夢って
「おおきくなったら、何になりたい?」
ふと、僕は花実ちゃんに聞いてた。
なんだか、あんまりよく覚えていなかった。
でも、その時は聞いていた。
「……うーん。」
花実ちゃんは、少しだけ考えていた。
「…ふふ。」
可愛らしい笑い声が出た。
花実ちゃんは、少し顔を赤らめたような。
あたたかな目をしていた。
優しく、僕にささやき声を吹き込んだ。
「……あとで。」
「そんな〜、ずるいよ〜」
「またね」
でも、どこか聞いて欲しそうだった。
なんとなく。
目がそう言ってた。
じっとこっちを見てて。
「ねぇ、教えてよ」
僕も少しだけ、ささやいた。
花実ちゃんに、吹き込むみたいに。
「え〜…今はな〜…」
少しもじもじしたような、そんな顔になる。
「…りーりの、お嫁さん?」
「…ぼくの?」
「そう」
嬉しいんだけど。
どこか、それは遠い話で。
でも。
僕たちなら。
そう思える。
「結婚式場、どこがいい?」
花実ちゃんは、照れるように。
でも、どこかぼんやりと、呟く。
「はわい…とか?」
「それもいいなぁ。私、真っ白な結婚式場がいい」
「真っ白?教会とか?」
「そんな感じ。」
ぼんやり、どこか遠くを見るみたいに、花実ちゃんは話していた。
僕よりも、どこか遠くを見てるみたいに。
やっぱり、花実ちゃんはどこか遠くの世界から来たんじゃないか、って気がするくらいに。
「僕の親族の席、少ない、ってかいなくない?」
「いいんだよ、親族なんて参加しなくても。」
「二人っきり?」
「二人っきり。」
そこだけ、花実ちゃんは、強く言った。
まるでそれ以外ありえない、みたいに。
「…二人っきりも悪くないよね」
「そうだよ、きっとね」
花実ちゃんは、少し顔を横に向ける。
それが見えなくて、少しのぞきこみたくもなった。
でも、なんだか。
僕には。
やめておいた。
暗い部屋は、どこか寝づらくなくなってて、すぐに寝れそうな涼しさがあるような。
でも、どこか暑さがあったのか。
僕は、しばらくの間目を開けたまま、少し横を向いたままの花実ちゃんの方を見ていた。
夢って。
僕の夢、なんだろ。
花実ちゃんを救うこと?
かな。
なんとなく、僕の夢はそれ以外。
ないような気がしていた。
それで良い。
それで。
いつしか、まぶたが重くなってきていた。
いや、だめだ。
花実ちゃんの手を、手だけを頼りにさぐる。
なにか、なにか。
ふ。
なにか、ふれた。
そこで。
僕はもう。




