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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
3章 三重「個性」
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9. もちや

「もち~?」


 自分のもっちりした頬っぺたをぷにぷに突っつくミカン。ちょっとこっちに来なさい、わたしが突っつきたいから。


「そう、おもちのもちや」

「おもち食べに行くの~?」

「違うよ、もちやだけど遊ぶ場所があるの」

「???」


 まかいの牧場から生還した三日後、今度は別の場所に案内する。前回時間が無くて紹介できなかったところだ。


「それじゃあしゅっぱ~つ」


 メンバーは前回と同じでわたしと異世界組とケイちゃん。まかいの牧場が楽しかったからか、今日もまぶしい笑顔で楽しそうに座っている。


「もっちもち~もっちもち~」

「もっちもち~もっちもち~」


 ミカンが何気なくつぶやいた言葉をケイちゃんが繰り返す。するとあら不思議、車内はもっちもち空間に早変わり。可愛いから問題ない!


 今回の目的地はまかいの牧場より少し先に行ったところにあるので、前回と同じく国道をどんどん北上する。まかいの牧場を通過してしばらくするとその施設が右手に見えてくる。


『ドライブインもちや』

 道の駅ではなくドライブインという名前なのが時代を感じさせる。機能面では道の駅と同じで広い駐車場があり、お食事処やお土産売り場などがあるいわゆるドライブ時の休憩処。『もちや』という名前の通り、おもちに関係する名物が多く、草大福が人気。そしてこの施設の目玉となるのが、子供たちの遊び場である大きな遊具達。遊園地と表記されることもあるけれど、ジェットコースターのような乗り物があるわけではなく、たくさんの遊具が置かれている大きな公園のようなところ。古くて使えない遊具も結構あるけど、まだまだ子供たちを楽しませるには十分現役。


 小さいころ、両親にここに連れてきてもらって楽しく遊んだ記憶があるんだよね。ケイちゃんに楽しんでもらいたいっていうのと、こっちの世界の遊具を異世界組に紹介したかったっていうのもある。


「もっちもっち~」

「もっちもっち~」

「もっちもっち~」


 ミカンとケイちゃんとパステルちゃんが並んでご機嫌に歩いている。まるで三姉妹みたいだ。本物のお姉ちゃんはあらあらうふふと言いながら早足で建物の中に入り涼んでいる。


「シェルフはどうする?」

「今日はシャモア殿と一緒に待っているでござる」


 珍しい組み合わせだ。悪い予感がしないこともないけど、仲良くなることは良いことなので任せようかな。チョップのフリだけしておこう。


「わ、わかっているでござるよ」


 その言葉、信じるからね。




「それじゃあ行ってらっしゃい!」


 入園料を払い、残りの異世界組とケイちゃんを野に放つ。おっとその前にお願いしておかないと。


「プラムちょっと待って」

「なんですか?」

「ごめんね、引き留めて。これを持っていってくれるかな」

「水筒ですか?」

「うん、今日も暑いから熱中症にならないように気を付けてね。特にケイちゃんには折を見て飲ませてあげて」

「はい!」


 遊びに夢中になってると暑いの忘れちゃって汗だくになりながらはしゃいじゃうんだよね。特に子供のころは。そうなると熱中症で倒れちゃうから、そばにいる人がちゃんと水分補給をしてあげないと危険なんだよね。


「あのでかいのはなんだ~!巨大な魔物か~!」

「でっか~い!」

「一発撃っとく?」


 こら、止めなさい。と心の中でツッコミつつも、パステルちゃんは分別がついてるから安心して見ていられる。


 三人が驚いているのは巨大な木馬。車で国道を走っているときも視界に入るくらい存在感があるでかい遊具だ。よじ登ったりお腹のあたりから延びている滑り台で遊べる。この遊び場の目玉だ。


 平日だから人が少ないけれど、他にも小さな子供たちが遊んでいるのがチラホラと見える。こういう遊び場の良いところって、はじめて会った子供たちが自然と一緒になって遊び始めるところだよね。ほら、ケイちゃんも知らない子と仲良く遊び始めた。そこにミカンとパステルちゃんも混じってるのは……うんまぁ……波長が合うのかな。


 今日は四人が炎天下の中全力ではしゃいでいるのを微笑ましく眺めて楽しむ日。もちろん、背景が富士山になるポジションに移動するのを忘れない。同じ遊具で何度も遊んだり、かと思えば次から次へと違う遊具に移動したり、見てて飽きないなぁ。


 二時間以上遊んで疲れが見えはじめたので、一旦集合してお昼を食べることにする。お蕎麦とおうどん美味しい。ここはニジマス定食があるんだ。富士宮はニジマスが有名だけど、食べられるお店知らないんだよね。


「それでね、それでね、でっかいきのおうまさんがいたの!」


 ケイちゃんが、遊んでた時のことをシャモアちゃんとシェルフに楽しそうに話している。


「巨大な木馬でござるか。まるでトロイの木馬でござるな」

「とろい?」

「むか~しむかしの話でござるが……」


 人が入っている巨大な木馬を使って敵国に侵入した話だっけ。こっちの世界の神話の話なのにシェルフよく知ってるなぁ。


「しぇるふおねえちゃんものしり~」

「以前気になって調べたことがあるからでござるよ」


 褒められて満更ではないシェルフ。得意気にならないで謙虚なのはシェルフの良いところだと思う。


「うふふ、どうして気になったのですか?」

「シャ、シャモア殿っ……」


 ん?シェルフが焦ってるけどなんで?気になったってトロイの木馬のことだよね。それが一体どうし……


「シェルフ?」

「はいぃ!?」

「もしかして、やっちゃった?」

「み、未遂でござる!」

「ふ~ん、未遂ねぇ……」


 シェルフとトロイの木馬って、パソコン関係としか思えない。まさかウィルスに感染して気になって調べたってことなのかな。未遂って表現が微妙。


「あらあら、どこまでが未遂かしら」

「シャ、シャモア殿~!」

「後でちゃ~んと話を聞かせてもらいますからね」


 ちょっと話をしてただけなのに、もう力関係が決まっているとは思わなかった。とはいえシェルフを隠れ蓑にシャモアちゃんが何かしでかしそうな気もするから油断はしないよ。




 お昼の後はデザートの草大福。


「もっちもち~であま~い!」


 よもぎの良い香り。他にもあんころもちやきなこもちがあるけど今日はおなか一杯で食べられないからまた今度。ちょっと眠くなってきた。ちなみにケイちゃんたちはまた遊びに行った。元気だなぁ。


もちやはオフ会の集合場所としても良く使われているので、土日に来ると珍しい車やバイクの集団が止まっていることが時々あります。また、珍しいバイクの博物館もありますが今は閉鎖されているので残念。


遊具が古くてボロボロになってきているので、お客さんが増えて修理代にならないかなぁ。

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