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16.トドメの一発?

 これで、レックスは、ボクのペット(下僕)になったわけだけど、残念ながら討伐依頼対象の魔獣だ。

 このまま放置ってわけには行かない。


 ちなみに、ここで言う『放置』は、『放置プレイ』の意味じゃなくて、『殺さない』って意味だ。



 でも、ボクは等身大魔玩具であって、殺戮マシンじゃない。

 残念ながら、トドメの()()()()()()()が無いんだ。

 Hな方の、()()()()()()()なら、色々あるわけだけど……。



 ボクは、ピンヒールに履き替えると、レックスの尾を踏み、

「イイ子だから、ちょっと待ってなさい」

 と言った。


 レックスは、何故かハアハア言いながら喜んでいたよ。

 コイツも変態だ。



 そして、ボクはジノンの方へと向かった。

 結構、ダメージがあるみたいだからね。

 立つどころか座っても居られないみたいで、その場で横になっていた。

 ちなみに、勃ってもいない。



「ジノン。大丈夫?」


「ああ。ただ、低級ポーションじゃ回復しなくて」


「ちょっと我慢してもらえる?」



 そう言うと、ボクは、ピンヒールでジノンの身体を踏んだ。

 高次治癒魔法(ハイヒール)の発動だ。

 ジノンとしては、この発動方法に、ちょっと抵抗があったかも知れないけど……。


 でも、高次治癒魔法(ハイヒール)自体は本物だからね。

 瞬く間にジノンは復活!

 完全に元気を取り戻した。



『取説君:ルカ‐0721号は、ピンヒール等のハイヒールで治療対象者を踏むことで、高次治癒魔法ハイヒールを発動できます。しかし、女性異性愛者にはハイヒールを発動することが出来ません』



 ジノンが、身体を起こした。

 ナニは、起き上がっていなかったけど……。



「エネルギーが湧き上がってくる。これって?」


「まあ……、一応、回復魔法だよ。ヤリ方が特殊だけど」


「たしかに特殊だな。さすがに、こんな魔法のかけ方を見るのは初めてだ。ただ、こんな力まで持っているとは……」



 と言うことは、例の女性は、ハイヒールで踏んでハイヒール発動なんてことは、やっていなかったってことか。


 だとすると、ボクの先行品じゃないのかな?

 もしくは、ボクの方が後継機なだけに、機能が追加されたとか?



 そんなアホな考え事をしているボクのことはさて置き、ジノンは、立ち上がると剣を手にした。

 顔には気合が入っている。



「それにしても、レックスをあんな状態にするとはな。やっぱり、ルカは、もっと高ランクであるべき冒険者だ」


「でも、本当に登録したばかりだから、Fランクでも仕方が無いと思うけど?」


「まあ、その辺のところは、後でギルドと話をする。とにかく、今は、コイツを倒す。ルカ、お膳立てありがとう」


「いえ。じゃあ、お願い」


「了解。身体強化! それから、剛性強化付与及び振動特性付与!」



 彼は、再び魔法で身体強化すると同時に、剣に魔法付与を行なった。

 そして、彼は剣を振り上げると、そのまま、彼は、一直線にレックスに向かって行き、

「死ねぇ!」

 仰向けになって気持ち良さげにしているレックスの首を刎ねた。

 レックスには悪いけど、これで討伐完了だ。



「ルカのお陰で、思ったよりも早く討伐できた。助かったよ」


「でも、ボクにはトドメを刺す力が無くて悪いなと……」


「いや、こっちこそ最後の一番美味しいとこだけ貰った感じで済まないって思ってる」


「そんなことは……。単にボクの力不足だから」


「そんなことないよ。じゃあ、ルカ。収納を頼む。それと、街のギルドまで」


「うん。了解」



 ボクは、レックスの死体をアイテムボックスに収納した。

 これをギルドに持ち帰れば依頼完了だ。

 ギルドに提出するまでが仕事だからね。


 そして、ボク達は、ボクの転移魔法でホウテイ市へと戻った。

 一回に10キロしか進めないから、連続転移になるけど……。



 ❖  ❖  ❖



 連続転移終了。

 移動先は、ホウテイ市の冒険者ギルド前だ。



 ギルド建物に入ると、受付嬢達の熱い視線が、一斉にジノンへと向けられる……。

 ……と思ったんだけど、何故か、女性達からの、もの凄くヘイトな視線がボクの方へと突き刺さって来た。


 同時に、ヤロウ共のHな視線も飛んで来たかと思いきや、


「姉ちゃん、俺を踏んでくれ、それで、ご褒美に一発!」


「いやいや、俺が先だ!」


「いや、俺だ!」


「是非、俺を足蹴にしてくれ!」


「鞭で叩いてくれ!」


「俺は蝋燭!」


 と訳の分からないことをホザきながら、ヤロウ共がボクに向かって、一斉に襲いかかって来た。



「シールド!」



 ジノンが、魔法障壁を張ってボクを守ってくれた。

 これで、一先ず、連中の魔の手から逃れられたけど、でも、何で?



