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第七話 いのりとまもり つなぐおもい

 その橋の歩道には、

 半月のような空間がある


 その下に、

 古い石積みが見える


 なぜ、ここだけ残してあるのか

 人は、興味深げに橋の下をのぞき込む


 川は、ゆっくり流れている。

 石は、黙っている


 けれど、

 そこには、

 あたたかい何かがある


 むかし、

 この橋を守ろうとした

 たくさんの祈り


 人の耳には聞こえないけれど

 橋は、今もそれを覚えている


 城を囲む川に、まだ橋はなかった。


 城下町は生まれたばかり

 武家屋敷も、町人地も、寺町も、

 まだ土の匂いを残していた。


 人を

 物を

 つなぐために

 橋が必要だった


 けれど

 川は水が深く、流れも速かった。

 何度架けても橋は流された。

 

 やがて、誰かが祈った。


 「どうか、この橋が流れませんように」


 その祈りは

 やがて重なり

 無数の祈りとなった


 橋は静かに、それを聞いていた。


 その夜、川は荒れていた。


 風がうなり、

 水は橋脚を叩きつける。


 町の灯りは揺れ、

 誰もが祈った。


 「どうか、この橋が流れませんように」


 皆の祈りが

 夜の闇に広がる


 その橋の石積みから

 二つの何かが

 静かに生まれ


 ひとつひとつの祈りが

 その夜

 ひとつの糸のように

 結ばれた

 

 荒れていた水は

 その石積みの

 まわりから

 すこしづつやわらいでいった


 祈りに応えた

 橋は流れなかった


 橋の石積み

 ツムギと

 ガラン

 ふたつの光は


 半月の空間の下で

 いまも

 そっと

 祈りを結びつづけている

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