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第四話 営みをつなぐ橋 はじまりの物語

西の国境には

高い山々が連なっていた


風は強く

水は速く

大地はやせていた


人の生きるには

厳しい場所だった


それでも

人はそこにいた


畑を耕し

獣を追い

川に糸を垂らし


日々を

つないでいた


人が通ったところは

やがて道になった


その道をさえぎる

谷と川に


橋が架けられた


その橋は

つたで編まれていた


何度も

切れ


何度も

流され


そのたびに

また

架け直された


橋は

見ていた


人の営みを

人の弱さを

人の強さを


やがて


橋のたもとには

供え物が置かれるようになった


渡り終えたあと

手を合わせる者もいた


理由は

誰も知らない


ただ


そうしなければならないと

感じていた


その年の嵐は

違った


山が鳴り

大地が揺れ


川は

形を失った


これで終わりだと

誰もが思った


そのとき


光が

走った


橋の方から


風雨の中

人は橋へ向かった


橋は

落ちていなかった


光が

橋を支えていた


流れを受け止め

大地を押さえ


すべてを

つなぎ止めていた


けれど


それは

長くはもたないと


誰もが

感じていた


そのとき


対岸の

橋のたもとから


ひとつの光が

生まれた


小さな光は


ためらうことなく

濁流へと向かった


水は

それを

拒まなかった


ふわりと

受け止めた


光は

流れと重なり


広がり


橋の光へと

届いた


二つの光は

ひとつになった


嵐は

やがて

静まった


橋は

そこにあった


人は

泣いた


なぜ

泣いているのか


わかって


さらに

泣いた


人は

また

生きはじめる


橋の上に


二つの気配が

並ぶ


それは


橋の精と

橋の獣


つなぐものと

守るもの


人は知らない


その橋が


何を

見てきたのかを


けれど


今日もまた

誰かが渡る


その足元で


ツルキとカズラは


静かに

見守っている

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