 …………思い出した。

 今、ボクはフェロモン魔法を全開にしていて、しかもHPを1000000まで上げた上に女王様モードになっていたんだ。

 ピンヒールを履いているし。


 ボクは慌てて、フェロモン魔法の出力を最小に、HPを下限値の50にし、女王様モードも解除した。


 あと、靴もアイテムボックスから普通のヤツを取り出して履き替えたよ。

 ピンヒールは歩き難いからね。



 すると、


「あれ?」


「俺、何やってんだ?」


「何も思い出せない……」


 今までの記憶を失っている者もいれば、


「俺は、一体何をやっていたんだぁ!」


「死にたい」


 と今までの記憶が残っていて自己嫌悪に陥っている者もいた。



 極少数派だけど、


「俺を踏んでくれ!」


「いや、足蹴にしてくれ!」


 状況が変わらないヤツラもいたけど……。



 あと、女性達の視線は、ボクからジノン方面へと全部切り替わっていた。

 しかもコイツ等、さっきまでとは打って変わって、うっとりした表情を浮かべていたよ。



「依頼達成しました」



 ジノンを先頭に受付カウンターに行く。

 この時、ボクは、女性達からの視線がイヤなので、ジノンの影に隠れるようにしていた。



 ジノンが、依頼の紙を受付に渡した。

 ちなみに担当してくれた受付嬢は、かなりの貧乳だった。



「こちらです」


「依頼は……レックスの討伐ですね?」


「そうです」


「依頼したのは昨日ですよ? もう終わったんですか?」


「はい。こちら、冒険者カードです」



 ジノンが、彼とボクの冒険者カードを受付嬢に提出した。

 これを確認しながら、受付嬢は、

「AランクとFランクねぇ……」

 と意味ありげに言っていた。


 多分、ボクがジノンに寄生する寄生虫みたいに言いたかったんだろう。

 低ランクのくせに、枕営業かナニかでAランクのジノンに巧く取り入ったとかね。

 ボクは、そんな営業はしていないんだけどさ。



「それで、ジノンさん。獲物は?」


「魔法収納しています。大物ですので、さすがにココに出すわけには行きませんので、解体場とかに連れて行ってもらうことは出来ますか?」


「可能です。では、コチラに」



 ボク達は、受付嬢について行った。

 行き先は、ギルドの建物の裏。


 そこに、体育館みたいに床面積が広い建物があって、その中で、たくさんの魔獣が解体されていた。



 ただ、今回、ジノンが討伐したレックスの死体ほど大きなモノは無かった。

 せいぜい、レックスの右足一本程度の大きさの魔獣が数体と、あとは小モノの魔獣が多数って感じだった。



「じゃあ、ルカ。出して」


「了解」



 ボクは、その広々とした床にレックスの死体を出した。

 すると、

「えっ?」

 受付嬢が、驚いて大声を上げていた。


 ボクは、

『さすがに、魔獣が大物だからね。それで驚いたんだね』

 と思っていたけど、受付嬢が驚いたのは、どうやらそこではなかったようだ。



「アナタ、Fランク冒険者でしたよね?」


「ええ、そうです」


「じゃあ、なんで、こんな大物が魔法収納できるの?」


「えっ?」



 ボクには、何故、受付嬢が、このようなことを聞いてくるのか、全然、意味が分からなかった。


 ジノンは、

『してやったり』

 みたいな顔をしていたけどね。



「これだけのモノが収納できるんでしたら、飛び級制度の対象になりますけど」


「飛び級ですか?」


「知らないんですか? ギルドに登録したのは何時ですか?」


「一昨日ですけど?」


「その時に、飛び級制度の説明って受けていないんですか?」


「受けていません。って言うか、そう言うのがあるんですか?」


「はぁ……」



 受付嬢は、ドッと疲れたように溜め息を吐いた。

 もしかして、これって何かマズいことでもあるんだろうか?

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