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61.前世の画像!

 なんか、ジノンがボクに言いたげだ。

 そりゃあ、今回の場合は、色々気になるところはあって普通だろう。



「ちょっと、いくつか聞いてイイか?」


「うん」


「先ず、あの娘は何者だ?」



 ジノンの目の前で、簡単にボクを捕えて連れ去って行ったわけだから、やはり、ハルのことが一番気になって然るべきか。

 龍も従えていたし、どう考えても普通じゃないからね。



「信じられないかも知れないけど、六体の龍を束ねる少女らしい。しかも、異世界から来たって」


「何だそれ? あのレッドドラゴンだけじゃないのか?」


「そうらしい。ウラドラ島まで連れて行かれたんだけど」


「あんなところまで?」


「うん。そうしたら、他にホワイトドラゴンとグリーンドラゴンが島で待っていたよ」


「えっ……」


「あと、女神ピルバラナ様の友人って言ってた」


「なんか、ツッコミどころ満載な気がするが……。で、ナニをされたんだ?」


「別に、ナニはされていないけど……」



 ジノンが珍しく溜め息を吐いた。

 真面目に話しているところにエロボケされると、慣れている人でも結構精神的に来るんだろう。



「だから、変なことをされたのか?」


「あっと、ゴメン。龍の血をかけられた」


「へっ?」


「それで身体強化するって」


「そんなことがあるのか?」



 これはジノンとしても初耳のようだ。

 地球だって、龍の血を被って強くなった系の話はあるけど、創作上のモノだ。

 ここトリフィオフィルム世界では、その手の話は一切無いのかも知れない。

 ジノンの前世の世界では、どうだったか知らないけど。



「ただ、ワイバーンレベルじゃダメで、古龍レベルの血が必要って言ってた。ウラヌスとガイアに続いて、また変なのが来る可能性があるからって」


「また?」


「うん。ただ、なんかボクが戦うのが前提になっているんだけど」


「その件に関しては、俺も納得している。ウラヌスは、ルカが倒したわけだし、ガイアだってルカがいなければ倒せなかったからな。それから、ルカ達を連れて行った龍はどうした?」


「先に、女神様が元の世界に帰しちゃったっぽい。瞬間移動みたいな感じで、突然消えちゃったんだ」


「そっか」



 突飛でもない話だけど、ジノンは真面目に聞いてくれていた。

 エロボケ以外は、ボクは真面目に話す……はずだからね。

 一応、信じてくれているようだ。

 普通は、信じられないだろうけど。



 その後、ボク達は、今日泊る宿を探した。

 とは言っても大きな都市だし、宿はすぐに見つかった。

 高かったけど。

 勿論、毎度の如く、二人別々の部屋での宿泊だ。



 チェックインだけ済ますと、ボク達はハイテイ市内に()()()()た。

 ちなみに、ボクの()()()()ていない……って、さっき出していたか。

 ストリーキングしたから。



 時刻としては、まだ午後三時ちょっと前。

 ただ、この街に着いて、いきなりハルに連れて行かれちゃったから昼飯がまだだった。

 それで、二人で何か食べようってなった。



 すれ違うヤロウ共は、ボクにイヤラシイ視線を送って来る。

 一方の女性陣だけど……ボクのことなんか眼中に無い。


 そもそも、視界に入れるのを拒否している。

 ボクの隣には、HP98の超イケメン君がいるからね。


 今更だけど、女性陣はジノンに釘付けで、ひたすら彼に熱い視線を送って来る。

 ジノンは、全然無反応だけど。

 彼のナニも無反応だけどね。



 男女共にキチンとボク達二人を視界に入れてくれれば、多分、傍目には超美男超美女のデートに見えるだろう。

 美女に見える方は、まさか中身が三十五歳の二次元オタクなおっさんだとは、夢にも思わないだろうけど!



 ここで、突然、ジノンのステータス画面が開いた。

 ボクのステータス覗き見スキルが起動したんだ。

 これと同時に、取説君の声が聞こえて来た。



『(報告)閲覧可能範囲が変わりました』



 多分、女神様の方で。ジノンのステータス画面の閲覧権限設定を一部変更したんで確認しろってことなんだろう。


 それで、肝心の変更箇所なんだけど……。

 今まで見られなかった前世の業のところが、一部見られるようになっていた。

 そこを開くと、


『前世の業:■■■■■■号使用者

 前世情報:HP98の超美女で名前は■■■■■■。■■■■■■■■■魔法を使うことにより■■■■■■号と■■■■■■……

 前世画像:閲覧する場合は、ココをクリックしてください』


 との記載があった。

 まだ、ボクの先行機の名称や、ジノンの前世の名前、使えた魔法等は見られないようになっていたけど、興味深いことに、ジノンの前世の姿を見ることが出来るっぽい。

 ボクは、躊躇せずに、『ココ』と指定された場所をクリックした。


 そして、画像が立ち上がったんだけど……。

 ムチャクチャ驚いた。


 注意書きに四十五歳頃の画像って記されていたけど、もっと若く見える。

 地球で出会った誰よりも……いや、芸能人とかを含めても、ジノンの前世(女性の姿)の方が数段美しかった。


 続いて二十歳前後の画像も拝見。

 鼻血が出そうなレベル!


