10.犯人と過去
「これはこれはオーマン様、騎士団を引き連れて
どのような御用でしょうか?」
「アルバート、随分落ち着いているようだけど
自信があるみたいだな」
ルードリッヒの屋敷にあるアルバートの部屋に
第一騎士団を引き連れてオーマンを中心にアルバートを囲んでいる。
「お前がローザ妃を誘拐した主犯格だと分かっているぞ!雇った連中が吐いたよ
ヴィクトリアの元にも騎士団が行っているぞ」
窓の外に向いていた体をゆっくりとオーマンへ向ける
「今 この国は向かうところ敵無しといった感じだが、それが何を犠牲に成り立ってきたか考えた事はあるのか?
お前達にとってはもう昔話なんだろうがな…
もう調べは付いていると思うが、私の国は今ローザ妃が捕らえられている場所にあった。
綺麗な湖があり、森に囲まれ、魚も動物も豊富にある小さくとも豊かな国だった。
武力はほぼ持たない平和な国だったが、マケドニアの先代国王が自国を広げるためだけに全滅させた…
私はたまたま家臣の1人とサンバーレ国に来ていたから助かったがな
こんな王の血は絶滅させたら良いと思わないか?」
「現国王は慈悲深い方だ
先先代の国王がなされた行いに心を痛めている
亡くなった民の為に毎日祈りを捧げているような方だ アルバートの事もかっていたが残念だ」
「捕らえろ‼︎」
手を振りかざすと騎士達は一斉にアルバートを抑えに掛かった。
同じ時に
ヴィクトリアの部屋に第二騎士団が詰めていた。
ヴィクトリア様、ローザ妃誘拐により捕らえさせて頂きます。
騎士副団長が説明すると
何の事かと目を見開いて騎士達を見ている。
「私を誰だと思ってるの⁉︎ルードリッヒの妻なのよ!
騎士団長の妻よ」
金切声を上げて騒ぐと騎士団の後、部屋の扉から低い声と共に見た事ある姿が目に入った。
「…王様?」
「いかにも」
「ヴィクトリアよ
お主のした事は既に日のもとに明らかになっておる。今頃 アルバートも牢獄に引き連れてられておるだろう…
またルードリッヒが居ながら不貞にも呆れたものよ
王族の拉致監禁、不貞共に重罪じゃぞ」
「私は、私は…子供が欲しかっただけなのよ〜
それなのにルードリッヒは何もしないし
あっちからもこっちからも言われて、私が悪いみたいじゃない!
だから…しょうがなかったのよ」
「お前の飲みものに薬を入れられていたのだよ
アルバートにな!
それも分からずアルバートに良いように使われて
不貞などしなければ、いずれ子も授かったものを…
アルバートは自分の子をルードリッヒの子だと思わせ、王家を継がせるつもりだったようだ」
プライドの高さが災したようだ
アルバートに良いように操られていたのに
今でも好きあっていると思っている。
ヴィクトリアの両手を体の後で縛り両脇を騎士が抱えて部屋を後にした。
はぁ、我が息子達はいつになったらわしを楽にさせてくれるのか…
こんな役までやらされて困ったものだ
溜息を吐きながら城へ戻る王様を騎士達も苦笑いしていた。




