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8.夢で良かった!

 店員の女性は、ボクに対して不機嫌そうな顔をしていたけど、レジに行って銀貨三枚を取って来ると、それをボクに渡してくれた。



「二足で七千Genです。ですので、お釣りの三千Genです」



 ボクは、お釣りを受け取ると、急いでアイテムボックスの中に収納した。

 あと、女性店員の態度が多少悪くても気にしないようにと、ボクは自分に言い聞かせた。


 そして、今履いているピンヒールを脱いで、この店で買った靴の片方を履いた。

 カカトが変に高くなくて歩き易いや!



 ただ、ボクの隣では、店員二人が険悪なムードだったんだけど。

 大丈夫かな?



「君が、そんな汚い人間だとは思わなかったよ!」


「そっちこそ、ナニ女性客に鼻の下伸ばしてんのよ?」


「別に伸ばしてなんかいねえだろ」


「余計に割引しようとして、よく言う」


「それは、君がキチンと対応しようとしないから、そのお詫びも込めてだな」


「何がお詫びよ。隙あらば、手を出そうとか考えてたんじゃない?」



 多分、大丈夫じゃなさそうだ。

 どうやら、ボクが来たことで波風が立ってしまったらしい。

 婚約破棄とかにならないよね?


 大変申し訳ないことをしたけど、下手にボクが何か言っても、火に油を注ぐだけだ。

 それこそ、女性店員から、

『彼を寝取る気でしょ!』

 とか、勝手に決めつけたように言われかねない。

 なので、ボクは何も言わずに、その靴屋を後にした。



 ただ、ふと思ったんだけど……。

 男性からは必要以上に愛されるけど、当然、全部却下だし、結局のところ友情は存在しない気がする。

 女性との間にも、嫌われるだけで友情が成立しない。

 ボクに近付いて来る女性がいたら、それはそれでボクにとって危ない女性だろうし……。


 ってことは、H目的で群がって来る人は、多分結構いるけど、それを除外したら、ずっとボッチってこと?

 さすがに、それは避けたいけど……。

 でも、多分、そうなる運命な気がする。



 ❖  ❖  ❖



 それから少しして、ボクは宿に戻った。

 ただ、食事まで、一時間ちょっとある。


 なので……。

 ボクは、この空いた時間で、フェロモン魔法の出力を下げた代償行為を、さっさと済ましてしまいたい。



「出ろ!」



 気は乗らなかったけど、ボクは、正真正銘大人のオモチャを物質創製魔法で作り出した。

 勿論、女性用だ。

 それを使って……。


 …

 …

 …



 ❖  ❖  ❖



 それから、一時間が過ぎた。

 これを、毎日しなくてはならないのか。

 なんか面倒だ。


 ボクは、服を着ると食堂に急いだ。

 この世界での初めての食事。

 期待と不安が頭の中を駆け巡る。



 食堂に入ると、ウェイトレスが、

「こちらです」

 とボクを案内してくれた。


 冷たい雰囲気はあったけど、これは、慣れて行かないとイケない。

 いつか、ボクに優しく接してくれる女性も現れるだろうけど、そっちの方が、むしろ怖い気がする。



 案内されたところはカウンター。

 客数も多いし、一人客なので、店側としてもテーブルを避けたんだろう。



 食事メニューは固定のモノのようだ。

 ただ、それとは別に飲料……お酒が注文できる。


 ウェイトレスがボクにメニューを渡し、

「お飲み物の方は、如何なされますか?」

 と聞いて来た。



 ボクの身体は、食べたモノは完全にエネルギーに変えるって話だったから、多分、お酒も問題無いとは思うけど、念のため確認。

 一応、取扱説明書を開いてみた。



『取説君:ルカ‐0721号は、お持ち帰り機能が搭載されています。アルコール濃度に関係なく、ワイングラス三杯の酒を飲むと、勝手に酔い潰れます』



 確認しておいて良かった。

 作り物の身体なので酔わないだろうとは思っていたけど、酔い潰れて使われる設定まで組み込まれていたとはね。

 知らずにいたら、今夜は大変なことになったに違いない。


 ただ、アルコール度数に関係しないと言うことは、基本的にアルコールで酔い潰れると言うわけではない。

 飽くまでも、お持ち帰りしていただく機能として搭載されていると言うことだ。



「では、こちらのグラスワインを」


「承知しました」



 三杯まで飲まなければ問題無い。

 なので、今夜は二杯まで飲むことにする。



 食事が運ばれて来た。

 先ずはオードブルから。


 周りを見ると、この後、スープ、魚料理、肉料理、デザートと出るようで、どうやらフルコースメニューのようだ。

 宿泊費を考えると、かなり安い気がする。



 肝心の味の方だけど……。



「!!!」



 一口食べて、ボクはイイ意味で言葉を失った。

 マジで美味しかった。

 本当に美味しいモノを食べた時は、マジで言葉が出なくなるんだ!

 それにしても、この身体は味覚まで備わっているんだね!



『取説君:ルカ‐0721号は、スカトロプレイ対応として、疑似的な大便を排泄することが可能です。この疑似的大便は、魔素エネルギーを質量に変換することで作られております。また、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



 取説君が、この夕食に対抗するかのようにウ〇コエリクサーのことを強調して来たよ。

 ただ、悪いけど、今はウ〇コエリクサーのことは忘れさせてくれ。

 夕飯がマズくなる。



 丁度、肉料理を食べている時だ。

 何故かウェイトレスが、ボクのところにカクテルを運んできた。

 ボクは、注文した覚えは無かったんだけど?