 まさに衝撃的だ。

 二次元から飛び出して来たとしか思えない。

 美し過ぎて、マジで息を飲み込んだよ。



 完全に三次元女性への興味を失っていたボクだけど、この美しさだけは例外だ。

 ボクは、その画像に、つい見惚れてしまった。



「ルカ。ナニ、ボーっとしてるんだ?」


「えっ?」



 今まで、意識が、まるで何処かのお花畑にでもトリップしていたような感覚。

 ジノンに声をかけられて、ようやく正気を取り戻した。


 ただ、意識が現実に戻っても、中身が二次元オタクおっさんのボクとしては、ジノンの陰に彼女の姿を思い浮かべてしまう。


 まさか、一目惚れ?

 ……ヤバい。

 したかも知れない。



「大丈夫か?」


「ああ、ゴメン。大丈夫」



 取り敢えず、ボクは笑顔を取り繕うと、ジノンと一緒に三階建ての建物に入った。

 行き先は屋上。

 そこでビアガーデンをやっていたんだ。


 ボク達は、

「こちら、眺めがイイですよ」

 と言われてウェイターに端の方の……湾の方が良く見える席へと誘導された。


 たしかに、絵画のような景色が一望できる特等席。

 感動モノだ。


 そこに、ビールが大ジョッキで二つ運ばれて来た。

 あと、昼食がまだだったからね。

 サラダとステーキ、ピザ、ドリアを頼んだ。



 早速、

「乾杯!」

 ビールに口を付けた。

 美味しい。



 続いて食べ物が運ばれて来た。

 結構美味しい。


 一方のジノンだけど、余程お腹が空いていたんだろう。

 ガツガツ食べていた。

 前世の姿からは想像できない食いっぷり!



 そして、ボクがジョッキ半分くらいを飲み終えた頃、素晴らしい景観を壊す輩が、海の中から突如として姿を現した。


 まさかのクラーケンだった。

 沖の方ならともかく、こんな浅いところに出現するとは……。



 すると、見たことのある一人の少女が地上から大きくジャンプして、クラーケンの手前にある建物の屋根の上に飛び乗った。

 ハルだ。



「いっけー!」



 そして、ハルは両手から五本ずつ、計十本の光で出来た銛をクラーケンに打ち込んだ。

 これらは見事にクラーケンに命中。

 クラーケンの動きが急に鈍くなった。



「ええい!」



 さらにハルは、長さ数十メートルにも及ぶ巨大な光の剣を出すと、それを天に突き刺すように振り上げ、そこから一気にクラーケン目掛けて振り下ろした。


 光の剣がクラーケンの身体を捉える。

 クラーケンは、そのまま真っ二つに斬り裂かれた。


 ハルがジノンに言ってた、

『用があるから』

 って、まさかコレ?

 用事のレベルが違うよ。



 ただ、ハルって武器の名前も言わなければ魔法の詠唱も無しで、ただ、

『いっけー!』

 とか、

『ええい!』

 とかしか言わないんだ。

 見た目は、まさに中二くらいなのに……。



 クラーケンの討伐完了に、歓声が湧き上がる。

 ボクの隣では、いつの間にか、ジノンが身を乗り出すようにしてハルのクラーケン討伐劇を見ていた。



「マジか? あれって、さっきの娘だよな?」


「うん。スゴイね。でも、あの戦い方を見たら納得できなくも無いんじゃない? 龍を束ねる存在って」


「たしかに。常人の域を大きく逸脱しているな」



 その後、すぐにハルは海岸線に沿って王都リンシャン方面に向けて走って行った。

 やったぜアピールも何も無い。

 彼女にとって、これくらいは取るに足らないことなんだろう。



「ちょっと、ナニあれ? 信じられないんだけど!」



 聞いたことがある女性の声が背後から聞こえて来た。

 振り返ると、そこにはトモエの姿があった。


 でも、たしか、王都に行くって言ってなかったっけ?

 まあ、王都とハイテイ市は、地理的には、かなり近いけど。



「トモエ?」


「やっぱりルカか。さっき、ストリーキング騒ぎがあったけどさぁ。凄い美女が素っ裸だったって。それって、まさかだけど?」


「ええと、御名答」


「ナニやってんの?」


「いや、別にナニはやってないけど」


「ん-ん。地球に居る頃って、こんなアホなエロギャグ言う人だったっけ?」



 トモエも、ポロッと言ってしまった感じだ。

 この世界には無い単語……地球。

 この言葉をジノンは聞き逃さなかった。



「地球って?」



 さて、どうしたらイイものか?

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― 新着の感想 ―
[一言] >「ん-ん。地球に居る頃って、こんなアホなエロギャグ言う人だったっけ?」  トモエに同型機2体によるツッコミ不在の下ネタボケの応酬を聞かせてみたい。  聞かせた時のリアクションで、頭を抱え…
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