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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
2章 伊豆下田「結成」
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9. 十ツ木すみれの場合

「くはぁ~うめぇ!」


 すみれさんはわたしの家に居候中。アイドル活動中は泊めて欲しいってお願いされたからだ。ずっとホテル暮らしだと高くなっちゃうし、部屋も空いてるから良いんだけどね。すぐに馴染んだのはすみれさんのサバサバした性格のためかな。


「すみれさん美味しそうにお酒飲みますね」

「おうよ、風呂上がりのビールはさいっこうだな」


 こんなおっさんみたいなセリフを笑顔でぶちまけるすみれさんはかなり年上なのかもと思っていたけれど、まだ20歳。わたしと2歳しか違わないとは思わなかった。


「朋も酒が飲めるようになればこの気持ちがきっと分かるはずさ」

「あはは、そうでしょうか。そもそもわたしお酒飲めるかなぁ」

「だいじょーぶ、朋はかなり酒に強いと見た。俺が言うからにはきっとそうだ」

「そんなことも分かっちゃうんですか?」

「いんや、てきとー」

「んもう」


 すみれさんはお酒が大好きなんだけど、すぐに酔いが回っていつも以上に饒舌になる。悪い絡み方してこないから、結構楽しいけどね。


 お酒かぁ。わたしもこんなに楽しく飲めたら良いな。


「そういえばすみれさんはどんなお酒が好きなんですか?やっぱりビール?」

「ん?別にこだわりはねーぜ。そん時の気分で飲みたいもん決める。酒は一通り試したから飲めないもんはきっとねぇ」

「そういえば家での夕飯の内容で飲むもの違いますね」


 味の濃いものの場合はビール、お刺身とか和食系では日本酒を飲んでいるイメージがある。


「まぁな、食いもん次第で気分が決まることも多いからな」


 やっぱりそうなんだ。

 いつかすみれさんにお酌して一緒に飲めると良いな。一緒に少し歌っちゃったりなんかして。


 あ、一応言っておくね。お酒は20歳になってから。朋との約束だよ。




「しっかし朋の母さんの料理ってすげぇ旨いな。どこかで料理習ってたのか?」

「え?そんな話聞いたことないよ」


 お母さんの料理をみんな褒めてくれるけど、ここまで言ってくれると少し小恥ずかしいな。


「味だけじゃねぇ。切り方や盛り付け方も完璧だし、全体の栄養バランスもちゃんと考えられてる。店開けばかなり客が来るんじゃねーか?」

「そんな大げさだよ~」

「大げさじゃねぇって、俺が言うんだから間違いねぇよ」


 そういえばすみれさんはずっと旅してるって言ってたけど、料理できるのかな。


「切り方や盛り付け方の良し悪しが分かるってことは、もしかしてすみれさんも料理得意なんですか?」

「ん?俺か?ん~得意っつーかなんつーか……」


 なんか歯切れ悪い、もしかして聞いちゃいけないことだったのかな。


「人並以上には出来ると思う、くらいで勘弁してくれ」

「は~い、いつかすみれさんの作った料理を食べられたら良いな」

「おう、いいぜ。明日作ってやろうか。何かリクエストあれば言ってみな。無ければ適当に作るぜ」


 え?いいの?わーい楽しみだ。どんな料理が出てくるんだろう。


 卵かけごはんがでてきました。


 なんてことはなく、出てきたのは名前も分からない手間暇かけた和食料理の数々。この人参細工すごい細かい、まさか家の包丁で作ったの!?


「おいっしぃ~!」


 わたしだけじゃない、みんながあまりの美味しさにとろけそうな笑顔になってる。別に脂がすごいのってる魚を使ってるわけでも高級なお肉を使ってるわけでもない。普通にスーパーで売ってる野菜中心だけど、その野菜の自然な甘さがこれでもかと引き出されている。


「この料理どう考えても素人じゃないですよ。すみれさんって何者ですか!?」

「へへっ、料理は小さいころからプロに仕込まれてきたからな。このくれーはよゆーだぜ」


 それってつまり実家が有名な料亭とかってことなのかな。あれ?それじゃあなんで料理人目指さないで旅してるんだろう。う~ん、聞いちゃいけなそうな気がする。


 何はともあれすみれさんのすごい特技を知っちゃった。今度から時々作ってもらおうっと




「ただいま~っと」

「おかえりなさ~い」


 すみれさんが帰ってきた。今日は市内の公園でまた歌っていたらしい。すみれさんの移動手段はなんと大型二輪。巨大なバイクに乗ったすみれさんがまた格好良いんだよ。


「とっきーまたのせてー」

「おうわんこじゃねーか。今日はゲームは良いのか?」

「キリが良いから~。ねぇ乗せて乗せて~」

「ずいぶん気に入っちまったようだな」


 ミカンはすみれさんのバイクに一度乗せてもらったら虜になってしまった。こうしてことあるごとに乗せて乗せてコールをしている。


「よ~し、ちょっと待ってろ。また山の方へひとっ走りしてくるか」

「わーいー!」

「もぅ、すみれさん気を付けてくださいよ」

「あいよ~もちろんきーつけてるぜ」


 バイクのことは全く分からないけど、すみれさんと一緒にツーリングするっていうのも楽しそうだなぁ。まずは四輪免許とってアイドル活動が軌道に乗ってから、だけどね。


「よし、それじゃーまた出かけてくるな。夕飯どきには帰ってくるぜ」

「は~い、いってらっしゃ~い」


 あれ?これって何か夫婦の会話みたい。なんてね。

 すみれさんは夫婦と言うよりもお姉ちゃんって感じがする。頼りがいがあって話しやすくて格好良い。憧れの人だ。


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