領主の務め
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さて、悪役令嬢の性格を矯正するにはどうすればいいだろうか。
悪役令嬢矯正ギプスのようなものがあれば楽なのだが、この世界にそのようなものはない。
このツンデレ令嬢からいち早くツンを抜くにはなかなかの苦労が必要だろう。
そのように考えを巡らせていると執事のハンスがやってくる。
「レクス様、お困りのようですな」
「ああ、なにせおまえとの約束は半年しかないからな。早く彼女の性格を矯正したい」
「それは結構なことでございますが、レクス様はグラハム家の当主であることもお忘れなく」
「どういう意味だ?」
「領地経営のほうもおろそかにされては困ります」
「そうだった。俺は領主でもあるんだったな」
「御意にございます」
「そのような注意喚起をするってことはなにか問題でも起こっているのか」
「はい。レクス様の領地であるとある村と村が水の権利を巡って争っています」
「水路利権を巡って争っているのか」
「御意。今年は降雨量が少なく、どちらの村も水が喉から手が出るほどほしいのかと」
「分かった。俺が直接行って仲裁しよう」
「御自ら出張られるのですか?」
「ああ、そうだ。俺は新米領主だからな。自分の顔を売るいい機会だ」
「なるほど、それはよろしいことかと」
「視察がてらカレンにも領地を見せようかと思う」
「カレン様にも? それはどうかと思いますが。村は今、剣呑な雰囲気を孕んでいます。暴動になるかも」
「なあに、逆に女がいたほうが気勢がそがれるものさ」
そのように纏めると俺はカレンに村への同行を求めた。
彼女は二つ返事でくると了承した。
「この屋敷にも飽きてきたところなのよね。ちょっと旅をしたい気分」
「それはちょうどいい。村まで馬で丸一日かかる。小旅行だ。ちなみに君は馬に乗れるのか?」
「わたくしは完全無欠の公爵令嬢よ。馬車にならば乗れるけど」
「ならば俺の馬の後ろに乗るのだな。がっしりと掴むのだぞ」
「な、む、胸が密着するじゃない」
「そういえばそうだな。君はなかなかに巨乳だ」
公爵令嬢カレンは出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでいる。
「えっちなことを考えたら許さないから!」
「不埒な気持ちにならないように努力するよ」
そのように軽くやりとりをするとカレンを愛馬の背中に乗せる。
「まあ、可愛らしい白い馬なのね」
「葦毛の馬だ。完全な白馬じゃない」
「わたしくの実家の馬は白馬よ」
「白馬の王子様ならぬ白馬のご令嬢か。ま、公爵家は金があるから馬もよりどりみどりだな」
そのように纏めると馬を走らせる。
急ぎの旅ではないので早馬のようには走らない。ゆったりと景色を楽しむかのように馬を走らせる。
カレンは風に金髪をそよがせながら俺の腰にしがみつく。
ゆったりとした時間が流れる。
「まるで新婚旅行のようだな」
と思い浮かんだ台詞を漏らすとカレンは顔を真っ赤にさせ否定する。
「これは伯爵領の視察です」
そのように主張した。
事実だったので否定せずにいると街道の前方に人だかりが出来ていることに気がつく。
なにかあったのだろうか、俺はそこまで馬を走らせるとその場に留まっている人たちに事情を尋ねた。
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