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71.伏せ字が消えた!

 さすが、魔剣と言うだけある。

 その威力は半端じゃない。


 避けるんじゃなくて、色物短剣で受け止めた方が良かったと言うことか。

 それにしても、あの色物短剣が魔剣と対抗できる代物だったとは……。

 むしろ、そっちに驚いているよ。



 人間なら、胴体を真っ二つにされたら間違いなく死に至る。

 周りの連中は、ボクのことを人間と誤認しているから、当然、ボクがプルートの手で殺されたと思っている。


 しかし、ボクは生物じゃない。

 しかも、性魔玩具なら何でも魔法で修復できる。

 勿論、修復するターゲットには、ボク自身も含まれる。



「(修復!)」



 ボクが心の中でそう唱えると、ボクの身体は、数秒で元通り修復された。

 そして、立ち上がったわけだけど……。

 そうしたら、周りにいた冒険者共が急にビビり始めた。



「ひいぃぃぃ!」


「ルカ。成仏してくれ!」


「なんまいだーなんまいだーなんまいだー!」


「ターンアンデッド! ターンアンデッド! ターンアンデッド!」


「素直に逝ってくれ!」


「出来れば、あの世で再会して俺をイかせてくれー!」



 彼等がボクに剥ける……じゃなくて向ける視線からは、喜びの念なんて、これっぽっちも感じなかったよ。

 畏怖の念しかない。

 ボクがアンデッドにでもなったと勘違いしているようだ。



 ただ、そんな中、ジノンは、ボクのことを茫然と見詰めていた。

 そして、

「アキ……」

 と呟いた。


 ボクとジノンの距離を考えたら、普通ならキチンとは聞こえないだろう。

 でも、ボクには、これがハッキリと聞こえていた。



『取説君:ルカ‐0721号は、男性(異性愛者、同性愛者共に)の声なら、どんな小声でも聞き逃すことはありません。また、女性同性愛者の声も聞き逃しません』



 同時に、ジノンのステータスが開いた。

 しかも、今まで伏せ字だった部分が読めるように変わっていた。



『前世の業:アキ‐108号使用者

 前世情報:HP98の超美女で名前はヴァナディス。クリ〇リスペシャル魔法を使うことによりアキ‐108号と結合が可能となり、毎日のようにHをしまくっており…………』



 つまり、ジノンが呟いた『アキ』と言うのは、ジノンが前世でHP98の超美女だった時代に使っていたボクの先行機のことだ。


 それと、彼のステータスには、もう一つ変化があった。

 前回、ジノンのステータス画面を覗き見した時には記載されていなかったことが、今回、追加されていたんだ。

 彼の記憶に関する件だ。



『備考:アキ‐108号と魔王ジローヌとの戦いの際、ヴァナディスは、内緒でアキ‐108号達の後をつけていた。そして、アキ‐108号が魔王ジローヌの魔法攻撃で胴体を真っ二つになるところを目撃していた。ルカ‐0721号が胴体を横に斬られた際、その前世の記憶がフィードバックし、そこから様々な前世の記憶が蘇った』



 つまり、ボクが胴体を真っ二つにされた時、ボクの姿とアキ姿が、ジノンの頭の中で重なったようだ。

 それがトリガーとなって、彼は前世の記憶を色々と取り戻したってことか。



 それにしても、話は前後するけど、

『クリト〇スペシャル』

 って、どんな魔法だよ?

 ちょっと気になる。


 でも、そのことを含め、ジノンに前世のことを聞くのは後にしよう。

 今は、プルートとの戦いが最優先事項だ。



 一方のプルートは、ボクの復活を見ても、特に焦ることも無く落ち着いていた。

 完全に想定の範囲内だったんだろう。



「まあ、予想した通りだな」


「そうなんだ。でも、これじゃ、お互い相手を倒すことは出来ないんじゃないですか? ボクは殺されない。でも、ボクには決め手となる攻撃手段が無い」


「果たして、そうかな?」



 プルートは、不適の笑みを浮かべると、再びボクに斬りかかって来た。

 当然、超高速稼働での攻撃だ。


 ボクも、超高速稼働を発動して、これを色物短剣で受け止める。

 二度、三度とボクを目掛けて振り下ろされてくる魔剣オンス。


 ただ、プルートの剣が、どんどん速くなっているような気がするんだけど?

 もしかして、超高速稼働のギアが上がるとかがあるの?