「お客様。あちらのお客様からです」



 辺りを見回すと、一人の中年男性が、ボクの方を見ながら手を振っていた。

 これって、知らないおっさんからの奢りってことか。


 ボクは、そのおっさんに会釈すると、そのカクテルを試しに口にした。

 これも最高に美味しい。

 ボクは、改めてそのおっさんに笑顔で会釈した。



 すると、

「今度はあちらのお客様からです」

 ウェイトレスが、別のカクテルを運んできてくれた。

 これは、別のおっさんからの奢りだ。

 ただ、これで終わらなかった。



「これは、あちらのお客様からです」


「は……はい」


「こちらは、向こうのお客様からです」


「は……はい?」



 ボクの前に、どんどんカクテルが運ばれて来た。

 もの凄い数だ。



 さすがに、普通は、これ全部を飲み干したらマズいだろう。

 人間なら急性アルコール中毒になってもおかしくない。

 ボクは、悪いけど、一口ずつ飲んで、奢ってくれたおっさん達に笑顔を振りまいた。


 ただ、たとえ一口ずつでも、その総量から、ボクに内蔵された機能が合計ワイングラス三杯以上のお酒を飲んだと判断したようだ。

 急に眠気が襲って来た。



 まだ料理はデザートが残っていたけど、ボクは席を立ち、

「済みません。お腹がいっぱいで、失礼します」

 と近くにいたウェイトレスに言うと部屋に戻ることにした。



 激しい眠気で歩くのが大変だったけど、何とか部屋に到着。

 そして、そのままボクは、ベッドにダウンした。



 ❖  ❖  ❖



 ふと目を覚ますと、ベッドで横たわるボクの周りには、沢山のヤロウ共がいた。

 しかも、ボクもヤロウ共も裸だった。



「えっ? まさか?」



 ボクは、慌ててステータス画面を開いた。

 すると、そこに記されていた文字を見て、ボクは硬直した。

 Lv値が100になっていたんだ。



『取説君:ステータス画面の表記の意味は、次の通りです。

 Lv:Lover、即ち愛好者数を意味します。実質的には使用者数です』



『取説君:ルカ‐0721号は、100人乗っても大丈夫です!』



『取説君:ついでに、100人に乗っても大丈夫です!』



 何でだ?

 もしかして、ボクはお持ち帰り機能が働いて、知らぬ間に、一気に100人もの男性を相手にしてしまったと言うのか?



「ギャー!」



 ボクは、思わず大声を上げた。

 それと同時に、ボクは再び目を覚ました。



 辺りを見回すと、そこはボクが泊っている部屋だった。

 ボク以外には誰もいない。

 服も着ている。


 念のため、ステータス画面を開いてLv値をチェック。

 まだ0のままだ。


 ボクは、ホッと胸をなでおろした。

 あれは夢だったってことだ。



 こんな悪夢を見たら、普通は、寝汗がヒドイだろう。

 でも、この身体は汗をかかない。

 生物じゃないからね。

 とは言え、何となくシャワーを浴びてスッキリしたい気分だ。


 ボクは、服を脱いでバスルームに向かった。

 途中でボクは、鏡に映った身体を見たけど、やっぱり凄く綺麗でエロい。


 フェロモン魔法の出力を下げても、HP……ハレンチパワー……を下限値の50まで下げても、男が群がってくるのが理解できるよ。



 バスルームに入り、早速、シャワーを浴びようとしたんだけど、何故か、お湯が出てこなかった。

 どうやら、壊れているらしい。

 すると、代替策があるのか、取説君の声が聞こえて来た。



『取説君:ルカ‐0721号は、何時何処でもHができるように魔法でシャワーを浴びて全身を綺麗にすることが出来ます』



『取説君:相手に浴びせることもできます』



『取説君:但し、魔法でシャワーを浴びますと、周りがびしょ濡れになります。本魔法は、必ず濡れても良い場所でお使いください』



 浴びせる相手はいないし、他人に浴びせる機能は要らないんだけど。

 でも、魔法でシャワーが浴びられるのは助かる。


 ボクは、

「シャワー魔法発動!」

 この魔法で全身を隈なく洗い流した。



 適当なところでシャワー終了。

 ボクは、全身をバスタオルでキチンと拭いた後、バスローブで身を包み、ベッドの上に横たわった。



「ところで、ボクは睡眠をとる必要性ってあるのかな?」



 さっき眠かったのは、飽くまでもお持ち帰り機能のせいだ。

 この身体は生物じゃないし、基本的に、睡眠をとる必要は無いんじゃないかな?


 そう思った時、ボクのステータス画面が開き、毎度の如く、取説君が記載内容を読み上げてくれた。



『取説君:ルカ‐0721号は、基本的に睡眠をとる必要はありません。しかし、人間社会で暮らして行くために、人間と同様、睡眠をとることは可能です』



『取説君:ルカ‐0721号は、基本的には、どちらかと言うと夜行性です』



 夜行性なのは、夜のパートナーだからってことだね。

 思った通り、睡眠をとる必要は無いけど、睡眠をとることが可能なら、ここは、ちょっと寝させてもらう。

 一人で起きていても、何もすることが無いからね。

 ボクは、静かに目を閉じると、そのまま再び眠りについた。

人形なのに夢を見るとは……。

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