瞬間、叫び声が聞こえた。『やったああああああ』『うわああああああああ』『ホントに来た。来た!』ここをライブ場所だと特定した人たちの魂の叫びだ。飛び跳ねたりガッツポーズしたり、隣の人と抱き合って泣いてる人もいる!?


「おいおい、泣いているそこの君、泣くのはまだ早いぜ。俺らのライブで感動して泣いちゃいなよ」

「ちょっとすみれさん!?」

「はははっごめんごめん」


 すみれさんにマイク奪われたと思ったらまさか来てくれた人に突っ込みを入れるとは。このポンコツなやりとりまでマイクを通して伝わってしまい、みんなポカーンとしてるよ。


「え、ええと……そうそう、注意事項だけ……」


 軌道修正して一通り注意事項を読み上げる。


「うるさいかもしれないけどごめんね。あ、ちゃんと許可は取ってありますので~えへへ」


 最後まで読み終わり、いざ開演だ!


「それじゃあいっくよ~!」


 車から10人が飛び出しステージへと早足で移動する。その途中も猛烈な歓声が飛び交い、驚いた通行人が徐々にステージ前に集まりつつある。


「まずはデビュー曲『Everyday Happy!!!』」


 下田で初披露したこの曲。当時とは振付が大幅に変わっている。どうすればもっと楽しくなるかを練習しながら常に考えて意見を出し合っているので、何回も何回も内容が変わった。その時一番楽しいと思える振付にしようと決めているので、これからもライブの度に内容が変わる気がしている。


 歌っているとコールが入った。この曲、下田でのライブ以降発売してないし公開もしてないのにコール準備してくれてるんだ。あのライブの映像だけで準備してくれたのか。嬉しすぎるっ!


 お、メイド神様が視界の端に映った!ぴょんぴょん跳ねてた!可愛い!もう見えないけど居たはずの場所に視線をやって軽くウインクしてあげた。


 一曲目なのに歌い終わったら充実感でいっぱいだ。日差しが強く汗もダラダラ流れているのに、こんなに気持ち良いなんて!


「こんちは~『カラフル@すくらんぶる』です」


 今日は素に近い感じでお話しできそうだ、良い感じ。グループの簡単な紹介をして、伊豆以来二度目であることを説明する。


「それでね、前回は自己紹介をま~ったくしなかったから、こいつら誰だよ?みたいな感じになってるよね?お、前の方うんうん頷いてる。だよねぇ~ホームページもまともな紹介まったくしてないもんね。今日も自己紹介はしません!」

『ええ~!』

「えへへ、冗談冗談。今日はちゃ~んと自己紹介の時間をたっぷり用意してあるよん」

『うおおおお~!』


 なんかこうやって話するの滅茶苦茶楽しいんだけど!そういえばあのゆ~ちゃんの五万人ライブで舞台に上がった時も掛け合いするの楽しかったな。


「まずはほっし~こと星野弓弦!はみんな知ってるから次!」

「なんでよー!」

「だって超有名人じゃん。ゆ~ちゃん今さら言うことあるの?あ、わたしは彼女のことをゆ~ちゃんって呼んでます。この呼び方は幼馴染の特権なんです、ぶい」

「弓弦はこの娘のことをみ~ちゃんって呼んでま~す。あとね、」

「次は私ですわ。私は横石玲菜です」

「なんでよー!」

「とまぁ弓弦は私たちの中でこういう立ち位置ですわ」

「ちょっ、最初が大事なのに、本当にそういうキャラ付けになっちゃうから!」


 あははは、と会場から笑いが起きる。些細なことでも笑ってくれる温かな空間が心地良い。


「いいもんっ、弓弦のソロライブで好き勝手言ってやるんだからっ!」

「言ったところでみなさん弓弦の本質は分かっていると思うわ」

「いいからっ、自己紹介進めてっ!」


 ゆ~ちゃんこうやって弄られるの楽しそうなんだけど、すごい笑顔で弄られてるからいずれドМって言われないか心配だなぁ。


「それではあらためまして、私は横石玲菜です。私はリーダーの高校時代の同級生で、一緒にアイドル活動やろうって誘われたのですわ」

「……誘われた?」


 おかしいな、半分強引に入ってきたようなイメージがあるんだけど。


「さ・そ・わ・れ・た・の・で・す・わ!」

「ソ、ソウデスネ」

「このメンバーの中では一番普通なので影が薄いかもしれませんが『恋する乙女です』」

「ゆ、弓弦!?」

「さっきの仕返し~」

「あ、あああ、アイドルは特定の人に恋なんてしませんのっ!」

「ふ~ん、ソウダヨネ~」


 ゆ~ちゃんがさっきの仕返しだと言わんばかりに横石さんをからかいだしちゃった。アイドル的に恋するってのは流石にまずいのでフォローしておこうかな。別に恋愛禁止じゃないけど。……なんかもやっとする。


「えへへ、横石さんにお相手が居ないことはわたしが保証するよ。ぜ~~~ったい大丈夫だから!」

「そ、そうですわ!私はこれで終わりっ、次ですわ!」


 次は妖精の二人だね。


「はいはいはーい!私はパステルって言います!それでね、こっちがお姉ちゃんのシャモアだよ!私たち双子の姉妹なんだ!」

「あらあら、シャモアって言うのよ。よろしくね」


 シャモアちゃんは全力で猫かぶりモードか。舞台上じゃ本性出さないだろうなぁ。パステルちゃんはハイテンションモードで元気一杯だね。


「みんなとは伊豆で出会って一緒にアイドルやることになったの。お歌もダンスも大好きだからすっごく楽しいんだ!」

「うふふ、私もこうやってみなさんの前で歌って踊ることが出来てとても幸せですよ」


 舞台上でクルクル回ったり飛び跳ねながら楽しそうに自己紹介をするパステルちゃん。この暑いのに良くこんなに動けるな。一方シャモアちゃんは動き回るパステルちゃんを温かく見守るような雰囲気を出してはいるけど、暑いから動きたくないだけだろうね。


「今日暑いけどみんな大丈夫~?」

『大丈夫~!』

「おお~すごいね。実はお姉ちゃん暑いの苦手で、内心帰りたがってるんだよ~」

「ちょっとパステル!?いやいや、そんなこと無いから!」


 おおっと、パステルちゃんがぶっこんで来た。


「お姉ちゃん舞台の上ではこんなだけど普段はすごいぐうたらだから……」

「ああっと!パステルそんなに動き回ったら疲れてしまいますわよ。ほらそろそろ休んで次の人の紹介にうつりましょう、ほら、ほら」

「ええっ、でもお姉ちゃんの本性をちゃんと伝え……」

「は~いここまでで~す、よろしくお願いしま~っす!トモさん、次っ!次っ!」


 そういえばパステルちゃんって少し意地悪なんだった。シャモアちゃんが焦って言葉づかい崩れてるし、もしかしたらシャモアちゃんの素が舞台で見られる日は遠くないのかもしれない。


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