6.スーパーエクスヒール!
チェックインしたけど、実は、まだ日が高い。
夕食までは、かなり時間がある。
ボクは、一旦、宿を出て冒険者ギルドに向かった。
異世界に転生したのなら、やはり冒険者登録をしておきたいと思ったからだ。
ギルドは、宿のすぐ近くにあった。
宿の受付と同様、ここの受付にも、なかなか綺麗な女性が座っていた。
レベルは、やはり学生時代にクラスで三番目くらいに綺麗な娘と同じくらいに思える。
ステータス覗き見スキルによると、その女性のHP……ハレンチパワーは『31/34』とのことだ。
なかなか綺麗と思う女性が二人してHPが30台だからね。
HP50の壁を超えるのでさえ、結構大変なことなんだと再認識した。
だとすると、HP下限値が50のボクは、女性からしたら生活圏内に絶対に居て欲しくない存在ってことになるだろう。
そりゃあ、ヘイトされて当たり前だ。
ボクが受付に行くと、受付嬢の第一声は、ボソッと小さな声で、
「ケッ! こっち来んなよ!」
だった。
やっぱり、もの凄い嫌われようだ。
「冒険者登録したいんですけど」
「じゃあ、これ申請書。書いたら提出して。それと、登録料は一万Genだから」
その受付嬢は、一見マジメっぽい感じのメガネっ娘だった。
雰囲気は、もの凄くキツけど。
加えて、言葉遣いも少々荒っぽいし。
ボクは、彼女から申請書を受け取ると、ペンで空欄を埋めた。
ただ、書く内容って、名前と性別、年齢、提出年月日、それから裏面に書いてある『冒険者心得』に同意する旨のチェック欄だけだった。
冒険者心得を読むと、意外なことに、別に依頼をこなさなくても、冒険者資格が剥奪されるなんてことは無いらしい。
あと、基本的に一律Fランクからスタートし、依頼達成のポイントを貯めることでDランクまでは上がれるようだ。
でも、そこから先は昇格試験があるらしい。
恐らく、Dランク止まりの冒険者は、結構多いだろう……と勝手に推察する。
「では、お願いします」
書類と登録料を渡すと、受付嬢は、ボクに冒険者カードを渡してくれた。
発行手続きの際に魔力測定とかあるのかなって思っていたけど、これで終了。
これでボクも、めでたくFランク冒険者だ。
年齢は、適当に十七歳にしておいた。
元の年齢の約半分(端数切捨て!)ってことで。
ちなみに、この世界では成人は十八歳とのこと。
また、十五歳で成人の一歩手前ってことで『準成人』って言うのになり、多くの場合は十五歳で独り立ちするようだ。
十五歳に満たなくても、一人勃ちする男性は多いと思うけど。
ただ、学者とかを目指す場合は、例外になる。
さすがに、学者見習いになるために必要な全ての教育課程を、十八歳までには修了できないからね。
成人を迎えても独り立ちするのは難しいってことだ。
一人勃ちするのは簡単だろうけど。
丁度この時だった。
大柄なマッチョ男が、細マッチョ男を背負ってギルドに飛び込んで来た。
「弟が魔獣にやられた。誰か、治癒魔法をかけてくれ!」
その細マッチョ男は、片脚を欠損。
一応、出血を抑えるために欠損部位の少し上を縛ってあったけど、ここに来るまでの間に、かなり失血していたと思う。
身体中も怪我だらけ。
完全に虫の息だった。
その辺にいる治癒術師が、
「じゃあ、私が」
と言って治してくれるのかなと思っていたけど、誰も名乗り出なかった。
今、この建物内にいる治癒術師は、全員、このレベル(片足欠損)の怪我人を治せる自信が無いってことなんだろう。
一応、ボクなら治せる。
エリクサーの代用品が出せるからね。
それこそ、そのブツなら、止血だけじゃなくて欠損部位の再生まで出来るだろう。
でも、治療するとなると、その男性に例のブツを食わせるか、欠損部位に擦り付けるかしなくてはならない。
その男性の顔の上にまたがってブツを直接食わせるとか、欠損部位にまたがって出すのも手だけど……。
ただ、いずれにしても、公衆の面前でヤリたいことではない。
それ以前に、そんなモノを食わせる趣味も、かける趣味も無い。
勿論、食う趣味も無いけど!
『取説君:ルカ‐0721号は、スカトロプレイ対応機能が搭載されております。そのため、相手の糞尿を美味しそうに食します』
その設定からは目を逸らしたい。
取説の中から抹消できないモノだろうか?
