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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
1章 富士宮「出会いと再会」
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19. 悩みの裏で

 トモちんが変だ。


 元々少し変だけど、いつもとは違う意味で変だ。


 昨日お出かけから帰ってきてから、なんとなくだけど少し雰囲気が暗くて話しかけ辛い。


 向こうの世界では旅芸人としてみんなを音楽で楽しませていた。

 聞いている人が本当に楽しんでくれているかなぁって気にして、その場に合わせて演奏内容を変えていた。

 だから、感情には敏感なんだよね。


 トモちんはこっちの世界で最初にできた大切な友達。

 何か手助けしてあげたいな。


 得意の音楽で、とも思ったけどつい最近失敗しちゃったから、今やると逆効果になりそう。


 そう思っていたのはプラプラもシェッフィーも同じで、3人で何をすれば良いか話し合おうしていたら、突然予想外の人から呼ばれた。


「……(ひらひら)」


 トモちんのお母さんに手招きして呼ばれたので着いていくと、車で外に連れられて少し煤ぼけた建物の暗い地下室に連れ込まれた。

 え?何?怖いよー


 3人でビクビクしていたら突然ぱっと明かりがついた。

 その先にあったのは、小さなステージと楽器?らしい何かだった。

 ええと、確かあれはギター、だったかな?私が使っているのと似たやつ。

 あとプラプラが使っている楽器に似ているドラム、ともう一本ギター?


「おいおい、こんなかわい子ちゃん達が弾けるのか?」


「「「ヒィッ」」」


 髪の毛がツンツン逆立ってる道化師みたいな人が居た。

 こっちの世界にも魔物がいるの!?やっつけないと!


「ほらほら、この子達怖がってるじゃないの、って戦いの構えがマジもんっぽくて怖いな」


 部屋にはもう一人顔に変な模様が書いてある女の人が居て説明してくれた。


 ここは小さなライブハウスでバンドの練習にも使われている。

 なんで連れてこられたのかと思ったら、私たちに何か弾いて欲しいとのこと。


 弾いて欲しいって言われても使ったことも無い楽器なんて……

 自分たちの楽器取り出してそれ使おうかな。

 と思ったけど、どれもこれも自分たちがいつも弾いてた楽器と仕組みはあんまり変わらないみたい。


 となると、私がギターでプラプラがドラム、シェッフィーはベースってやつかな。

 少し鳴らしてみると、勝手は同じだけど音質がやっぱり全然違う。

 プラプラもシェッフィーも困ってる。


 けど、楽しい!


 私たち音楽大好きだもん、まさかこっちの世界にこんなに素敵な楽器があるなんて!

 ある程度使ったら大体使い勝手が分かってきた。


 すごい演奏しやすいなぁ。 


 向こうでは質の悪い楽器もいっぱいあったから、はじめて使う楽器とかも頑張って使いこなしてきたんだもん。これだけしっかりした楽器なら少し触ればなんとか……なる!


 プラプラもシェッフィーもいい感じだ。

 ということで、適当に合わせてみよー


 うん、いい感じ。


 バンドハウスの人?も予想外の出来に驚いているみたい。


 あー楽しかった。

 楽器を弾かせてくれるためにトモちんのお母さんが連れてきてくれたのかな、感謝だよー


 と思っていたらこれまで部屋の隅の方で佇んでいたトモちんのお母さんが何か紙をもってきた。


 なにこれ?がくふ?なにそれ?


 一枚目の上の方に何か書いてある。


 この曲を弾けるようになること。

 それがトモのためにきっとなる。

 だから『死』ぬ気でガンバレ。


 なんで『死』のところだけ赤いおどろおどろしい文字なの。

 これ血じゃないよね。

 がくふとトモちんのお母さんを交互に見る。


「……(にっこり)」


 ただ優しく笑っているだけなのに背後に修羅が見えるのは何故。

 どうして体が恐怖で震えているの。


 でも、なんでか分からないけどトモちんのためになるってんならがんばるぞー

 プラプラもシェッフィーも同じ気持ちだね、やる気十分(恐怖ちょびっと)に見える。

 頑張るぞー!







 ううー、ス、スパルタ。

 向こうの世界とは比べ物にならないほど、とてつもないクオリティを求められる。

 こんなに覚えること多いなんて、しかも3日で覚えろとか。

 ゲームやりたいよー


「……(にっこり)」


 ひいいいっ

 笑顔で指を1本立てて、もう1回の合図をしてくるはは様(・・・)


 修羅は実在した。


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