 いや、多分、徐々に本気度が増して行っているんだろう。

 つまり、今までは様子見だったってことだ。


 そして、とうとう魔剣オンスが、色物短剣を握るボクの右腕を捕えた。

 肘から先が、スパッと切り離される。



「くっ……」



 思わず、ボクの口から声が漏れた。

 別に、神経が通っているわけじゃないから肉体的苦痛は感じない。

 しかし、自分の腕が斬り離されるのを目の当たりにするのは、精神的苦痛が大きい。

 普通の人間なら、発狂しても、おかしくないと思う。



「利き腕を斬られても取り乱さないでいるとは、さすがですね」


「まあ、これくらいなら修復できるんでね」


「もっとも、胴体真っ二つで死なないくらいですから当然ですか。しかし、これならどうですかね? 覚悟!」



 ボクに右腕を拾い上げる暇を与えず、再びプルートが斬りかかって来た。

 しかも、これまで以上に動きが早い。


 取り敢えず、ボクは後方に超高速稼働で移動した。

 しかし、プルートも超高速稼働で追いかけて来る。

 そして、横から繰り出される魔剣オンス。


 この超スピードに、ボクは、全然、反応が追い付いて行けなかった。

 次の瞬間、ボクの首が宙を舞う。

 首を切断されたんだ。


 胴体と両腿も真横に斬られ、これで、ボクの身体は、まごうこと無きバラバラ死体へと変貌を遂げたわけだけど……。


 さらにプルートは、超高速のまま、ボクの頭部、胸部、腹部を縦方向にも真っ二つに斬り裂いた。

 まるで、薪を割るかのように。


 左腕や両脚も縦に二つに斬り裂いたし。

 やけに徹底している。

 しかも、プルートの攻撃は、これで終わらない。



「さらばだ」



 こう言うと、プルートは、ボクの身体だったモノ……頭部、胸部、腹部、左腕、両脚に向けて巨大なファイヤーボールを撃ち放った。


 たしかに、ボクの全身は、表面が大三元トリオの血でコーティングされているから、どんな攻撃でも弾いてしまう。

 しかし、内側には防御力上昇の処置は施されていない。


 だから、プルートは、ボクの身体をバラバラにしたところに業火を放ち、内側から焼くことにしたんだ。


 普通に切断しただけなら、切断面は焼けても中の方まで完全に消失させるのは難しいだろう。

 でも、全部ご丁寧に縦に割るように斬られているからね。

 ボクの身体は、完全に内側から焼失したよ。

 もはや、修復なんて絶対に不可能だ。


 …

 …

 …



 気が付くと、ボクは、一面真っ白な空間にいた。

 ココに来るのは、多分、二度目だ。


 本当は、もっと来たことがあるのかも知れないけど、残念なことに刈部瑠佳時代よりも前のことは覚えていないもんでね。

 刈部瑠佳としての人生を終えた直後と今回の二回しか記憶にない。



 前回と同様に、背後から誰かが話しかけて来た。

 覚えのある声だ。



「来ちゃいましたか」


「ええ、まあ……」



 振り返ると、そこには真っ白い服に身を包み、背中に一対の大きな白い翼を生やした三級天使サクラの姿があった。



「まさか、斬られた直後に内側から焼かれるとは。さすがのオートマタ・ルカも、あれでは対処できませんでしたね」


「お役に立てず残念です」


「まあ、仕方がありません。それより、ピルバラナ様がお呼びです。大至急と」


「分かりました」



 前回と同様に、ボクは、女神ピルバラナのいるところへと連れて行かれた。

 また、新たな転生の話とかがあるんだろう……と、この時、ボクは思っていた。



 部屋に入ると、女神ピルバラナは女神椅子に座っていた。

 ただ、ボクに向けた彼女の表情は、非常に申し訳なさそうな感じだった。


 経緯はともかくとして、性処理用の等身大魔玩具(男性用)に転生させたことに対して悪かったと思っているんだろう。

 と、この時、ボクは勝手に想像していた。



「ルカには、随分と面倒をかけました。駄天使プルートの存在は、想定外でした」


「それ以前に、性処理用の等身大女性型魔道具に生まれ変わるとは思っておりませんでしたけど」


「しかし、間違いなくバラバラにされても元に戻せる身体でしたでしょ?」


「まあ、それは……そうですけど……」



 どうやら、あの身体に転生させたこと自体は、ボクに対して悪いとは思っていないのかも知れない。



 以前、この空間に来た時、たしかにボクは、

『バラバラにされても、元通り身体がくっついて生き返るなんてのがあったら良かったんでしょうけど』

 と言った。


 前世でボクは、すれ違った男性にスタンガンで身体を動けなくされ、薬を嗅がされで気を失った。

 その後、ボクの身体はバラバラに解体されて各臓器が闇ルートで販売されたとのこと。

 そんな話を聞かされたから、あれは半分愚痴だったんだ。



 ところが、そんな身体が存在するって女神様から聞かされた。

 それで、結果的に、その身体で転生するってボク自身が決めたんだ。


 なので、女神様からすれば、あの身体にTS転生したこと自体、自己責任って思われているのかも知れない。

 だとすると、そのことで申し訳ないなんて思わないか。



「ただ、面倒な戦いに巻き込んでしまったとは思います」


「まさか、ボクが異世界で堕天使側の召喚者と戦うなんてことになるとは、転生前には全然思っておりませんでした」


「普通は、そうでしょうね」


「しかし、折角、ハル達に防御力を上げていただいたのに無駄になってしまいましたね。完全に修復不能な状態になってしまいましたし」


「それなんですが、ちょっと反則技みたいになりますが、今からルカに超修復・再生魔法を与えます。それを使って、再びトリフィオフィルム世界に降り立ってもらいます」



 ボクの身体って、もはや完全に消し炭状態だと思うんだけど?

 復活もヘッタクレも無いような気がするんだけど?



「それは、さすがに不可能では?」


「幸いなことに、右腕は肘から先が残っています」


「それって、まさか!」



 たしかに右腕は焼かれずに残っていたよ。

 ただ、話の流れからすると、腕から全身が生えるってことじゃなからろうか?

 切り落とされた腕が生えてくるのなら、まだ理解できるけど、その逆は、さすがに反則技でしょう?


 あっ!

 だから、女神様は、

『ちょっと反則技みたいになりますが』

 って言ったのか。

 みたいじゃない気がするけど!

ヴァナディスが、アキと魔王ジローヌの戦いを見ていたのは後付けです。


次回、最終回です。

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― 新着の感想 ―
[一言] >切り落とされた腕が生えてくるのなら、まだ理解できるけど、その逆は、さすがに反則技でしょう?  リアルでもヒトデがそうと言われてますね。  腕が切られても、切られた部分だけじゃなくて、切ら…
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