それは、さて置き、このままでは、時間だけが過ぎて行くだけだ。
放っておいたら、その男性は確実に死ぬだろう。
ボクが、その男性冒険者をエリクサーの代用品で治そうかどうか迷っていると、またもや取説君の声がボクの頭の中限定で聞こえて来た。
『取説君:ルカ‐0721号は、傷ついた男性(異性愛者、同性愛者共に)、及び傷ついた女性同性愛者を完全に癒す能力を有します(心身共に)』
『取説君:ルカ‐0721号は、女性異性愛者に対してだけは、癒しの能力を発動できません』
『取説君:ルカ‐0721号は、例外的に性病の場合のみ、女性異性愛者を含め、男女問わず完全に治します。これは飽くまでも、男性、及び女性同性愛者に感染するのを防ぐためです』
ちょっと分かり難いけど、心身ともに癒すと言うことは、怪我した身体も、多分、魔法で治せると言うことだろう。
今回も、女性異性愛者ヘイトな能力だけど……。
それはともかく、治癒魔法が使えるのなら、少なくともウ〇コエリクサーを食わせる必要は無い。
相手は男性なので、治癒魔法を発動できる。
でも、相手は片脚欠損状態だ。
それを元に戻すことも可能なんだろうか?
『取説君:ルカ‐0721号は、超上位治癒魔法(スーパーエクスヒール:略してS-eX-ヒール)が使えます。これにより、欠損部位の再生や、男性器の増大、男性器の余剰部位の切除が可能です。女性の豊胸術も可能です。しかし、女性異性愛者にはS-eX-ヒールを発動することが出来ません』
『取説君:ルカ‐0721号は、ピンヒール等のハイヒールで治療対象者を踏むことで、高次治癒魔法を発動できます。しかし、女性異性愛者にはハイヒールを発動することが出来ません』
超上位治癒魔法が使えるんだ。
ボクってSugee!
ただ、ハイヒールの方は、何気にオヤジギャグになっているけど。
『取説君:但し、ルカ‐0721号は、初級治癒魔法(単なるヒール)を発動することが出来ません』
でも、初級治癒魔法が使えなくて、超上位治癒魔法が使えるって、ツッコミどころ満載な気がするけど、ここでは何も言わないでおこう。
欠損部位の再生が必要なので、ここでは超上位治癒魔法を発動する。
ボクは、細マッチョ男の傍まで行き、右手をかざすと、
「S-eX-ヒール!」
超上位治癒魔法を放った。
発動時の詠唱(?)は、正直、問題アリな気がするけど。
しかし、その効力は本物だった。
見る見るうちに欠損していた脚が生えて来た。勿論、他の怪我は瞬時に治ったし。
そして、三十秒もしないうちに、細マッチョ男の欠損部位は元通りになった。
「俺は、助かったのか?」
彼が上半身を起こし、今まで失っていたはずの脚を見ながら驚いていた。
出血も酷かっただろうし、多分、既に死を覚悟していたんだと思う。
「はい。良かったですね」
「君が治してくれたのか?」
「ええ」
「ありがとう! ただ、俺……」
細マッチョ男が、口籠ったかと思うと、突然、服を脱ぎ出した。
そして、
「金が無いんで、治癒魔法代は、身体で払うから!」
とイヤラシイ表情で言いやがった!
すると、その細マッチョ男の兄が、
「いや、さっきまで大怪我を負っていたオマエに払わせるわけには行かない。ここは、俺が身体で払う!」
と言いながら脱ぎ出した。
コイツ等、単にボクとヤりたいだけだろう?
一応、HPは50まで落としている。
たしかに50でも一般には高値なんだろうけど、ここまでヤロウ共の脳みそをおかしくするほどの数値なんだろうか?
『取説君:ルカ‐0721は、全身から超フェロモン魔法を放っています。そのため、同性愛者を除く全ての雄性動物(人間を含む)、及び異性愛者を除く全ての雌性動物(人間を含む)から愛されます』
そう言えば、そんな設定もあったっけ。
これだと、HPを全開にしたら、そこら中のヤロウ共が、一斉に理性を失った状態でボクに襲い掛かって来るな。
『取説君:ルカ‐0721号は、100人乗っても大丈夫です!』
『取説君:ついでに、100人に乗っても大丈夫です!』
機能的には大丈夫でも、精神的には全然大丈夫じゃない!
ここは、サッサと逃げるに限る。
「お代は不要ですので。では、失礼します」
「いや、さっき、S-eXがどうこう言ってたじゃないか。俺としたいんじゃ?」
「違います!」
とにかく、ボクは、さっさとギルドを出た。
ただ、ピンヒールなんで走り難い……と言うか、実質走れない。
なので、
「転移!」
ボクはギルドの建物を出るとすぐに、転移魔法で、一気に数キロ先まで空間移動した。
次回辺りから、前作とは違うベクトルに進んで行く予定です。
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