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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
2章 上高地・黒部立山「生きる」
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17. にょろにょろなアレ

 カレー、ラーメン、お寿司、焼肉、ハンバーグ……


 日本人が大好きなメニューは異世界組も大好きで、美味しいものを食べに遠出することも多い。そんなわたしたちが西回りで長野県に向かう理由の1つとして、あるものを食べるために1か所立ち寄りたかったからっていうのもあるんだ。


「それじゃあここで高速おりるよ。そろそろお昼だけどみんな起きてるかな?」

「起きてる~」

「……起きてます」

「うふふ、起きてるよ」


「大丈夫、みんな起きてるわ。牧之原サービスエリアを出た後くらいに目が覚めたみたいよ」


 いつもあそこで休憩するからそろそろ到着でお昼が近いことがなんとなく分かったのかな。


「楽しみでござる」

「久しぶりですね」

「うふふふふふ」


 なんとなく車内が活気づいた気がする。ホント、みんなアレが大好きだよなぁ。もちろんわたしも好きだけどね。


 わたしたちが昼食を食べるために立ち寄ったのは『浜松市』

 浜松市の名物料理と言えばもちろん……


『浜松餃子』


 なんだけど、もし今のテンションで餃子屋に連れていったら本気で凹む人がいるから流石にやらない。

 ちょっとだけ弁解するけど、浜松餃子美味しいしみんなも大好きだよ。旅の帰りに浜松に寄ってチルドの餃子買って帰ることもあるくらい。ただ今日の目的はそっちじゃないってだけのこと。


 ということでお目当てはもちろん……


『うなぎパイ』


 を渡したら温厚なみんなにガチで殴られるかもしれない。新富士駅でも買えるからわざわざ浜松までくる必要はないのですよ。うなぎパイと言えば V.S.O.P.っていうお酒が少し入ってるちょっと高めのがわたしは好きかな。


「さっきから何ブツブツ言ってるのよ」

「ちょっと神様とお話してた」

「それ、多分邪神よ。名前は『弓弦』かしら」

「なんでよー!」


 理不尽に弄られて嬉しそうなゆ~ちゃんの声を聴いて満足していたら、お目当てのお店についた。

 わたしたちが食べるのはもちろん『うなぎ』だよ。パイじゃないよ。


「三島で食べることが多くなってたから、浜松のうなぎは久しぶりだね」


 そう、静岡県でうなぎといえば、全国的な知名度は間違いなく浜松市だろうけど、実は三島市も有名だ。三島は富士宮と同じ静岡県東部なのでうなぎを食べるなら近い三島に行くことが多い。でも今回はせっかく近くを通るので食べていこうって話になったんだ。名古屋のひつまぶしと迷ったんだけどね。今回はこっち。


「「うっなぎ~うっなぎ~」」


 元気なパステルミカンの後について店内に入る。7月初旬なのでまだ土用の丑の日は遠いけど、お客さんが結構多くてほぼ満席状態。お昼には少し早いかなと思ったけどギリギリだったようで、辛うじて席が空いていたので滑り込むことができた。


「うなぎのゼリー寄せも食べてみたいでござる」

「え?あれって不味いんじゃなかったっけ?」

「どれだけ美味しくないのかが気になるでござるよ」


 怖いもの見たさってやつかぁ。シェルフらしいかな。


「弓弦は食べたくないなぁ。でもアレってどうやって調理するんだろうね」

「ネットで調べれば調理方法が出てくるんじゃないかな」

「え!?アレって空想上の食べ物じゃないんですか!?」


 おおっと、プラムが食いついてきた。というよりも異世界組がみんな驚いてる。漫画とか小説で良くネタにされているから勘違いしてたのかな。


「イギリス料理だよ。わたしも食べたこと無いから味は分からないけど、見た目はインパクトあった覚えがあるよ」

「俺も食べたことねぇなぁ。確かに気にはなるな」

「すみれさん作ってみる?」

「うなぎの調理はムズイんだよ。つーかそもそも生きてるウナギを手に入れるのが難しいし、何よりもったいねぇ」

「あはは、そりゃそうだね。普通にかば焼きで食べたいや」


 ただでさえ絶滅が危惧されてるって言われてるくらいだからね。冒険するのは勿体なさすぎるか。


 あれ?今の会話だともしかしてすみれさんウナギの調理が出来るってことじゃあ。冗談のつもりだったんだけどまさかね。


「お待たせいたしました」

「きた~!」


 目の前に置かれたのは黒い直方体の入れ物、重箱だ。


「それじゃあいただきます!」


 蓋を開けるとむわっと温かい空気が立ち昇ってくる。当然その空気には甘さと香ばしさがセットでついてくる。この瞬間がたまらんのですよ。


 ご飯の白い部分がほとんど隠れてしまうほどの大きさのうなぎが乗っていて、どこから箸をつけようか迷ってしまう。


 ちなみにわたしは山椒を上から最初に満遍なくかける派。すみれさんはうなぎをめくってご飯にかける派。他にも食べながら少しずつかける派とか、みんな食べ方が違う。


 準備は完了だ。


 左隅の方に箸を入れると全く抵抗なく白米へとぶつかる。そのまま白米を掬って一気に口に入れる。皮の焼ける香ばしさがぐっと強調されたと思った瞬間、とろけるようなふわふわな柔らかい食感が訪れる。しっかりと脂がノっているにも関わらず全くべったりしない。濃厚な甘タレとそれを吸収するご飯。それらが口の中で合わさって、圧倒的な快楽が押し寄せてくる。


 こうなったらもう止まらない。


 ひたすら無心で箸がうな重と口を往復するだけ。ときおり漂う山椒のツンとした香りがアクセントとなり更に食欲を増進させる。これはもう悪魔の食べ物としか思えない。


「肝吸いも良いわね」


 玲菜の一言で我に返る。このネトっとして濃厚な口の中に肝吸いを流し込む。


「ああああ~」


 変な声が出ちゃった。

 さらさらと喉の奥へとタレ脂成分が流れ込み、口の中がさっぱりする。かば焼きとは違った優しいお吸い物の香りが気持ちを落ち着かせてくれる。


「このタレを考えた人って天才だよね」


 ゆ~ちゃんの気持ち分かるわぁ。このタレは確かにうなぎに抜群にあうけど、うなぎ以外でも使えるんだよね。市販のタレと鶏肉、長ネギを炒めてご飯の上に乗せる丼物。割と簡単に作れるけど我が家の人気メニューだ。


「ふぅ~美味しかった」


 食べ終わって他の人を見ると、食後の余韻に浸っていたり、まだゆっくりと味わって食べていたりしているけど、みんな揃って良い笑顔になっている。うんうん、やっぱり美味しいもの食べると幸せな気分になるよね。


「他のも食べてみたいでござるが……」


 そうなんだよね、う巻きとか他のも食べたいんだけど、いつもうな重でお腹いっぱいになっちゃうんだよ。悩ましい。


うなぎのゼリー寄せを食べたこと無いのですが、どんな味がするのでしょうか。全く想像がつきません。

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